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超・低家賃ホームショップ!大正時代の時計店を自宅兼コーヒー屋...

2020年02月05日

アチュー・ワークス

超・低家賃ホームショップ!大正時代の時計店を自宅兼コーヒー屋&書店に(3)

FLAT HOUSEに住む#29

超・低家賃ホームショップ!大正時代の時計店を自宅兼コーヒー屋&書店に(3)

誰かに雇われるのではなく、店舗を兼ねた賃貸住宅を使って自らのアイデアで暮らす「ホームショップ・スタイル」。

これまではそのメリットや種類、物件の探し方・借り方などを見て来た。#25「賃貸の平屋をセルフリノベでカフェに 天井を抜いてロフトも製作」からはそのケーススタディ。大正時代に建てられた時計店を使用して、実際にホームショップ開店に漕ぎ付けるまでの足掛け4年を見てゆくシリーズの続編。


このシリーズは

1.物件との出会いとオーナーへの提案

2.内覧と入居者探し

3.清掃と施工

4.開店準備とオープン の4節に分けて見てゆく。


今回は「3.清掃と施工」のエピソードを。


<前回まで>

2013年福岡の米軍ハウスに転居した際に見つけた黄色い古家。元は時計店、およそ築100年の店舗付き住宅と判明。

取り壊される前にと知人を介してオーナーOさんに直談判、1年後見事に低賃料で貸してもらえることとなり関東から福岡へ移住希望のN夫妻が内覧してめでたく入居が決まった。


前回の内容はこちら:超・低家賃! 大正時代の時計店をコーヒー屋&書店に その屋内は?(2)


鎌倉で飲食店を営んでいたN夫妻には、そのまま飲食業をこのO時計店でも続けてもらうことを仲介者である筆者からの条件にしていた。妻のYさんはオーガニック食材に対して強い拘りを持っていたため、そういう商品も売る食堂にしたいという嬉しい青写真を話してくれてひと安心。

予期せぬ事態

家に残されたものは店子も一緒に片付ける条件だったが、Oさんから「祖父のものや家族の私物を先に片付けたいので2~3ヶ月期間が欲しい」という申し出があった。N夫妻はその期間中は移住の準備をし、3ヶ月後に来ることに。

そして酷暑の季節に転居して来た彼らに、片付けが思うように進まないのでもう少し待って欲しいという連絡が入る。


しばらく待機することになった二人は遊ぶことになるためアルバイトを始めたりしていたが、事態はその間に起きた。鎌倉在住時から連絡を取り合っていたという隣市で有機農業を営むイタリア人夫妻から「手伝わないか」という誘いをもらったというのだ。元々海よりも山や野原が好きだったという妻Yさんの要望も手伝って、夫妻はそちらに行きたいと言い出したのである。

捨てる神あれば…

これには大いに閉口した。この街での生活シミュレーションも2回の滞在で済んでいたものと思っていたので、この段階でというのはまったくの想定外だった。こちらが無理言ってこじ開けた感の物件であるところのオーナーも今やとても喜んでくれているし、周囲の意気消沈も懸念される。筆者と一緒にいろいろやっていこうと話していたし、なによりせっかく友人になった彼らに去られてしまうのは寂しい。しかし考えてみれば、自分も現在の2拠点生活に入る際、周囲に溶け込めなかったり環境が肌に合わなかったりというような事態を想定して動いてきた経緯がある。また、移住者が再び故郷に戻ってしまう例は全国的にもめずらしくなく、むしろこういうことの方が多いのかもしれない。彼らが帰郷することなく県内にとどまって最良の選択をしたということなのであれば、それもそう嘆くことではないのではないか。そちらで上手くやれるなら友人として喜ばしいことでもある。それよりも早くセカンドアクションを起こすことの方が有意義。そう考え直した。


捨てる神あれば拾う神ありである。ちょうど筆者が運営するFLAT HOUSE villaに泊まりに来てくれていた、小倉で小さな書店を営むKさんから「移転を考えている」という話が出たのだ。結婚予定のパートナーのYくんと一緒にカフェ営業もしたいともいう。オーナーのOさんと引き合わせたところトントン拍子に話は進み、あれよあれよという間にめでたく入居が決定。一時はいったいどうなることかと気を揉んだが、ときには来るものを静かに待つことも肝要と痛感する顛末だった。

