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自分の好きなスタイルでお店をやりたいなら、閑散とした住宅地が...

2019年08月29日

アチュー・ワークス

自分の好きなスタイルでお店をやりたいなら、閑散とした住宅地が狙い目⁉

FLAT HOUSEに住む#24

自分の好きなスタイルでお店をやりたいなら、閑散とした住宅地が狙い目⁉

瀬戸内海に浮かぶ直島のホームショップ「Shioya Dinner」

前回は住居に店舗を兼ねた暮らし=ホームショップ・スタイルのメリットをお話した。

ではどうやったら始められるの? という次なる疑問にお答えし、今回は物件の探し方・始め方のお話をしたい。

物件探し

ホームショップを始めるには、先ず適した物件を探さなければならない…ということはない。極論をいえば、今あなたが暮らしているところを一部屋片付けをして商品を並べれば、そこはもう立派なホームショップなのである。(賃貸借契約で問題ないか確認の上。契約上ダメな場合は交渉してみてもいいだろう)ムリなく開店できるこのスタイルの魅力は、そういう既成条件を選ばない部分にあるのだ。しかしちょうど引っ越しを考えていて、できればホームショップに適した物件を探したいという人もいるかもしれない。その場合にはいくつかアドバイスしておきたいことがある。

ロケーションはやっぱり駅近?

ホームショップを開いて自家製クッキーを売りたいのだが、たくさん稼ぎたいので人通りの多いところがいい。なのでなるべく駅に近い物件を希望する。おそらくそんなふうに考えるのが人情であり、大多数の意見だろう。しかし答えはNOである。もちろん駅に近くて適した物件はあると思う。が、そういう物件は漏れなく家賃が高い。そうなれば稼ぎを増やす必要が出て長時間働かなくてはならなくなる。そして大半は家賃のために働くという主客転倒が始まる。また人通りの激しいエリアは競争も激しい。売りたくないものも並べなくてはならなくなるかもしれない。


駅周辺は今でも高家賃。特に首都圏は郊外でも高額な保証金を要求される(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

レッドオーシャンから外れろ

そうなれば、前回お話しした「自分の商売のスタイルが貫ける」というホームショップのメリットが失われる可能性大。好きで始めたはずの店がどんどん不本意な重労働という感覚になっていく。仮に収入が増えたとしても、大半は家賃などの固定費に消えて手元にはほとんど残らず、残るのは徒労感だけ。次第に辞めたいと思うようになる。一般の商売セオリーに倣おうとすれば、ほとんどがこのパターンを辿ることになるだろう。駅近物件や目抜き通り沿いは集客が多くても、「レッドオーシャン」と呼ばれる競争の激しい熾烈なサバンナでもあるのだ。ホームショップの場合、青写真からこのエリアを外すことをおススメしている。


経営が苦しくなると店先には自販機が並び出すことも。この光景はホームショップには相応しくない(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

狙い目は閑散とした住宅地

ホームショップ・スタイルは一般の商売セオリーとは真逆で、「人のいないところでやれ」が極意。駅からの遠近は今や商売においてデメリットにはならない。面白い店があると知れば、昨今は辺鄙(へんぴ)な場所であっても客の方から探して来る時代だ。むしろそういったエリアにある方が好まれる傾向にさえある。しかもそういう場所には低い家賃の物件や、いつまで経っても埋まらない万年空き家などがひしめいている。駅と駅との間にあるような街や、バス停からも遠いような“陸の孤島”こそ、ホームショップに相応しいエリアといえよう。そういう街で空き家を安く借り、一角を店舗にするというのがホームショップ・スタイルの流なのである。


JR中央線立川駅からバスで15分ほどの住宅街に突如として現れるホームショップ「Norbulingka」。不便な立地にも拘らず、若いママたちに裁縫を教えるカフェとして人気を博した。現在は九州に移転

住宅街の店舗跡を探せ

また以前は商店があったが、店主の高齢化からすっかり店舗が消えてしまったというような痕跡がある街も探す価値がある。「昭和50年代には夕方ともなればお祭りのような人出だった」などという四方山話が年配住人の口から出るような住宅地には、必ず極小規模の商店街や個人商店が集まったマーケットの跡地があるはずだ。そこには1階が路面店で2階が居室という「店舗付き住宅」という、まさにホームショップにうってつけの物件が眠っている確率が高い。今は近隣にできたショッピングモールにダメ押しされ、すっかりゴースト物件となっていても、借り手さえいるならとまだ募集していたりもするので迷わず当たってみたい。


