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東京生まれ・東京育ちの建築士が金沢暮らしを選んだ理由

2018年06月11日

アチュー・ワークス

東京生まれ・東京育ちの建築士が金沢暮らしを選んだ理由

ちょうどよい距離感の移住・二拠点

東京生まれ・東京育ちの建築士が金沢暮らしを選んだ理由

一級建築士で、現在は首都圏の私立大学での大きなプロジェクトに取り組んでいる長澤秀徳さん。東京の下町生まれで大人になってからは山の手側の高輪で暮らしてきた根っからの東京人ですが、昨年、金沢との二拠点を開始。それは「家族を思い、自らのキャリアにもプラスとなる生き方の選択」と言います。


自分だけではなく家族にとっても二拠点

長澤さん:昨年の夏から二拠点。現在は妻と2人の子どもは金沢に在住。私は月に2回金沢へ、という生活です。逆に小学校の春休みや夏休みなど長い休みの期間は妻と子どもたちが東京に戻ってきます。彼らは金沢での暮らしをとても楽しんでくれているのですが、東京で暮らしていた時の学校や近所の友人たちと会えることは気持ちの面で良いもののようですね。


「移住を焦っていたわけではなかったからこそ、かえって話が円滑に進んだのかもしれません」と振り返る長澤さん。


東京と、もうひとつの拠点を持つという決断も家族の理解、応援、納得があってのこと。長澤さん単身での二拠点ではなく、家族にとっても、2つの慣れ親しんだ場所ができる。それを楽しんでいる。これは長澤さんにとって安心材料のようです。そもそも二拠点のきっかけも大げさだったり、切羽詰まったりしたことでもありませんでした。「なんとなくこれがきっかけだったのかなぁ」と長澤さんが振り返るのは長男の「一軒家で犬が飼いたい」という一言。ただ、その子どもの想いは、都会の賃貸住宅という制約を、家族が少し息苦しく感じはじめたアラートだったのかもしれません。


長澤さん:数年前から、葉山、鎌倉、軽井沢で探していたのですが、家族で折り合いがつきませんでした。それが昨年、Facebookの友人のポストに、今住んでいるこの物件が出ていたんです。それまで金沢という選択肢はなかったのですが、たまたま目に留まり気に入ってしまって。もともと私が知っていた、小津誠一さんという建築家が設計した建物だということもあって、すぐに不動産屋に連絡を入れ、もう2日後には金沢に物件を見に行きました。そしてその2日後には決定。家族もいいんじゃない、ってことで自分でも驚くほど早い展開でした。


広く、立体的ながらどこにいても家族の会話ができる絶妙の設計。これも長澤さんの理想のひとつだった。

好きな空間に、自分たちの成長や歩みにあわせて手を加えていくという楽しみ。直近はお気に入りの家具を見つけてテレビ周りを充実させたいとのこと。


家族の理解の一つには、奥様の実家が金沢から近い石川県羽咋市(はくいし)で菜園を持っていたり米づくりなどもしているなど自然に近い環境があり、また、子どもたちが「おばあちゃん子」で「自然と野菜好き」という状況もありました。しかし、これまでは東京との距離感含め拠点としてこの地を選ぼうという考えは家族としてもまったくなく、長澤さんの建築士としての建物に対する嗅覚、理想が、たまたまこの地の物件にあったということから一気に進展したのです。

縁が縁を呼ぶ。決断は自然な流れの中で

「ただ、この人が担当でなければここまで早い決断にならなかったかもしれません」と長澤さんが感謝するのは、この物件を仲介し、長澤さん家族の初めての二拠点生活のはじまりをサポートした「金沢R不動産」の笠原美縁(みのり)さん。今でも連絡を取り合い、家族ぐるみの付き合いが続いています。


これから手を入れたい場所の相談から、金沢の新しい動きなどの情報交換。売買だけで終わらない不動産業者との関係は二拠点での強い味方になる。


笠原さん:この物件には私も強い思い入れがありました。実は、私の大学の先生が建てられたもので、私もこの家に遊びに行ったことがあったんです。そのときに、とてもいい家だなあと。私が担当できるというのは大きな喜びでした。当初、先生は賃貸の予定だったのですが、この家を好きになってくれるいい方がいれば売ってもいいよ、とおっしゃっていました。長澤さんは、本当にこの家を気に入ってくれて。そのことも、びっくりするぐらい話が早く進んだ理由の一つだと思います。


町家や著名建築家が手掛けたもの、たたずまいの良い商店街のリノベ物件など、金沢はクリエイティブな物件が多い。北陸出身で大学時代を金沢で過ごした笠原さんにとっても金沢で新しい刺激が生まれることは、個人としても不動産業としても楽しみなことのようだ。


自分が知っている建築家の設計した家が自分の知人のSNS上にあがり、自分にとって理想的な家を注文し、愛した家主の暮らしの面影があり、その家主の教え子が担当だった。縁が縁をつくり、今まで想定していなかった金沢と東京の二拠点生活が自然に生まれていきました。