片付けと清掃

Oさんも近所に書店が欲しかったと大喜び、身内の品の片付けも終わりいよいよ残された不要品の片付けに突入。これが終われば改修作業に入ることができる。片付け作業は7月の暑い時期からの開始となった。


オーナーは家族が残した一切合切の中から取っておくべきものを集め、YくんKさんはそれ以外を分別収集し廃棄。古家再生はこの地道な作業から始まり、当分はその繰り返しとなる。もっとも忍耐のいるタームだ

商材や段ボール箱で溢れる店舗にもいよいよメスが入れられる

店内の山を見ていると時間を忘れてしまいそうになる。楽しい反面足を引っ張られるので要注意

捨てる前に売る

不要品とはいえタダのガラクタにあらず、別の人間が見たらタカラの山でもあり、良いモノが必ずや眠っているものである。それは筆者が永年古物や古家に関わってきて得た至言であり、古物ブームの現在はすでにいわずもがな。見れば使えそうなものばかり、Yくんたちにはこれらをそのまま店先に出して開店前の軒先セールをやることを進言した。その売り上げを店舗改修の足しにできるし、お店の宣伝にもなる。これはかつて東京のホームショップ開店時にも実践を促した方法。すると彼らもいわれるまでもなく同様のことを思っていたようで、早々に実施する予定だという。素晴らしい流れだ。


アメリカには、遺留品を親族が家の庭先を開放して販売する「エステートセール」という習慣がある。我が国ではほとんど見られないが、空家が激増している昨今、同様に不要品を売る習慣が根付くと良いと思う。亡くなったり施設に移ったりした親族の残留品が遠因ともなっている、空家問題解決の糸口になるのではないだろうか

好天にも恵まれ近隣住人が散歩がてら物色に。この日町内にも古物ファンが少なからずいることが判明。「開店が楽しみ」の声が口々から聞こえていた

大物から小物まで不要品がどんどん引き取られて行く。各々の里親が決まる様子は見ていてとても気分がいい

2階の住居部分もすっかり片付いた。こうなって初めて家屋再生はスタートラインに着く

生まれ変わる準備

残された品物もあらかたが新しい所有者へと引き取られ無事販売終了。モノがなくなると、人が住まなくなって久しいO時計店の進んだ傷みが改めて露に。きめ細かさが要求された片付け・清掃のあとは、丁寧さが求められる改修作業が待っている。


住居部分のフロアは、解体されてしまった北九州市門司の旧・文化服装学院からサルベージして来た床板を使って改修。古材を使うことで周囲の建具と年齢を合わせ、雰囲気を損なわないように配慮した

天井板は雨漏りによって傷みが激しかった部分だけを交換。一般的な工務店に頼めば総取り替えされてしまうところだろう

せっかくのタイル張り浴槽だったが、再利用が不可能だったため撤去。新しい浴槽を入れるべくモルタルで修繕

和式だったトイレは洋式にコンバート

店舗裏にあった和室は土間に変えて店に組み込むことに

密林状態だった中庭も、人が足を踏み入れられるまでに。それによって露出した大きな庭石の扱いが懸案事項に

店の空気にそぐわないアルミの引き戸は撤去。現代的な建具を外すとなんとなく往時の雰囲気が蘇って来る


N夫妻が辞退して1年、事態は大きく展開し物語は進行した。次回はいよいよO時計店がコーヒー屋&書店として生まれ変わる。どんな店舗に仕上がるのか、シリーズ最終章を乞うご期待!


アラタ・クールハンド arata coolhand

(イラストレーター/文筆家 東京出身)

ロゴタイプの制作からパッケージデザイン、広告、CDアートワーク、洋服の企画などを仕事とする。2009年と2012年に東京都下周辺の古い平屋ばかりを網羅した『FLAT HOUSE LIFE』を発刊し(2017年に『FLAT HOUSE LIFE1+2』として復刊)その後一冊一軒の平屋にフォーカスしたよりマニアックな『FLAT HOUSE style』をシリーズ化して自費出版。17年には九州の平屋だけを集めた『FLAT HOUSE LIFE in Kyushu』をリリース。幼少期に山口県の外国人向け平屋住宅での生活を体験、その後東京都下の文化住宅や米軍ハウスでの暮らしを経て、現在は都下の文化住宅と九州の米軍ハウス2拠点を軸に活動する平屋フリーク。 

最終更新日:2020年02月05日

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