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古い平屋暮らしのススメ FLAT HOUSEの定義とは?

2017年10月31日

アチュー・ワークス

古い平屋暮らしのススメ FLAT HOUSEの定義とは?

FLAT HOUSEに住む#4

古い平屋暮らしのススメ FLAT HOUSEの定義とは?


前回は2回に渡りFLAT HOUSE に住むメリットのお話をしてきた。今回は「FLAT HOUSEの定義」について話したいと思う。


昨今トークイベントの終盤に行う質疑応答で「茅葺き屋根の古民家もFLAT HOUSE なのですか?」「◯◯のような家もFLAT HOUSEと考えて良いのでしょうか?」「アラタさんのいうFLAT HOUSE ってどんな物件ですか?」というよう問いをよくもらうようになってきた。うーん、ジツに虚を突く質問である。確かに書籍にもその辺りのことは明記していない。よく拙著を熟読してますなぁとつい称揚。いやいや感心している場合ではない。これは今一度きちんと話しておかねばならないだろう。というわけで、以下6点を満たす物件をFLAT HOUSEと定義したいと思う。とはいえこれらは筆者の独断と偏見であって、どこかの大学教授の権威的な書物に記してあったりどこぞの公的機関が定めているというものではないので、そのあたりは予めご了承を。

(1)2階以上がない一戸建て住宅であること

これはいわずもがなの最低条件である。しかしロフトを2階のように使用している物件も、構造が平屋であればFLAT HOUSEとする。

屋根の形状は、切妻屋根が好ましいが、平らな陸屋根や片流れでも可。

ロフトをセルフで設えた物件も、階段があれどFLAT HOUSEと呼んで差し支えなし。

(2)賃貸物件であること

「人生を賭すような多大なる借金を背負ってまでモノを所有しない」という考え方がFLAT HOUSE住人にとっての基本的理念と心得る。そのため「住まいは可能な限り借りる」を旨とする。と同時に、所有物でなくとも自分のものと同様に可愛がること。自邸と考え改修・修繕したりと丁寧に手を加えるという姿勢を持つこと。しかし持ち家であっても低額で、手持ちのポケットマネーだけで無借金購入したような物件であればケースバイケースで例外とする。

売りに出されていた福岡市の米軍ハウス。価格は東京で2LDKの中古マンションを買うよりもずっと安かった。

(3)戦後から1975年までに建てられた住宅であること

1950年代の経済復興に伴って建てられた大量供給型の簡素な木造(時に別素材も可)平屋をFLAT HOUSEと呼び、茅葺き屋根だったり囲炉裏があったりというような築百年超えの古民家は基本除外している。また、建具にアルミサッシなど工場で作られたプレキャストパーツを多用し始める1975年(昭和50年)あたりの住宅から、それまでの住宅に見られたような味わいや面白味に極端に欠け出す傾向にあるため、例外を除いて除外する。「アメ車は1972年生産まで」を明言している友人がいるが、FLAT HOUSEも同様に期間がある。

昭和20年代築のハウスに長期間住んでいた住人が転居したあとにお目見えした、オリジナルと思しき木製のキッチンユニット。これをきれいにリファインして再利用する。今の工業製品には到底ない存在感だ。

(4)最低2面以上の外観が臨めること

エクステリアが重要なFLAT HOUSEは、隣家に接近し過ぎてファサード(正面)しか見えないようなことがあってはならない。外から見てファサード以外にもう一面が完全に露出していることを条件とする。3面が拝めれば尚良し、全面が臨めればパーフェクトである。

かなり傷みは激しいが紛うことなきFLAT HOUSE。庭もたっぷり、ポテンシャルは高い。

ほぼ4面がぐるりと臨める完璧な東京M市のFLAT HOUSE。

(5)オリジナルを大きく損なう改修がなされていないこと

外側は古い平屋だが、中に入ったら新建材ですっかりリフォームされていてイマドキマンションの体だったというような物件は該当せず。逆にエクステリアが樹脂製外壁材で囲われてしまっているような平屋も適用外。

サイディングの外壁やドアをすっかりイマ風に刷新してしまった米軍ハウス。これではFLAT HOUSEの良さが大激減。暖炉も付いているレアな物件だというのに残念である。

(6)なにより住人が暮らしを楽しんでいること

そして住人の脳内が如何なく家に反映され、その偏愛がにじみ出ていること。

実をいえば(1)を除いてこれが一番大事だったりする。実際、建て売りや新築マンションを購入したりする人の屋内を見ると、ただ買って来たものを何となく並べているような光景をよく目にする。せっかく大枚を叩いたというのに、肝心のインテリアはジツになおざりにされている印象で、筆者からすれば何のためにわざわざ家を購入したのか理解に苦しむ。所有することに拘る人ほど、暮らし自体を楽しむ貪欲さに欠けているように見え、そここそがいかに大切かということがよく判っていないのではないかと思えてならない。

よく「自分にはおカネがないので本に載っている人たちのようなオシャレな暮らしはムリ」というようなことを言う人がいるが、それは大きな勘違い。彼らのいうオシャレとはおそらく住人の趣味がセンス良く反映されている状態を意味するのだろうが、「オシャレにしている家=おカネをかけている」わけではない。平屋で暮らすFLAT HOUSERたちは、そのような自由になるお金を潤沢に持っている人ばかりではなく、むしろなるべくおカネをかけずにをモットーに生きている。みんな貰ったモノや不要品、ネットオークションやリサイクルショップを上手に使いこなす術を知っている人たちであり、持っているとすれば「カネを使わず豊かに暮らすセンス」であろう。

彼らは少ない固定費で浮いたバジェットと時間を、自分の脳内を平屋に反映させるために注いでいる。最終的に家屋が自分のものになるか否かにはあまり関心がない。それよりも自分のキュリオシティの追求に忙しいのである。そういう住人を宿す建物がFLAT HOUSEだといえる。

東京都K市にあるSさんのFLAT HOUSEは道行く人を和ませる。無粋な塀の類いを作らず、好きな花をうまく家に絡ませ「見せる」ことに徹している。

福岡県福岡市にあるKさんのFLAT HOUSEもエクステリアから住人の趣味嗜好がバッチリ判る。さぞ人生謳歌型の楽しい人が住んでいるんだろうと、暮らす人の顔が見てみたくなるような外観だ。 

東京都K市のKさんのFLAT HOUSEは家の年齢に合った古いものがたくさん並ぶ。買って来たものはほとんどなく、大半が不要品を譲り受けたもの。それでもここまで楽し気に暮らせるのだから天才的。人生はこのように謳歌せねば損である。 

東京都F市にあるNさんのFLAT HOUSEもおカネと無縁。高価そうに見えるインテリアも不要品が殆どで、賃料も都心の駐車場並み。内装も完全セルフで施工し、ドライフラワーも奥様作。そこいら辺のインテリアコーディネーターでは到底太刀打ちできない迫力がある。


以上が筆者が唱えるFLAT HOUSEの定義6ヶ条である。今後これが7つ8つと増えて行く可能性もあるので、その節はまたここで考察するとしたい。さて、次回はFLAT HOUSEの種類についてお話したい思う。乞うご期待!


アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。今夏には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。

最終更新日:2017年10月31日


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