10年後を夢みて、日々の幸せな時間を過ごす

新しい理想空間で始まった金沢暮らし。現在、二拠点ならでは、金沢ならではの日々を楽しまれています。まず建築士としての目線から。


長澤さん:笠原さんからも聞いていたのですが、金沢は伝統工芸の歴史があるとともに、美大などもあり、外から来るアーティストやクリエイターに寛容な文化があるようです。また、散歩をしていても刺激される建築物や街並みが多く、癒しとともにいい刺激も受けられるんです。自然とも調和していますし、子どもたちにもいい環境かなと思います。


散歩コースの途中に素敵な建築。仏教哲学者・鈴木大拙の考えや歩みを知る記念館は、多くの外国人も訪れる金沢の名所。水盤を撫でる風が心地よい。


隣人が加賀友禅の職人、人気の老舗和菓子店が町内にさりげなくたたずむ…長澤さんの家の周りも落ち着いた雰囲気ながら、金沢のクラフト文化がしっかりと息づいています。そして家族の暮らしには今までにない新しい楽しみや関わりが生まれました。


雨の金沢という風情。長澤さんの家のすぐ近くにある人気和菓子店も、派手さはなく慎ましやかにのれんを掲げる。


長澤さん:とにかく金沢の家にいるとリフレッシュできるんです。まとまった仕事は持ち帰りません。金沢は天気の移り変わりが早くて、いろんな表情を見せてくれます。この家は、街並みと一体感がありながら外からの目線を遮断し、家からは外と空が感じられる絶妙の設計。ダイニングのテーブルに座って天気の移り変わりを見て、子ども達が犬と遊んでいる様子を感じながら、奥さんとゆっくりと話す。それが癒しにも元気にもなります。小さなデッキも、ドッグランにしたりいろいろ楽しく使っていますので、これから家族でもっと楽しめるようなスペースにもしていきたいですね。


周囲の閑静な雰囲気と溶け合うことを意識しながら、中に住む人のプライバシーを確保する。


そして「外に食事や飲みに行きたくなったら、奥さんや息子たちと一緒に、そして一人でふらっとでもすぐに出かけられるのもいい。飲食店のレベルも高いですからね」と長澤さん。家の中での幸せと、家の外の程よい刺激。金沢は日本有数の文化、観光都市であることで、東京育ちの長澤さんとしてもリスペクトできる街であり、利便性の高さも、すっと入り込めた要因。「当初考えていたいろいろな心配事は杞憂だった」と長澤さんは振り返ります。


長澤さん:住んでみて金沢で良かったと思うことはいろいろありますが、当初は離れた場所にいて妻や子どもが病気だったらどうしよう、とか、東京しか知らない子どもたち…まあ私もそうなんですが(笑)、それ以外の土地で大丈夫なのだろうかなど心配事はありました。でも、子どもはすごいですね。金沢での友だちとも遊びながら、携帯のアプリやオンラインゲームなどを通じて東京の友だちと繋がって遊んでいたりするんです。ITインフラが整うと仕事面で二拠点がしやすくなるという話はありますが、子どもたちも同じなんですね。そうそう、離れていても(無料通話アプリの)FaceTimeで子どもたちに説教ができるのも恩恵です。怒られて画面の向こうでしょぼんとしてるんですよ(笑)。離れたところでもちょっと幸せなことがあれば妻とも画面を通じて乾杯。なかなかいいものです。


もともと備え付けられていたストーブ前は、子どもたちと愛犬にとっての遊び場。「犬が飼いたい」という願いが素敵な形で実現。


東京と金沢の二拠点生活。その10年後を長澤さんは今から楽しみにしています。


長澤さん:現在は高輪のマンションは引き払って、東京では勤務先にほど近いという便利さもあって、何十年ぶりに母親のいる実家に戻り、二人で住んでいます。父が先日亡くなったばかりだったので私が一緒にいられるというのも、これもいいタイミングだったのでしょう。母と一緒に過ごすという機会を大切に思える日々です。先日は久々に2人でドライブして、コストコに買い物に行きました(笑)。10年後は、できれば金沢に軸足の比重を高めたいと考えているのですが、そこは母を含めた家族全体のバランスかなと。今は自分でも当初考えていなかったほどバランスがとれている状態。今後、息子たちが進学などで東京に来るかもしれないですし、母が歳を重ねてどのような状況になるかも今はわかりません。でも、こうした状況の変化も二拠点の醍醐味として前向きに楽しみたいと思っています。


金沢を選んだ理由は偶然と縁からの自然なものでしたが、建築士としてのインプットとアウトプット、家族の幸せな笑顔が広がる、現状ではベストな選択。さらに「家族と過ごす上で、自分が考えていた理想の家に近かった」という物件を、「自分と家族の今とこれからにあわせて手を加えていく」という喜びもあります。10年後、この家のリビングから金沢の空を見上げる。その先のことを思いながら…長澤さんは充実の金沢と東京の二拠点生活を過ごしているようです。


取材・文=岩瀬大二 撮影=片山よしお

【取材協力】

最終更新日:2018年08月30日

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