ページトップへ

Yahoo!不動産おうちマガジン は家探しのヒントが満載の情報サイトです!

>
>
60年代ヒッピーカルチャーの継承!? 平屋集落のフリーマーケ...

2018年10月04日

アチュー・ワークス

60年代ヒッピーカルチャーの継承!? 平屋集落のフリーマーケット

FLAT HOUSEに住む#14

60年代ヒッピーカルチャーの継承!? 平屋集落のフリーマーケット

フラット・ハウス集落は60年代的コミュニティ

以前ここでもお話したように、フラット・ハウスのほとんどは当初かたまって建っていた。元々はひとつの街のように集落化していたのだが、建て替えられたり売却されたりして少しずつ減ってゆき、1棟だけが新築の中にぽつんと残ったというパターンが少なくない。


しかし、現在も小さい集落で残っているような場所も少ないながらある。東京横田基地界隈に残る米軍ハウスも、未だに4~5棟ほどの小さな集落となって点在している。概ねは同じオーナーの所有で、半世紀経った今でも貸家集落として代替わりしたオーナーが残しているという具合だ。


特に米軍ハウスにおいては、60年代後半から住み始めた住人たちの「同じ価値観を持つ者同士」という連帯感が強かった。

当時ちょうどアメリカでヒッピーが誕生し、彼らのリベラルなスピリッツが音楽や映画を通して日本にも上陸し、その影響がハウス集落にも共有されたということもあったのかもしれない。


理由はどうあれハウスにはいつしか集落ごとにコミュニティが生まれ、互助の精神が宿りお互いの暮らしを支え合うようになる。

モノの貸し借りや物々交換に始まり、お互いの子供の面倒を見合ったりといったかつての地域社会のようなエモーションが根付いた。

この精神が今も引き継がれており、実はフラット・ハウス暮らしの醍醐味のひとつとなっている。


東京は立川市に「Xエリア」と呼ばれる米軍ハウス集落があるのだが、そこで行われるアートや音楽のフェスティバルにもそのスピリッツを感じることができる。

筆者の住む福岡の元米軍基地の町にも同様の連帯感が生まれつつあり、飛び石状に点在する米軍ハウスであっても住人たちはとても仲が良い。誰かの家に集まって呑んだりといったかつてのハウス住人たちのような暮らしを図らずも継承している。


春と秋には「FLAT HOUSE market」と銘打ち、町内の米軍ハウス数棟が庭先でフリーマーケットを行っている。

これはハウス住人が自宅の庭先に不要品を並べるヤードセール(庭先蚤の市)で、欧米にゆけばガレージセールに並んでよく見かける風景なのだが、わが国ではほとんど見ることがない。


特に福岡の人々は金銭的に豊かなのか、わが街に限らず「日用品のリサイクル」という意識があまり暮らしに根付いていないように感じたため、実際の米軍ハウスに訪れてもらう機会も兼ね、筆者が試験的に始めたものなのだが、これが予想以上に良い結果を生んでいる。


今回は今年5月に催された第2回目をリポートしたい。

ハウスはリユース精神の塊

福岡市の海の街にわずかに残る米兵用住宅=米軍ハウス4棟(今回は3棟)の庭先で催すフリーマーケット(ヤードセール)は元ベースタウン(米兵用住宅街)を散策しつつ、たくさんの人にフラット・ハウスに触れてもらうことも目的として始めた企画で、駅から徒歩でそれぞれのハウスを廻って買い物を楽しんでもらうというスタイル。当日は朝から爽やかな快晴に恵まれたヤードセール日和となった。


一軒目は工房「Dozen」。オーナー以外にもご近所数世帯が出店して前回より賑やかに。無造作に庭に置かれた旧車がまた気分を盛り立て、当会場の中で一番のユルさを醸していた。この日本離れした光景も当イベントの魅力のひとつ。

出店者やご近所のこどもたちが広々としたマーケット会場で大はしゃぎ。彼らにもこのフラット・ハウスのスピリッツを受け継いでもらいたい。

正方形の庭横にワーゲンキャンパーを押し込んで開設したのは2軒目の「FLAT HOUSE villa」。そこに親不孝通りの居酒屋チームが合流し、最も高密度な会場となった。しかしこんなふうにギッチリとモノが詰まってくるとスワップミート感は本場さながらに高まる。

先述の蚤の市を早々に引き上げてきた手練れのお客もちらほら。こういう方々に来てもらえるとこのイベントにも箔がつく。

3軒目は「KOGA HOUSE」。オーナーであるK大教授Kご夫妻と、すぐ裏手のハウスに住むOさん、そして町内のレトロマンションに住むSさんの3世帯が合同出店。もう一棟建ててしまえそうな潤沢な庭先での店開き。この贅沢なスペースがハウスにおけるフリーマーケットの売り。駅からは一番離れているが、ブースからは海が臨めるリゾート感たっぷりの会場だ。

松林の向こう側には博多湾が広がる。Sさんは同名のガラス店の法被を羽織って怪しげな石を販売。かと思いきやお宝も結構あってびっくり、筆者もつい散財してしまった。恐るべしS嬢ショップ。

途中から雨天に見舞われた前回は、急遽商品を屋内に移して続行した。こういう緊急対応ができるのもヤードセールの長所。 

筆者が出した今回のお買い得商品のひとつは、このオールドパイレックスのキャセロール。1970年前後の新品未使用取説付き、箱はないもののほぼミント状態。拙著ファンの女性がお買い上げ。

これぞ当日の隠れた目玉商品、スター・ウォーズのリストウォッチ。デススターのケース入り+箱付きで超破格の500円。こんなモノがこんな価格で出てくるんだからフリーマーケットはやはりすごい。某タウン情報誌の編集者がホクホク顔でお買い上げ、インサイダー取引の疑いあり(笑)

個人的に一番の釣果は前出のSさんから購入した木製のリカーケース。キャラクターのイラストが2色使いでプリントされている上、とても丁寧に作られている。これが600円。同日行われた蚤の市のような大きなイベントでは先ず買えない逸品。


自然に逆らわず、お金に左右されることなく個々人が支えあいながら楽しく豊かに暮らすことを標榜する「パーマカルチャー」は、原発の一件以降ますます広がりを見せている。50年代のビートジェネレーション、そして60年代のヒッピームーブメントをルーツとするこのムーブメントには、古い物を大事にし使えるものは使うというスピリッツも包括されている。


しかし日本の住宅街でこのような催しを見かけることはついぞない。行われているのは相変わらずタイムスリップしたような半世紀も経つ木造平屋の集落の中だけである。クリスマスに街ぐるみで電飾を点けるのもいいが、それだけではあまりに寂しくはないか。

あなたの街でも近隣に声をかけてやってみてはどうだろう。こういうことが始まれば、街のみならず住人たちのエモーションも変わってゆくと思う。


アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。17年には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。

最終更新日:2018年10月04日

キーワードを入力してください

キーワードから探す


本文はここまでです このページの先頭へ

Yahoo!不動産 おうちマガジンとは?

不動産にまつわるマジメな記事からおもしろ記事まで、家さがしが楽しくなる情報をお届け!新しい暮らしのヒントが満載のマガジンです。