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「ユーティリティー」と呼ばれる物置のような部屋。その多彩な使...

2018年11月01日

アチュー・ワークス

「ユーティリティー」と呼ばれる物置のような部屋。その多彩な使い道

FLAT HOUSEに住む#15

「ユーティリティー」と呼ばれる物置のような部屋。その多彩な使い道

こんなふうに勝手口に繋がる物置や倉庫に作業場を兼ねた部屋がフラット・ハウスには付いていることが多い。この一室があるとないとでは大違い。

古いフラット・ハウスには、一般住宅にあまり見られないような設備や建具が付いていることがある。そのひとつがユーティリティーと呼ばれる物置のような部屋。これがあるとないとでは暮らし方の面白さが随分違うのだ。


ハリウッド映画や海外のドラマを観ていると、お勝手口につながる物置のような部屋を見たことがないだろうか。それらはちょっとした家事ができるスペースであったり、パントリーと呼ばれる食材庫であったりする。屋内に設えられているものや、ガレージに兼ねられていたり地下室にあったりとさまざま。物を格納しておく他にワークスペースとしても使用できる、その名のとおり有用性の高い空間だ。


横須賀市にある古い外国人向け住宅にあるユーティリティー。こういった家事に類する作業に広い部屋を丸々充てるというのもお国柄だろうが、羨ましい。 


洗濯機やアイロン掛けができるスペースもあることからランドリールームと呼ぶケースも。

土間の延長線上にある便利な空間

しかし日本の場合は少し事情が違う。住宅の小ささから、それが家の横に付随する小屋のような増築部分であることが多い。やはりその多くは米軍ハウスに見られるものだが、文化住宅にも設えられているケースも。土間になっているため洗濯機以外にも自転車やベビーカーなどもそのまま収納できる。


筆者が住んでいた東京都府中市の米軍ハウスに付いていたユーティリティー。キッチンと勝手口のドアで繋がっており、外に出るドアが2カ所に付いている。洗濯機や乾燥機、家財道具から自転車まで一切合切が収納できた。右のドアはボイラーが入っていた小部屋。


その昔、オーナーが入居した米軍兵からこういうスペースを作ってほしいというリクエストを受け作ったのが最初だったそう。後付けで家の横に設えたところ喜ばれたため、以後建てたハウスには標準装備にしたという。 

ペットもゆったり

さらに面白い使い方がある。ペットを飼う小屋としての流用だ。埼玉県狭山市にあるKさんのハウスのユーティリティーは愛犬の部屋としても使われている。昨今外で飼うケースは殆ど見なくなっているが、アレルギーがあるので部屋に上げるのは難しい…というような飼い主にはかなり有益なスペースとなるのではないだろうか。住居と続いているため寂しがることもないので安心。家と庭との中間エリアとして重宝している。


広さにして4畳半ほどの広さ。収納はたっぷり。右下では愛犬がくつろいでいる。 


気候のよい季節には窓だけでなくエントランスもフルオープン。リードを長くしてやれば外にも自由に出ることができる。


エントランスには2段の階段が。木枠窓が取り巻くように設えられたエクステリアが可愛らしい。母屋ときちんと繋がっているので、後付けではなさそう。

作業スペースとして活用

中には大工仕事や木工作業ができるようなスペースとして使っているケースもある。福岡市で飲食店を経営するHさんのフラット・ハウスにあるのは浴室に繋がるユーティリティー。元々物置として作られたようで、Hさんが入居前からあったもの。広さもあるのでHさんは木工アトリエ兼事務所として使用中。こうなってくると俄然使用目的の角度も広くなってくる。


家財の他、道具や材料なども思いっきり置ける広さ。手仕事以外にも夜な夜な友人を呼び入れて一献なんていうときにも活躍してくれる多目的室。土間なので汚れも気にせず使えるこんなスペースがひとつあったら暮らし方にも幅が出る。


この収納を一度やってみたい! という諸兄は多いはず。 


空間あるところ、これすべて収納スペース。もちろん棚の造作も自由。


ラップトップPCを持ち込んで伝票整理なども。こんなところでできたら面倒な書類仕事も少しは楽しくなりそう。


後ろの棚にはサイズ違いのビス類がびっしり。細い木製ドアを開けると小さな庭に出られる。 


物置然とした出入り口からは充実した屋内を想像するのは難しい。落ちてきそうな広い軒が個人的にはそそられる。 


通りから見ると中が見たくなるこんなエクステリア。一本出っ張っているのは今や「トマソン(※)」と化した風呂釜の煙突。※当初は意味をなしていたが、今や役目が終わりオブジェと化した設備など不動産に属するものを指す。赤瀬川原平らの発見による芸術上の概念。


Hさん平屋のファサード。向って左側の建家がユーティリティー。

アトリウムとして応用

植物を育てたりくつろぐ場所として使う例もある。同じく福岡市の米軍ハウスを再生して住んでいるKさんのフラット・ハウスのユーティリティーがそれ。実はこのハウスは筆者が2014年にリノベーションを請け負った物件で、このユーティリティーの再生を施工前から強く薦めた経緯がある。海が近いため前家主が魚を捌くのに使っていたのか、人研ぎ(人造石研ぎ出し)の2層深底シンクがあってまるで番屋のようなかなり暗めの部屋だった。そこにサルベージ(救出)してきた木枠窓をはめ込んで明るいランドリールーム兼アトリウム(温室)となった。


外からも屋内からも入ることができるKさんハウスのユーティリティーは、入居前は半壊状態だった。壁を修繕して窓をはめ再塗装すると見違えるようなアトリウムに生まれ変わった。正面右に見える白いブロック状のものが深底シンク。当初交換説もあったが、このまま使うことを推奨しリユースとなった運び。


寝室とも繋がっているので洗濯や乾いた物の取り込みも効率的。なによりベッド上からの景色がいい。天井部分は敢えてリペイントせず、オリジナルの塗装を残した。


バスルームから見た景色。ワンクッションあるので浴室の窓も開け放って入浴できる。


外壁は下見板で連続性を持たせて違和感なく繋げた。


ファサードの右側がユーティリティー。庭にもすぐ出られるレイアウト。


3つの例を見てきたが、これ以外にもここで音楽を奏でたり、ガレージセールをしたりと使い方は千差万別ある。床暖房や浴室乾燥といったような設備についてはよく語られるが、こういうスペースの有用性が論じられることはあまりない。最近では玄関を広めに取るという手段も見られるが、大きな家財道具を収納したり作業場としての役目をさせたりすることは難しいだろう。もしこれから新築をお考えなら、このユーティリティーの併設をぜひおススメしたい。もちろん建てる家は二階建てではなく平屋であることはいわずもがなである。


なお、上記の物件は拙著『FLAT HOUSE LIFE1+2』『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』に掲載しているので、ご興味のある方はご参照を。


アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。17年には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。 

最終更新日:2018年11月01日

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