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こんなに広くて低家賃!古い平屋暮らしのススメ

2017年07月24日

アチュー・ワークス

こんなに広くて低家賃!古い平屋暮らしのススメ

FLAT HOUSEに住む#1

こんなに広くて低家賃!古い平屋暮らしのススメ


東京と九州にある築半世紀以上の古い平屋3棟に住まうFLAT HOUSE フリーク/アラタ・クールハンドが、建物・暮らし方・モノ・出来事などについて語る新連載です。

増える新築・余る住宅

相変わらず首都圏を中心に、高層マンションや建て売り住宅など、住宅が大量に造られている。先の震災直後には一時停滞していたものの、東京五輪開催が決定してからは更に拍車がかかった感がある。

その一方で、全国には820万戸という数の空き家が存在している(平成25年総務省統計局調べ)。実に全住宅の13%にあたる数。10年後には1000万戸に達すると予測されてもいる。これらは昭和に建てられ相続放棄された住宅であったり、すでに所有者の判らなくなった古家であったりとさまざまだが、現在建築中の戸建て住宅ですら10年後にはその空き家群に加わる可能性も低くないという。

ここに来て法を改正したりいろいろ手を打ち始めた空気だが、未だこの膨大な空き家群をどう扱ったらよいものか明確な手だてが見えていない。これはひとえに「造る方」ばかりに便宜を計り、「使う方」「維持する方」ヘの忖度は疎かにしてきた結果である。


長い間我が国は景気が低迷するとカンフル剤の役割を住宅建設に負わせてきた。しかし人口減少の一途をたどる日本では余剰物件が必ず出るわけで、それらをどうするかは見て見ぬフリをしてきたフシがある。新築は手伝うが、あとは野となれ山となれという政策が皮肉にも功を奏したのが現在の“空き家の森”というわけだ。


空き家になってまだ日が浅そうだが、次期廃屋かもしれない。この手の木造平屋が東京も都下に行くとたくさん見受けられる。

都下H市の平屋。おそらく後継者が戻らないのだろう。平屋の中ではとてもモダンな佇まいなのにこの状態が数年続いていると見られる。

こちらは都下I市のプレハブ平屋。庭もカーポートもあるというのに倉庫と化していた。

神奈川県Y市の平屋は解体待ち。1960年代初頭に米軍兵士用に建てられた「米軍ハウス」は絶滅危惧種だ。

都下F市の米軍ハウスも解体待ち。中は前住人の荷物で荒れていた。リフォームすれば見違えるようになりそうなのに、実に勿体ない。

余っているはずなのに… 下がらない家賃

それだけ建物が余っているというのに、都市部の家賃が一向に下がらないというジツに不可解な事実がある。これは安易に下げれば地価も下がり、税収に少なからず影響するという「お国の事由」があろう。これに関しては諸説紛々さまざまな見方があるが、市民の「止まない都心集中志向」が手伝ってしまっているのも紛うことなき事実と感じる。駅や商業施設からいかに近いか、街の中心部にいかに短時間で出られるかが暮らしのステイタスとなっている限り、この不可解な現象は当分ひっくり返らないように見える。そしてこれがひっくり返らない限り、相変わらず自転車操業のような、いつもお尻に火がついているような暮らしは好転してゆかないように見える。


住宅が余る一方で、いわゆるペンシル住宅と呼ばれる細長い建て売り住宅の乱造が都市部では繰り返される。

都心から離れることで気付く「選択肢」

では別の解決策はないだろうか。

私にはひとつ提案がある。それはみんなが一ヶ所に固まらず、周辺の空いたところへ解(ほど)けるということだ。都心部への暮らしの依存度を下げ、別のエリアに新しいパイプを伸ばすことである。それは先の震災で大きな発電施設に依存を一本化すると、一旦そこに何かあった時には一気にライフラインが断たれることを学んだことと同様。それぞれが細くても良い。オルタナティブな生活手段のパイプを今の暮らしになるべくたくさん付け加えていくことが、実は新しい安定を与えてくれるのである。これは「自立するとはどういうことか」という議論でも多くの識者に上げられる仮説と同じだ。ここで都心から離れるのはかまわないが、都心に依存しなければ生活が成り立たなくなるではないか、という声が上がるだろう。しかし、それは都市部で暮らすための収入を前提とした話であり、固定費、特に家賃が大きく下がれば、なにも毎朝満員電車に詰め込まれずとも暮らせるようになるはずだ。


例えば、現在住む2LDKの家賃が3万円になったらどうだろう。3人家族でも月10万そこそこの収入で暮らせるのではないか。となれば誰かに雇われずとも暮らせる方法を模索する余裕が生まれるだろう。

そこで登場するのが前段の820万戸の空き家だ。家賃が低い物件のみならず、使ってくれるならタダでもいいというオーナーもいる昨今、これらはオルタナティブな暮らし方の有用な保険となるのである。

東京でもオドロキの家賃で住める!

私が愛好するFLAT HOUSEも「オルタナティブな暮らし方」に属する。東京に1棟、福岡に2棟借りているが、家賃総計は10万に満たない。驚くことに中でも東京の平屋の家賃が一番安い。前述したようなオーナーが持て余していた物件を、格安を条件に自らで住めるように手を加えて入居した。このような物件は探せば東京都下には結構あるのだ。

「あー、そういうのバラエティー番組で観たことがあるよ」という声は聴こえてきそうだが、確かに昨今そういった空き家の再利用が注目を集めている。が、どうもまだ「世捨て人によるエキセントリックな暮らし」のような範囲を出ない認識が一般的。しかし実際はそんなこともなく、現在マンションに暮らすような人たちでもさほどギャップを感じずに古家生活に移行できる。かく言う私が経験者だ。古屋生活への移行にはいくつかの誤解を解く必要もあり、経験上借り方も含めちょっとしたコツも必要なので、今後ゆっくりお伝えしてゆきたいと思う。

住む者が古家を救い、古家が住む者を助ける

とにもかくにも現在の暮らしに息苦しさや行き詰まりを感じているのならば、古家、中んずくFLAT HOUSEへの転居をおススメしたい。先述したように、私も20年前にマンションに籠って仕事をしていて心身をやられ、古い木造家屋を借り自らで手直しして移り住んだとたんに回復、暮らし向きが大きく変わった経験がある。FLAT HOUSEが住人にどのように作用していくか、そしてどれだけサムシングを与えてくれるかという話を今後このコラムで具体的な例と共にお話ししてゆく所存だ。

アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。今夏には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。

最終更新日:2018年09月13日

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