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自宅でお店を開くということ 賃料は実質かからない、ホームショ...

2019年07月30日

アチュー・ワークス

自宅でお店を開くということ 賃料は実質かからない、ホームショップのメリット

FLAT HOUSEに住む#23

自宅でお店を開くということ 賃料は実質かからない、ホームショップのメリット

不況から生まれたSOHO

みなさんは「SOHO(ソーホー)」という言葉を聴いたことがあるだろうか。この語が生まれたのは80年代のアメリカ。当時深刻な不況に直面し高い失業率を抱えていた彼の国では、職に就けない個人がパソコン1台で起業し自宅を事務所と兼ねるという、いわば住まいのオフィス化が進んだのである。そのような暮らし方を Small Office /Home Officeの頭文字を取って「SOHO」と呼んだ。今でこそそうめずらしくない生活形態だが、40年前はまったく新しいライフスタイルだった。


再開発と個人商店の絶滅

現在の我が国の街に目をやると、店主の高齢化と社会の二極化、そして開発競争の激化がうまくリンクしてしまって個人商店の廃業がどんどん進んでいる。後継者もほとんどが勤め人になってしまっているせいで、商店街のシャッター化にも歯止めがかからない。潰れた後には資金力のあるナショナルチェーン店が納まるか、商店街全体を解体してどかんとタワーマンションが建つかのいずれかがお定まりのパターン。地価の高い大都市圏では、個人商店はすでに絶滅危惧種ならぬ“絶滅必至種”となってしまっている。おかげで今やどこの駅前も景色は同じ、「街のクローン化」が著しい。これが再開発の現状でもある。


日本でも新しいライフスタイルが

そんな中、ちょっと面白い動きが見える。店舗を自宅に兼ねるHome Officeならぬ「HOME SHOP/ホームショップ」という生活スタイルの発生で、かつての米国におけるSOHOを思い起こさせるような現象だ。実践者の多くは都心部や商圏から離れた住宅街の賃貸物件に住み、その一角を自らの手で商いのスペースに改装して営業している。首都圏で平屋の取材を重ねていると、このようなホームショップにしばしば出会う。これは面白いと気をつけて見ていると、結構同様の物件があるのだ。そしてこれらは全国規模で自然発生していることがわかってきた。 


多種多様なホームショップ・スタイル

業態も、自作の絵はがきを扱う店やジンを扱う書店、アンティークショップ、カフェ、自家製パンの店とジツに多種多様。営業スタイルも週末のみ開店しているようなケースから完全に生業にしている人までとさまざま。しかし店主たちに共通しているのは「自宅で何かできないかなあ~」という至ってシンプルな思考から始めているということと、ジツに楽しんでやっているということ。もしかすると80年代の米国の社会状況と今の日本が似てきているのかもしれないが、オフィスではなく対面販売を楽しんでやっているというところがウチの国らしい。今回からシリーズでこの楽しきホームショップ・スタイルのさまざまな暮らしぶりを見てゆきたい。


ホームショップのメリットはこんなにある!

宅の一部を店舗とするホームショップ・スタイルは、今の時代とても理に適っている。特に賃貸住宅でしている人々の運営はジツに軽やかで、その長所はざっとこれだけある。


(1)賃料は実質無料

とにかく賃料が重くのしかかってくるというのが、店舗を始める際の一番の懸案事項ではなかろうか。これを借金で賄うためオープン後も苦戦を強いられるのが我が国では専らのケース。しかしホームショップ・スタイルで始めれば店舗賃料は実質0円。自宅の一部を使うわけだから経済的にも精神的にもスムースな運営が始められる。 

(2)イニシャルコスト(初期費用)がかからない

店舗を借りるのに必ずかかるのが保証金。これがまた高額だ。首都圏では家賃の数十ヶ月分を要求されるようなケースもある。このコストが店を始める人々の大きな足かせとなっている。しかし自宅開業のホームショップ・スタイルならばそんな費用も不要。専業主婦や学生だって無借金で始められるというわけ。 

(3)「自分の商売」を貫ける

店を持っていると高い店賃の支払いに追われ、不本意な商売をせざる得なくなるというケースというのもままあること。「景観も崩れるので本当はしたくないんだけど…」といいつつ仕方なく店先にドリンクの自販機を置いたというような話も。しかしホームショップ・スタイルならばそんな葛藤とは無縁。

(4)通勤時間は限りなくゼロ

片道1時間かけて職場に通っているとしたら週10時間、1時間半ならば15時間も移動していることになる。自宅の中にあるホームショップならば通勤時間は「数秒」。いやいや通勤は公と私を切り替える大切な時間帯だから~なんていう声もしばしば聴くが、一度自宅で仕事をしてみていただきたい。そもそも気分の切り替えに週10時間以上も必要なのかというのが筆者の考えだが、こんなにも使える時間が増えて体力をセーブできるのかと驚くはずだ。また食事も家でできるため外食せずに済むし、雨が降って来たとき洗濯物が取り込めるなんていうのも案外大きいメリットだったり。 

(5)社会問題の解消

全国にある空き家は今や820万戸。それらをホームショップ化させれば、空き家が減って個人商店が増えるという一石二鳥。また、古い家屋で始めた場合などは建物そのものを見たくて来る古家ファンたちの聖地的な一店になる可能性も秘めており、町興しにひと役買うケースもあり。空き家問題のみならず、さまざまな社会問題の打開に繋がる。 

(6)地域に貢献

店主の高齢化やネット通販の影響、そこに再開発が追い討ちをかけてどんどん店が消えてゆき、あるのはコンビニだけというような町が激増している昨今「昔は近所にお店がたくさんあったのに…」というのは今やどの街に行っても聴かれる嘆きの声。そこにキラ星のごとく現れるホームショップは周辺住民に大そう歓迎される。駅の遠近などは関係なく、住宅街という立地からも地域社会の拠り所的スポットになることが多い。ホームショップの開店=地域貢献となる。

(7)家族といる時間が増える

勤め人であれば、平日家族といられる時間は朝と晩のほんのひととき。ホームショップ・スタイルで暮らせば家族といられる時間がぐっと増える。幼い子供のいる家庭ではいつも目の届くところにいられるというメリットがあるし、ペットを飼っている家では留守中の心配からも開放される。

(8)移転がカンタン

初期費用がほとんどかからずに始められるホームショップは、たたむのも容易だ。自分の経済状況や周囲環境が不本意に変化するようなことがあったら別の物件に移ればよい。オンタイムの暮らしに沿った設計が速やかに実行に移せるのもホームショップ・スタイルの利点だ。 

以上がざっとお見せできるホームショップ・スタイルのメリットである。店を構えるわけだから定住型ライフスタイルにも見えるが、その根幹は昨今流行のノマドスタイルやモバイルハウスのそれと非常に似ている。土地には執着せず時間を大切にし、自分のライフスタイルは貫くという生き方は、この3者に共通するスピリッツだ。次回は実際のホームショップを見ながら各論に入っていこうと思う。乞うご期待!


次回内容はこちら:自分の好きなスタイルでお店をやりたいなら、閑散とした住宅地が狙い目?


アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。17年には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。

最終更新日:2019年10月02日

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