ページトップへ

Yahoo!不動産おうちマガジン は家探しのヒントが満載の情報サイトです!

>
>
古い平屋に暮らすメリットと楽しみ(前編)

2017年08月24日

アチュー・ワークス

古い平屋に暮らすメリットと楽しみ(前編)

FLAT HOUSEに住む#2

古い平屋に暮らすメリットと楽しみ(前編)


連載初回である「こんなに広くて低家賃!古い平屋暮らしのススメ」では、古い平屋に住む合理性についてお話をした。それでは具体的にどこが良いのかという各論に今回は迫りたい。平屋に住む前の6つのメリットを挙げてみた。

(1)初期費用が抑えられる

そもそも古い平屋の場合、不動産業者を挟まずにオーナーが直に貸しているケースが少なくない。これは首都圏であっても家主が農家の旧家だったりすることが多いためだ。昭和30~40年代には今のようにナショナルチェーン化した不動産企業というのはまだ世になく、各々の街に狭いエリアの物件のみを扱う小さな「町の不動産屋」があるだけだった。中には本業である個人商店と兼業で仲介をしていたようなケースもあったようだ。現在の大都市圏もまだ地域社会がしっかりと機能していた時代だったので、個人間取引に大きなトラブルもほとんど無かったのだろう。


高度成長期に入って住宅が大いに不足する中、農地を使って貸家業を営むようになった農家は簡易的な契約書を作成し(文具店でも購入できた)それを使って店子に貸しているケースが多かった。それで十分間にあったのである。世紀をまたいだ今もその流れから不動産業者を挟まずに貸すオーナーが古い平屋には多い。そのため、仲介手数料をはじめ敷金礼金も取らないというケースがままあるので、マンションやコーポなどに比べて初期費用が大幅に節約できるのである。


じつはこれ、文具店で売っているありものの契約書。こんなぺらもの一枚で済ませてしまう古い平屋の賃貸契約はまだ見知らぬ他人を信頼していた昔日の文化の遺産だ。

(2)引っ越し費用が安価で済む

集合住宅に居住し、引っ越しをしたことのある人ならば、現居や転居先の「階数」や「エレベーターの有無」を引っ越し業者から細かに尋ねられた経験があると思う。当然それらは料金に反映されている。階数が下であればあるほど安価で、エレベーターがない集合住宅であれば料金は加算される。引っ越し元が1階であれば、1階から1階の「平行移動」となるため、最低料金での引っ越しが可能だ。しかも当日は「仕事が捗ります」「予定より早く終わりそうです」「とてもラクでした」と作業員から大絶賛、笑顔をたくさんもらうことも。安くて感謝されるのだから、FLAT HOUSEの引っ越しはまさに一挙両得といえる。

とにかく作業風景が和やか。笑いさえ生まれこちらも世間話を仕掛けたり。道路の使い方にも余裕がある。

平屋TO平屋の引っ越しはいつもせかせかすることなくゆったり完了。更に繁忙期を避けることで毎回料金は底値の部類と業者にいわれる。

(3)ペット飼育可能物件が多い

「たまに不可な物件もある」というほどペット飼育可能物件が多いのがFLAT HOUSEだ。それでも「小型犬なら可」「外飼いならOK」というような条件がついていたりすることもあるから平屋のオーナーはおおらか。だからといって過度に言葉に甘え、奔放に飼い放してあとは野となれ山となれというようなことは絶対にしてはならない。それで家屋を傷ませたり汚したりすれば「やっぱりもう今後はダメ」とオーナーを心変わりさせてしまうからだ。せっかくの理解ある待遇には恩をもって応え、入居時と変わらないくらいにクリーンナップして退去すべし、ということは言うまでもない。

ネコならば多頭飼いも可能。しかもここの平屋の住人Mさんはとても綺麗に飼育していた。

貸家なのに我が家のようなリラックス加減のIさんの愛犬。見ているこちらも眠くなる。

(4)交渉の余地がたくさん

マンションなどの一般物件だと、絶対に借家人と大家を会わせないという不動産業者は多い。仲介業者を挟まない古い平屋は、オーナーと直に話す機会が多いということでもある。これを煩わしいと捉えるか、好機に恵まれていると捉えるかで暮らし方は大きく変わってくる。FLAT HOUSEに暮らす場合は当然後者とみるべき。

