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仕事をしたり愛車をいじったり 庭に多目的な小屋をセルフビルド...

2018年12月18日

アチュー・ワークス

仕事をしたり愛車をいじったり 庭に多目的な小屋をセルフビルドする平屋住人

FLAT HOUSEに住む#16

仕事をしたり愛車をいじったり 庭に多目的な小屋をセルフビルドする平屋住人

古いフラット・ハウスには一般住宅にあまり見られないような設備や建具が付いていることがある、ということで前回「「ユーティリティー」と呼ばれる物置のような部屋。その多彩な使い道」では物置や作業部屋として使うユーティリティーの話をした。2回目の今回はそれらを自らの手で造作してしまったケースを紹介したい。


釘1本打ってもダメといわれる日本の賃貸住宅にあって、自分でユーティリティーを増設してしまうなんて物件があること自体信じられないかもしれない。しかし、フラット・ハウスにはそれが可能な物件が少なくない。もちろん、勝手に造ってしまうわけではなく大家の了解は得るのだが、結構大胆に造作するフラット・ハウザーも多いため、釘一本にビクビクさせられている賃貸住人にとっては夢のように映るだろう。そういうオーナーのおおらかな許容が今回の「平屋のおまけ」というわけだ。

家に不服はないけれど

東京都下にある築半世紀以上の文化住宅を借りて住むOさんには、当初ひとつだけ不満があった。それは愛車である大型バイクを置いておく場所がないこと。文化住宅は高度経済成長期真っ只中の住宅不足に呼応するように建てられたため、サイズも当時の日本人の体格やライフスタイルに合わせられておりおおむね小ぶり。しかしアート系の内装仕事を生業とするOさんにとってセルフリノベートなど朝飯前。夫婦二人でも快適に住めるよううまく改修したが、趣味だけでなく時に出勤にも使うという、このバイクの格納場所の確保だけが当面の課題だった。

なければ造ってしまおう

家の北側にそこそこのスペースがあることに目をつけたOさんは、そこにガレージを作ることを画策する。大家に相談するも、特に問題なしとの返答が得られたため早速着手。しかし、ただバイク庫をつくるのでは能がない。

愛車いじりができることはもちろん仕事道具をも収納でき、さらにアトリエも兼ねられたら理想的と考えた。


波板の部分がガレージ兼アトリエ。自転車の収納の仕方がすでに意識的。


家の奥側には樹々が生い茂っていて隣家との間に結構なスペースがあったそうだが、そこに自分でガレージを建ててしまおうと考えるところがさすが平屋住人。


8畳ほどはあろうか、大型バイクもすっぽり収まる。右側の壁が母屋の外壁。 


単に趣味の場というだけでなく、仕事机も置くことができている。この混在がOさんのガレージならでは。


仕事をしたり愛車をいじったり。遊びと仕事の境界線がないというところも平屋住人の共通項。



軽い波板を使って製作したゲートは開閉もスムーズ。このサイズのものを店子に建てさせる大家もじつに度量が広い。なんとも夢のような空間だが、やろうと思えばできるということをOさんと平屋は教えてくれている。

庭にシェド(小屋)を建てたママ

片や、シングルマザーのTさんはアトリエを庭に完全独立させてしまった。現在九州に移住しているTさんは、数年前まで住んでいた東京都国分寺市のフラット・ハウスを自宅兼洋裁を教えるカフェにしていた。同時に洋服の製作販売も行っていたため、集中して仕事をする場所が必要だったTさんは単独で庭にシェド(小屋)を建ててしまったのだ。


観音開きのドアに跳ね上げ窓。じつに凝った造り。


広さにして3畳ほど。時には物置にも。こもるのにはちょうど良いサイズ。


デスクもすべてTさんのハンドクラフト。屋根と壁の隙間から入ってきた枝葉が観葉植物のよう。


スチール製の物置があるよりもこんな建物がいい。景観もよくなるので庭に出る頻度も上がりそうだ。


外観も可愛い手作りアトリエは、当時は幼稚園児だった娘さんと友達の遊び場としても活躍し、お客さんやその子供たちにも大人気だったそう。出てゆく時は声をかけてという知人が大勢いたという。このようなものを造ればその次の店子も即入るし、家賃の多少のアップも見込めるかもしれない。賃貸に付きものの「原状復帰」という語がばかばかしく聞こえてくる。


こういう暮らしを豊かにするものを自らの手で設える心意気の持ち主が平屋愛好家=フラット・ハウザーであり、そういう彼らの行為を温かく許諾してくれるのが平屋の大家、そしてそれに応えてくれるのがフラット・ハウスなのである。賃貸でもこの関係が担保されれば、住人は快適に暮らせ大家の資産には付加価値が付き、平屋は延命するという「3者幸福論」が成立する。


それには彼らのように完成度の高いものを造らねば、成立は得られないということはいわずもがな。

中には出来損ないを造って出ていってしまい、大家が往生するようなケースもある。そういう行為は3者の幸福関係を大いに崩し、それに続こうとする平屋住人の足をも引っ張るので絶対禁止と申し上げておきたい。


コーポやマンション、テラスハウスなどの賃貸物件ではまず想像できない大胆なセルフリノベーション。それらが許されるという信じ難い「おまけ」が平屋には平然と付いてくる。


アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。17年には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。 

最終更新日:2018年12月25日

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