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FLAT HOUSEの種類/米軍ハウス以外にも種類がいろいろ...

2018年03月09日

アチュー・ワークス

FLAT HOUSEの種類/米軍ハウス以外にも種類がいろいろあるんです

FLAT HOUSEに住む#7

FLAT HOUSEの種類/米軍ハウス以外にも種類がいろいろあるんです


米軍ハウス、文化住宅と2回にわたって平屋の種類を解説してきた当シリーズの最後は(3)以下のプレハブ、注文設計、セルフビルド、そしてそれらに該当しないFLAT HOUSEを見てみたい。


【FLAT HOUSEの大別】

(1)米軍ハウス

(2)文化住宅

(3)プレハブ

(4)注文設計

(5)セルフビルド

(6)以上に該当しない平屋

(3)プレハブ 

平屋を取材していると稀に見かけるのがプレハブ工法のFLAT HOUSEである。海外での誕生はすでに1世紀を経ているが、国産の登場は戦後の高度成長期。積水ハウスや大和ハウス、ミサワホームなど現在も大手企業として残るハウスメーカーが、昭和30年代にこぞってプレハブ住宅を発売した。それらの初期タイプは海外のプレハブ住宅に触発されて造られたとも見られるが、狭い立地や日本人のライフスタイル・経済力などに見合うように再解釈され売り出された。


「ミゼットハウス」は各社よりひと足早く大和ハウスが世に送った一棟。かなり小型で水周り設備もなく、造りも今見るとほぼ物置だが、モバイルハウスや小屋が密かに人気を呼んでいる現在、復刻したら結構売れるような気がする。観音開きの窓が愛くるしい。(画像:大和ハウス)

積水ハウスが1960年代に発売したプレハブ平屋「セキスイハウスB型」。今見ると少々西洋的ライフスタイルを誇張しているように映る。初めて水周りを有したプレハブとして注目を集めた「A型」は、プレハブ住宅として初の有形文化財に登録されている。(画像「Thinking for the House」より) 

東京都日野市にある陸屋根に橙色のドアの平屋は、ミサワホームが1969年に発売した「ホームコア」と思しき一棟。

福岡県福岡市にある緩やかな切妻屋根の平屋は、1962年発売の大和ハウス「ダイワハウスA型」と拝察。 

東京都日野市にあるこちらも大和ハウス社製に見えるが、窓数が多かったり瓦屋根が乗るなどカスタマイズされていて、前出のA型より後のタイプと推察される。

(4)注文設計

アノニマスデザインに近かった米軍ハウスや文化住宅に比べ、出所がはっきりしているのが建築家による注文設計の平屋だ。圧倒的に数が少ない上、都市部に作られていることが多いため、そのほとんどが解体の憂き目に遭っており残存数は僅少。それだけに出会うのが最も困難なFLAT HOUSEでもある。



東京都杉並区の大谷邸は1950年代にウイリアム・ヴォーリズの愛弟子によって設計されたFLAT HOUSE。大学や公共施設しか仕事を受けなかった同氏がめずらしく私邸を手がけたということからも希少な物件で、屋内外を問わず微に入り細に穿った素晴らしいディテイルが見られる。しかし残念ながら維持の困難さから2012年に解体された。拙著「FLAT HOUSE LIFE 1+2」に詳細を掲載しているので興味のある方はご参照を。

東京都国立市にある空洞コンクリートブロックで作られた平屋。米軍ハウスの回に紹介した沖縄の外人住宅はこの材料で建てられた平屋が多いが、首都圏では前衛的な建築家が1950~60年代に新建材として実験的に採用した例がしばしば残っている。

(5)セルフビルド

線引きが難しいこともあり拙著ではあまり取り扱わなかったD.I.Y平屋だが、佐賀県唐津市の本山早穂邸を見てからはFLAT HOUSEの仲間入りさせることと相成った。女性が単独で造り上げたという驚異の平屋は、ルーフプランティング(屋上緑化)やストローベイル工法の壁、コンポストトイレやソーラー温水器による露天風呂、井戸水によるリユースプールなど、オフグリッドな試みも満載の一棟。こちらについては、以前の取材記事や拙著「FLAT HOUSE LIFE in Kyushu」にも詳細を掲載しているので興味のある方はご参照を。


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(6)その他

(1)~(5)に当てはまらないオルタナティヴなFLAT HOUSEがラストを飾る。誰がどういう経緯で建てたか詳細は不明なれど、見ていて楽しい平屋群には、つい「平屋たち」と呼んでしまいたくなるウィットがある。


東京都武蔵野市付近で見かけたFLAT HOUSEは造形もカラーリングもジツに個性的。エクステリアの面白さはもちろん、クルマも家に見合ったものを選んでいるなど、住人のセンスと楽しげな暮らしぶりがうかがえる。

東京都世田谷区に建っている平屋。奥行きが短く、なんだかカステラを切ったようなフォルムでジツに親しみが持てる。周囲に背の高い建物が迫り、まるでバージニア・リー・バートンの絵本『ちいさいおうち』の実写版のようだ。

東京都八王子市にある平屋はプレハブにサイディングを施したようなエクステリア。セルフでやったようにも見える仕上がり具合ではあるものの、人とは違うものにしたいという意気込みと緑の多い周辺環境に合わせようと努力した形跡が感じられる。


東京都立川市にあるNさん所有の古い平屋集落の中の一棟。永年フランスで暮らしていた画家であるオーナーが、知人アーティストのために平屋2棟を接合し改装したという瀟洒(しょうしゃ)なFLAT HOUSEは、往来する人々の眼を惹く。屋内の造作も複雑で、永年住んでも飽きの来なさそうな面白い造りになっている。作品を生み出すことを生業とする者であれば、都心の一等地のマンションなどではなくこういう住処にこそ住むべきである。


「平屋=FLAT HOUSE」と一口に言ってもこれだけの種類がある。エコロジーで安全設計を謳った住宅が普及する昨今、おかげですっかりどの街並みも画一的になってしまった。その中にポツリポツリと点在する木造平屋は、本来住宅が持たねばならない「楽しさ」を静かに伝えてくれている。


アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。今夏には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。 

最終更新日:2018年09月13日

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