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年貢を納めてレッツ田舎暮らし! 「シェアビレッジ」って何だ?

2018年05月18日

アチュー・ワークス

年貢を納めてレッツ田舎暮らし! 「シェアビレッジ」って何だ?

憧れの田舎体験ができる方法とは?

年貢を納めてレッツ田舎暮らし! 「シェアビレッジ」って何だ?

こちらが村となる古民家。なんと築135年になるそうで、立派な茅葺屋根が風格を醸し出しています。

移住や2拠点を考える人の新たな選択肢

おうちマガジンの読者であれば、移住や2拠点といったライフスタイルに敏感な人も多いのではないでしょうか。自分の大好きな場所で、理想の暮らし。妄想ばかりが膨らみますよね。でも、いざ具体的にシミュレーションしてみると、あまりにも現実的じゃなくて諦めるしかなかったり……。


でも「シェアビレッジ」なら、年間たった3000円の年貢(年会費)を納めるだけで、いつでも帰れる故郷ができるというのです。その仕組みって、どんな風になっているの? 村ではどんなことが行われているの? 色々な疑問を、株式会社kedamaの代表、武田昌大さんに尋ねてみました。


株式会社kedamaの代表、武田昌大さん。秋田生まれの秋田育ち。現在は東京を拠点に、村のある秋田と香川を行き来する。(撮影:中川文作)


「僕は秋田で生まれ育ちました。地元はゲームセンターもカラオケも映画館もないめちゃくちゃ田舎なところで。当然都会に憧れて、大学進学とともに秋田を離れたんですが、東京のゲーム会社で働いていた24歳の時に地元に帰ってみると、かつて活気のあった商店街がシャッター通りになっていて、人も歩いていないし、車も走ってないことに驚かされました。6年離れていた間に、こんなに町が衰退してしまうなんて、と」


田舎には人がいない―。長らく言われ続けていることですが、普段東京で過ごしているとなかなか実感できないもの。人生の半分以上を過ごした地元の変わり果てた姿を目の当たりにしたことは、武田さんにとって大きな衝撃だったといいます。


「このままだと、地元がなくなってしまうかもしれない」。そう考えた武田さんは、まず秋田を「知ってもらう」ために若手農家集団「トラ男」を2010年に結成。秋田のお米を東京のみならず、世界に向けて発信するプロジェクトを手がけます。そして次に、秋田に「来てもらう」ための仕組みとして考えたのが「シェアビレッジ」でした。


「秋田は人口減少率が全国1位。7ヶ月に1万人のペースで人が減っているんです。県全体の人口は99万人ですから、100年以内に県自体がなくなってしまうかもしれない。それを食い止めるためには、観光だけじゃなくて、土地と地元の新たな関係性を作っていく仕組みが必要だったんです」と武田さん。(撮影:中川文作)

日本の原風景を伝える茅葺(かやぶき)屋根の古民家を、次の100年に残したい

「シェアビレッジ」は、シェアハウスでも民泊でもありません。村民が集まって、みんなで村を作るというという考え方。村とは、秋田県の五城目(ごじょうめ)町にある一軒の古民家のことをそう呼んでいます。この古民家こそ「シェアビレッジ」が生まれるきっかけとなったものだとか。


「人々が交流できる場を秋田に作りたいと思っていたところ、知り合いが紹介してくれたのが五城目町にある当時築133年の古民家でした。70代の前オーナーさんが生まれ育った、茅葺屋根の古き良き日本の暮らしが残る家。でも、3ヶ月後には取り壊すというんです。実は茅葺屋根を維持していくには年間数百万円もかかるそうで、さすがに厳しいと。一目惚れした直後に聞いたので、もうショックで。次の100年にこの日本の古き良き田舎の原風景を残したい、と本気で考えました」


前オーナーさんが通いながら手入れをしていたおかげで、すぐに人が住めるような状態だったという。

茅葺と雪というなんとも幻想的な風景。茅葺屋根を一度に全面葺き替えるためには1000万円もかかるそうです。


年間数百万円の維持費を捻出できれば、建物を残すことができる。そこで思いついたのが、この家を村に見立てることでした。村民がちょっとずつお金を出し合えば、この古民家を守っていけるのではないか、と。