典型的な店舗付き住宅。今は住人らが高齢化したベッドタウンに再利用されることもなくひっそりと佇んでいる 

古い団地の周りを歩いてみよう

高度成長期、そのモダンな間取りや内装から人々の憧れだった団地。昭和30年代を皮切りに、陵原の火のごとく全国規模で広まり各地に林立、そこかしこにニュータウンと呼ばれる巨大団地集落が生まれた。幼少時代に先の大戦をくぐり抜けた若い夫婦たちが、そこで安定した家庭を育もうと先を争って入居した。しかし今や彼らも後期高齢者となり、独立し巣立っていった子供たちも都心のマンション住まいから戻って来ない。前世紀末に始まったこのニュータウンのゴーストタウン化から既に20年が経っている。


エレベーターを造らなかった団地は高齢者が住めなくなり、上層階から空いてゆく 


そして彼らの消費に頼っていた周辺の小規模商店街も、シャッターを閉め切って久しい。このシャッター商店街も、今や社会現象をとうに超え国家的事案である空き家問題に強くリンクしている。しかし、そこにこそホームショップを始める素地がある。なにしろ周囲に店がないのだ。住人が集まる拠り所も自治会の施設以外ない。そんな街の住人たちは店舗というものにとても飢えている。そこで飲食店なんかを始めようなら、あっという間に人気の店になるのは想像に難くない。こんなに人が住んでいたのかというほどお客が押し寄せたりする。若い人が何かしてくれるならと家賃も低くしようという大家を含め、地域住人も全面的な協力をもって歓迎してくれる、というわけだ。


古い団地には必ずあった自治会の施設

レトロ化した団地にはシャッターが下りた店舗付き住宅がセット。 高齢化したとはいえ住人が住んでいるからにはまだ需要があるはずである

かつては団地住人で賑わったろう小ぶりな店舗モールもシャッター通り化。特にクリーニング店は、住人らの定年退職に伴って受注も減るためたたむケースが多い典型的な店舗のように見える。この近所の別の店も錆びたシャッターが降りていた

化粧品店、電気店、そして何だったのかは不明だがもう1店の3店舗が並ぶ短い商店通り。ここも閉まって久しく見える。しかし団地には新世代の住人も入っているので、職種を飲食などに変え全店ホームショップで再生させれば面白いことになりそう。すでに誰も期待していないようなこういう場所こそが狙い目

比較的新しい団地の商店通りでも昼間はこんな感じだったり。空にしておくのであればホームショップにしたいところ、交渉の価値ありだ

人が居ない場所にこそ

これらのように昨今では地方都市は元より、首都圏であっても人口の流出が止まらず過疎が始まっているようなエリアが現れ始めている。しかしそういう人の少ない地域こそが、ホームショップにとってのいわゆる「ブルーオーシャン」なのだ。そんなところで商売が成立するのかという意見も多いだろうが、人がすべて地域から居なくなったわけではない。平日の日中は人口が一気に減ってしまうベッドタウンであっても、数万人は居る。また、現在はSNSやTwitter、Instagramなど個人発信のツールが幅広く定着しており、それらを使ってまだ人が見つけ出していないような店を探索する人たちも多い。テレビでさえそんなローカリティを掘り起こす番組で溢れている。


先述したように、今や交通の不便さは決して商売のデメリットとはならない。むしろそこだからこその需要が隠れている。その上、低賃料、低競争、地域貢献といった嬉しい付録がたくさん付いてくる。大量輸送社会に帰依した駅前中心型の商圏ヒエラルキーから逸脱した古くも新しい暮らし方であるホームショップは、「成長あるのみ」という一元的な経済理論から見捨てられたような街でこそ成立する。あなた目線で見つけたブルーオーシャンで、ホームショップ第1号店を始めて欲しい。


次回内容はこちら:賃貸の平屋をセルフリノベでカフェに 天井を抜いてロフトも製作

アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。17年には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。 

最終更新日:2019年10月02日

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