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超・低家賃! 大正時代の時計店をブックカフェに その屋内は?...

2019年11月06日

アチュー・ワークス

超・低家賃! 大正時代の時計店をブックカフェに その屋内は?(2)

FLAT HOUSEに住む#28

超・低家賃! 大正時代の時計店をブックカフェに その屋内は?(2)

誰かに雇われるのではなく、店舗を兼ねた賃貸住宅を使って自らのアイデアで暮らす「ホームショップ・スタイル」。これまではそのメリットや種類、物件の探し方・借り方などを見て来た。

自宅でお店を開くということ 賃料は実質かからない、ホームショップのメリット


前回からはそのケーススタディ。大正時代に建てられた時計店を使用して、実際にホームショップ開店に漕ぎ付けるまでの足掛け4年を見てゆくシリーズの続編。

前回の内容はこちら:超・低家賃!大正時代の時計店を自宅兼ブックカフェに(1)


このシリーズは

1.物件との出会いとオーナーへの提案

2.内覧と入居者探し

3.清掃と施工

4.開店準備とオープン

の4節に分けて見てゆく。今回は「2.内覧と入居者探し」のエピソードを。


筆者が2013年福岡の米軍ハウスに転居し、他にもハウスはないものか町内を自転車で走っていたところ、眼に飛び込んできたのは黄色い古家。やれた外観、朽ちた屋根、錆び付いたシャッター。閉まって相当な時間が経っている店舗付き住宅と判明。取り壊される前にと知人を介してオーナーのOさんにお会いして交渉、返答が途切れたものの1年後見事に低賃料にて貸してもらえることに、というのが前回まで。

借り手がやってきた

友人から、運営するゲストハウスに福岡への移住希望の夫婦が関東から泊まりに来ていて、O時計店の話をしたら是非とも見てみたいと言っているという連絡が入った。Facebookの『HOME SHOP style』のページで紹介していたトピックを彼は読んでくれていたのだ。

神奈川で飲食店を経営しているN夫妻は現居界隈の人口の多さに疲れてしまったそうで、都市部と程よい距離を保った田舎での再出発を希望しており、この街を「昔の沖縄の空気が流れている」と評して建物と共に気に入ってくれた。こちらも飲食店が第一希望だったため互いの利害が一致。この展開の早さ、SNSの利便性には改めて感心した。

いよいよ内覧

滞在日程もあるので、Nさんたちには一旦帰り翌月改めて来福してもらうことにした。次回はFLAT HOUSE villaに滞在してこの街を「お試し在住」してもらい、その間オーナー面談と物件内覧をしてもらうこととなった。このお試し滞在は実はとても重要。一泊もせずに決めて、住み始めて数日後こんなはずでは、となることだって移住にはままあること。もちろん物件が良くても滞在後にひっくり返る可能性も低くはない。呼ぶ側としてこちらも気を緩められないのは言わずもがなだ。


まずは店舗部分から。ここは想像していたよりも狭かった。現在のチェーン型の同種店はかなりのスペースを有しているが、当時は扱う商材のサイズからそこまでの広さを必要とせずという解釈だったのかもしれない

壁には在庫商品と掛け時計がかかっていた痕跡が。「1級技能士の店」とあるプラカード下の中央開口部の奥が居室

行灯になった視力検査表がまだ壁に下がっていた。店舗に再生した際には歴史を物語ってくれるインテリアとして使えそうだ

良い感じの造り付け戸棚を発見。これもこのままリユースしたいところ

ショーケースの中には昭和の香り漂うデッドストックが並ぶ。ブルーのラインの乾電池=ナショナルハイトップが個人的には懐かしい!

店のアイコンだったと思しき大きなノッポの古時計は、やはりおじいさんの時代のものなのだろうか

こういうものをいろいろと開けているうちにタイムスリップし、すっかり″昔日の虜″になるという現象は「古家お片付けあるある」だ

引き戸とシャッターの間に僅かなスパンは、エントランスをショーウインドウごとガードしたために生まれた副産物。昭和30年代にワイルドな米兵たちが闊歩した名残かも

住居部分は2段構造

次は住居部分。実はこのO時計店の建物は、2回の増築から成っている。中央部分が母屋で、店舗部分と一番奥の部分が後から設えられたという。それはおそらくこの街の歴史とリンクしているのだ。大正~昭和初頭までは炭鉱で人が増え、戦後はベースができて特需に沸いた。その変遷がこの家の増築に現れている。パーツによってはフラットハウスと重なる部分があって、興味深い。


これまたクラシカルなスイッチパネルはスイッチ部分にON/OFFが表記されている。欧文ということは戦後のものだろう

純和風格子戸の玄関は、戦後の増築部分に設えられている。家のサイズからしても広めだ

玄関を上がると右が店舗、左手に階段がある。古民家定番のキラキラな聚落壁が全面に。こやつの処理がかなり大変なのはFLAT HOUSE villaの再生で実証済み

たくさんの古家物件を見ていると、浴室狭め/台所広めというのがどうも昔の日本人住宅の暗黙セオリーだったように見受けられる。O時計店も台所は広く取ってある印象

中庭は密林一歩手前。今は退廃的だが、きちんと整理すれば落ち着いた眺めの良い庭に蘇るはず

浴室は北側の通路の奥にある。何だかワクワクするスペースだ

タイルの浴槽がある洒落たバスルームはハイポテンシャル!「えー! これが?」というなかれ。リファインすれば必ずやイイ浴室に蘇生する。これも実証済み 

見たことないフシギなスイッチ。当時のボイラーかなにかのものだろうか。最上段の紋様が意味ありげ

階段は古民家によくある急勾配。子供の頃、親戚宅のこの手の階段ですべってお尻を打ったりした経験がある人も多いのでは

二階の洋室は子供部屋だった様子。雨漏り跡も見られるがグリッド状の木組みが好い

狭い床の間に7段の箪笥。その上に乗っているガラスケースには旅のお土産がディスプレイ。これも懐かしい景色

木枠窓越しの眺望がなかなか良い。下は中庭。スレートの屋根は一部腐食し穴が開いている様子


見終えた後、さぞドン引きするかと思いきやむしろ奮い立った感のあるN夫妻、ここで再出発することを決意した。改修費用は店子持ち、代わりに賃料は当面月1万円。片付けはオーナーと二人三脚でやってゆくことに決定。ここでお手打ちとなり2ヶ月後に本格転居することと相成った。しかしここからまた事態は急変、次回第3回を乞うご期待!


アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。17年には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。 

最終更新日:2019年11月06日

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