村民はいまや2000人以上! ご近所との交流も盛んに

そこでクラウドファンディングを通じて募集をすると、「年貢を払って村民に」というキャッチーさも手伝って、わずか45日間で目標額を大きく上回る結果に。古民家は無事に解体を免れ、現在では47都道府県に2000人の村民が手を合わせて村を維持しています。


「都会生まれでいわゆる故郷がなく、夏休みに帰れる田舎がほしい」というファミリーから、単純に「隣の家のおじいちゃんとお話したりしたい」という人まで。村民の主な層は20代~30代。地域の人と関わりたいというニーズが多いのだそうです。


「シェアビレッジ」では、宿泊と合わせて、いつでもさまざまなことが体験できる。里山サイクリングやかまどでのご飯炊き体験、茅葺屋根の材料となるすすきの刈り込みのワークショップが用意されています。さらに節分や節句など季節ごとの行事、年一回の「一揆」と呼ぶ村民のためのフェスなどのイベントも 。


「高度成長期で古いものを捨て、新しいものを作って発展してきた日本ですが、それによって失われてしまったものをもう一度取り戻す。そんな感覚なんです」と武田さん。田舎の人には当たり前なことでも、現代の都会に暮らす人たちにとっては貴重な体験。村を自分の故郷として、その暮らしに関わることができるというのは、「シェアビレッジ」ならではです。


「コミュニティーができるというのも大きな価値のひとつです。たとえば、田舎に行くだけではなくて、村民だけが集まる定期開催の飲み会『寄合』を都市部で開いているのですが、秋田の村でも同時開催していて、スクリーンを介して生中継で交流をするんです。すると、一緒に村に行ける仲間が東京でできて、行ったことがなくても秋田の村民とも繋がれる。村に行くと誰かしらの友達がいて、泊まれて、しかもイベントがあるので、ひとりで知らない観光地に行くよりもぐっとハードルが下がるんですよね」


すると、いつのまにか仲間が増えて、ついには移住する人も増えてきているそう。「自然がたくさんあるとか、食べ物が美味しいとか、どこかに移住したい人の理由は人それぞれあると思いますが、一番大事なことは地域の人たちとの繋がりなんです。シェアビレッジでは、『じゃあ今度来た時に仕事紹介するよ』とか『いい家あるよ』って言ってくれる人たちと繋がれるというのが非常に重要なんです」


移住しようとする先にすでに知り合いが沢山いるとなれば、移住のハードルはぐっと下がるというもの。これまでに、シェアビレッジをきっかけに、なんと20組以上も移住しているそうです。


前オーナーさんのご夫婦。生家が守られ、喜んでいるそうです。この場所で飲むコーヒーが大好きだったとか。

部屋は基本的にそのままですが、水回りなどだけはリフォームされています。キッチンも、前オーナーさんがオール電化にリフォーム済みなのだそう。


「また、地元の人たちとの交流も楽しいんです。『一揆』と呼ばれるフェスのときには1日で300人くらいの人が集まったのですが、そうすると何か楽しそうなことやってるなって、地元の人たちも集まってくるんです。最近では近所のおじいちゃんが年貢と書いた封筒に3000円入れて『私も村民にしてください』とやってきたり。そこが単なる古民家・民宿とは違うところだと思います」

将来的には12ヶ所に村を作りたい

そんな魅力的な「シェアビレッジ」ですが、現在は香川県の仁尾(にお)にも村があります。村民はどちらの村でも自由に行けるそう。さらに、将来的には計12ヶ所に村を作ることを計画しているといいます。


「一村一村、それぞれの地域に住む人たちと協力してコミュニティーを築いていかないといけないので時間はかかります。村となる家もどこでも良いわけではなくて、地域の歴史や文化が残っているところじゃないと意味がないんですよね。最終的には、日本全体を一つの村として、各地に家が12軒ある、という形を目指しています。村人100万人を目標に掲げているので、なるべく早く実現したいですね。直近では、3村目を今年の夏、4村目を来年の春にオープン予定です」


移住や2拠点を考える人にとって、まさに理想的な仕組みである「シェアビレッジ」。こうした新しい取り組みが、地域を少しずつ元気にしていくのかもしれません。


取材・文=石井 良


【取材協力】

最終更新日:2018年05月18日

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