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フラットハウスは浴室が楽しい! 部屋の延長として楽しむ個性豊...

2019年03月01日

アチュー・ワークス

フラットハウスは浴室が楽しい! 部屋の延長として楽しむ個性豊かなバスルーム

FLAT HOUSEに住む#18

フラットハウスは浴室が楽しい! 部屋の延長として楽しむ個性豊かなバスルーム

古家の本を書いている筆者だが、今の新築住宅にまったく関心がないワケではない。どんな建具やパーツが今の最先端なのかには人一倍興味がある。良いものは新旧厭わず取り入れてゆきたい志向だ。しかしいろいろ見るにつけ、一様によく研究されていて使い勝手も良さそうな印象ながら大きく欠落していると感じるポイントがある。それが「楽しさ」だ。水廻りも清潔さ便利さには秀でているものの、それ以上のものが何もない。特に浴室は完全に「身体洗浄カプセル」の様相。しかしフラットハウスのバスルームには利便性はなくともそれだけは満載。今回は入って愉しく見て楽しい平屋の味わい深いバスルームをご紹介したい。

フラットハウスの浴室はタイル張り

米軍ハウスの浴室はタイル仕様が基本だった。特にバスタブは、当時木製の小さなものを使っていた日本に於いて、欧米の生活様式や西洋人の身体サイズに適うものがなかったためかモザイクタイルで造られている。その多くは半世紀以上の間に傷んで交換されているが、時に奇跡的に残っているものがある。おそらく左官職人が写真を参考にするなどしてひとつひとつ丁寧に作ったのだろうそれが、ユニットバス全盛のこの現代に見るととても可愛らしく映るのだ。 


東京福生市Iさんの住むハウスのバスルームに残るタイル張り浴槽。人間が横になって入れるようスロープが付いている。内側を薄いピンク、外側を薄いブルー、床をクレイジーパターンで仕上げてある。なんとも可愛らしい。


ふちと壁面は小口のタイルを丁寧に配している。シート状のものが無かった当時は1個1個並べていったに違いない。


東京国立市にあったハウスのバスルームは、真っ白い室内にブルーのタイルのバスタブがぽつんと嵌る潔さ。残念ながらこの後解体されてしまった。


東京福生市にあったKさんのハウスのバスルームは、シャビーシックがぴったり合う色調。 日曜日の朝に入りたい雰囲気。

オリジナル度の高い沖縄外人住宅のバスルーム

本土のハウスと違い、コンクリート造りがほとんどの沖縄の米軍ハウス(沖縄では外人住宅と呼ぶ)は、木造好きの古家ファンからはあまり評価が高くないもののバスルームは抜きん出て良い。何よりオリジナル度が高く、コンディションがすこぶる良いのだ。おそらく木造のように大きな改修が効かなかったのではないかということと、沖縄の人々に湯船につかる習慣がないため浴室の傷みが少なかったのではないかということがその理由と考えられる。そのため奇跡的に良好な状態で残存しているのだろう。


嘉数にあるSさんの住む外人住宅のバスタブも奇麗なブルーと白とのツートーン。タイルの損傷もなくジツにキレイに残っている。


往時に付けられたと思しきタオルハンガーの位置が面白い。その上のイラストは住んでいた米兵の子供たちが貼ったのだろうか。沖縄ではこのタイルのデカールで遊んだ跡がしばしば見られる。 


トイレポッドがバスタブの横にレイアウトされている海外仕様。大きな窓からたっぷりと日差しが入る。


Oさんの住む外人住宅のバスルームは、清涼感のあるパキッとしたブルーのタイルが印象的。トイレポッドは今のものだが、洗面シンクはふち付きのかなり古いタイプ。この使い分けは大いにアリ。


浴槽の壁には金魚のデカールが。このセンスはいかにもガイジンさん的だが、入浴していて愉しそう。しかしどこで手に入れたのだろう。


リゾート感たっぷりにアレンジされたバスルームは飲食店の浴室。敢えてタイルを見せずに木製パレットを敷きつめたところに感心。 


バスタブの底部のモザイクパターンが我が家の福岡のハウスと同じだった。三鷹市の平屋の浴室床も同じだったので、60年代にはポピュラーだったのかもしれない。

そのほかにも楽しいバスルームがいっぱい

タイル張りの西洋式だけではなく、邦人が入るようなサイズのバスタブがある浴室もある。本当に外国人が入れたの? と疑ってしまうようなサイズなのだがこれがまた可愛らしいのだ。


福岡市のKさんのハウスのポリのバスタブは、元はタイル張りが入っていたはずだがこれはこれでとてもいい雰囲気。トイレポッドとの間にパーティションが設けられているのはとてもめずらしい。清潔感とハウスの楽しさが見事に両立している。 


東京小金井市のSさんのハウスのバスルームは楽しさが満載。小さな女の子がいるということもあってファンシーなのだが、流行のアニメキャラクターがひとつも見当たらないところがいい。浴槽サイズはシャワーブースに近いが、家族3人で入浴しているというから微笑ましい。


突如飛び出す蛇口は元々はシャワーだったそう。ヘッドを軽くひねったら取れてしまったので蛇口を付けてハンガーにしたのだとか。なんともクリエイティブ。 


小さいながら引き違いの窓が付いている。リペイントされた木枠窓が可愛らしい。 


シンク廻りもジツに楽し気。ガーリーなのに幼稚っぽくない仕上がりにセンスを感じます。


フラットハウスのバスルームはその古さから「汚い」「気持ち悪い」といったような印象を持たれることもあるが、それは現在の浴室が「キレイ過ぎる」からなのではないかと最近思うようになった。もちろん清潔なのは良いことなのだが、それが行き過ぎれば単なる樹脂製カプセルのような場所になってしまう。浴室は人間がただ身体を洗浄する部屋ではなく、リビングや書斎の延長としてある方が良い。湯に浸かりながら考え事をしたり会話をしたり遊んだりできる場所であった方が良い。その部分を今の浴室はごっそり「清潔」「簡便」と交換してしまったのではないだろうか。古い平屋のバスルームには、タイル張りの空間と共に半世紀前の人々のゆったりとした時間の使い方の空気やウィットが残っている。


アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。17年には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。

最終更新日:2019年03月01日

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