筆者が昔住んでいた平屋では、毎月末には家賃を直に納めに、すぐ裏にあるオーナー宅に行っていた。そこで大家のおばさんと月一回近況報告や情報交換をしたりするのだが、この時間が結構重要なのだ。この時に家屋の傷みや器具の不具合、近隣トラブルなどを共有し相互の信頼を構築する。そうすることで何かあった時に頼み易くもなり、退去時には金銭の話にも影響したりするので馬鹿にできない。筆者はこの情報共有をしていたおかげでバスタブと湯沸かし器を早いタイミングで交換してもらった経験もある。そのような会話の機会がたくさんあることは古い平屋暮らしの大きなメリットと考えてよかろう。

このような木枠窓や木製の建具は改装されてしまうケースが多いが、直にオーナーと接触できるFLAT HOUSEでは残してもらえるよう交渉もできる。

(5)交渉次第では入居前のリノベーションが可能

前項同様、マンションなどの一般物件だと仲介業者がセルフ改修を許すことは稀。しかしFLAT HOUSEの場合は手弁当で屋内を塗り替えたい、あるいは自費で畳を板床に張り換えたいなどの交渉をすると気前のよい返答が返ってくること多々、賃料を取らずに前倒しで家の中に入れてくれたりする。また、交渉次第では家賃自体を遅らせてもらえる場合や、荷物を一部先に置かせてもらえたりすることもある。前項に話が繋がるが、交渉次第でいかようにも希望の形に持って行ける余地があるのがFLAT HOUSEなのだ。

床の張り替えや塗装は、入居前(家賃発生前)に申し出て前倒しで作業させてもらったことがある。

トイレも入居前に塗装を済ませておきたい場所。

そこかしこに見られる米軍ハウスのモルタル壁のクラック(亀裂)も、入居前に塗装が載る変成シリコーンで充填しておく。案ずるより~で、そう難しい作業ではない。

(6)モチベーションの高さが青天井

「これは主観でしょう」といわれたら、そのとおり。そこに異論を挟む余地はなく、誰しもがそうなる保証はまったくない。しかし、マンションなど集合住宅に入居するときよりも確実に“妄想”のトリコになることは保証する。これがある程度のセルフリノベーションが許されたFLAT HOUSEであれば尚更、転居が決まった日から脳内でバーチャル工事や仮想転居が始まるのだ。お風呂に入っていても布団に入ってもトイレに入っていても転居先の平屋の青写真でアタマはいっぱい。しかも新築のように高額な費用をかけていないのに、あたかも自分が家を建てているかのようなワクワク感を楽しめる。筆者も「あそこのハウスから貰ってきたドアを、あそこに付けてみたらいいんじゃないか!?」「随分昔にe-bayで落札したシーリングライトをあそこに這わせてみるか!」などという新築でもあまり味わえないような「閃き」を大いに楽しんだし、今も楽しんでいる最中である。

ここまで読み進めると「コミュ二ケーション能力が問われそう…」などと言い出す人が出てきそうだが、そのような大仰なものは無縁。自分が落とし物をした時に交番で一生懸命説明する程度の引き出しを発動させれば良いのである。

思えばこういう手続きをすべて面倒と思い込み、おカネで丸投げしてきたのがこれまでの私たちだった。確かに時に彼らを使うことは有用。時間の短縮や手間の回避のために依頼してよかった、ということだってある。現に引っ越しは例外を除いて無理に自分でやらない方が良いというスタンスだ。それで身体を傷めたり心身ともに疲労し切ってしまっては、むしろ失うものの方が大きい。そういう場合は大いに企業インフラを利用すべきだ。


しかし、お金を支払うのは本当にそれしか解決方法がない時、自分ひとりでは乗り越えられない障害に対処する場合に限ってのみである。なにもかも業者丸投げは経済面のみならず、暮らしを楽しむ上でもっとも退屈なことだ。まあまあ煩わしいことは私ドモがやりますんで~なんてコトバを真に受けてすべて彼らに一任するからどんどん面白いものが企業主導になり、私たちから“物事を楽しむ力”やそういう機会や場所が失せていくのである。苦労と楽しさはセットなのだ。そのことを私たち平屋生活者=FLAT HOUSERはよく知っている。古い平屋は人間のそういう潜在的にある、困難も一緒くたにエンジョイする能力を、存分に引き出してくれる舞台装置なのだ。


さて、次回は入居してからのメリットを解説しよう。実質的な長所が多かった今回に比べ、視覚・感覚的な話が主になる予定。乞うご期待!


アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。今夏には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリースする。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク 。 

最終更新日:2017年09月20日


キーワードを入力してください

キーワードから探す

本文はここまでです このページの先頭へ

Yahoo!不動産 おうちマガジンとは?

不動産にまつわるマジメな記事からおもしろ記事まで、家さがしが楽しくなる情報をお届け!新しい暮らしのヒントが満載のマガジンです。