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マンション住民必読「生き返るマンション、死ぬマンション」

2017年02月17日

田中 和彦

マンション住民必読「生き返るマンション、死ぬマンション」

資産価値のためにすべきことは?

(ペイレスイメージズ/アフロ)

(ペイレスイメージズ/アフロ)

マンションの寿命は何年だろうか?「しっかり手入れさえすれば、新耐震構造なら100年は持ちます」。本書中の言葉だ。しかし、この本が伝えようとしていることはそのようなハード面の話ではなく、ソフト面の話。ベタで陳腐な表現をすれば「マンションは管理が命」というアレだ。そのソフト面が、各地の事例を通して紹介されている。

マンションは「安全な資産」とは言い切れない

分譲マンションを購入する動機として「一戸建てに比べて管理が楽だから」という理由をあげる人は多い。実際には、管理会社により管理が行われており、それほど楽なわけではない。しかし、どのような管理が行われているかは知らないし、自ら関わろうとすることもないから「楽」だと考えている。

管理を管理会社に丸投げしても気にならないのは、分譲マンションに対する信頼感が元になっているといえる。工務店ではなくゼネコンが建築し、町場の不動産業者ではなく大手のマンションデベロッパーが販売する、だから分譲マンションは大丈夫、問題ない、というわけだ。

しかし、そんな考えを揺るがすような事例が紹介されている。2005年の耐震偽装事件、2015年に発覚した杭打ちデータ偽装。耐震偽装事件が一人の設計士により起こされた悲劇だとしても、日本を代表する財閥系不動産会社の分譲物件がいずれも取り壊し解体されるという事件は衝撃的であった。

その他にも旧耐震物件の脆弱さ、老朽化マンションの建て替えの難しさなどが淡々と紹介されている。すこし暗い気分になる。

「住み続けたい」マンションが生き残る

では、マンションは買うな、今所有している物件は建て替え時期までに売り抜け、ということかといえばそうではない。後半部分ではマンション所有者にとって明るい話が取り上げられている。複数の建て替え事例や活性化に成功した事例だ。

なかでも、プール、スパ、ラウンジなどの共用施設を持つ築8年のタワーマンション「ブリリアマーレ有明」と、大規模修繕に必要な金額が積立てられていなかった旧耐震物件の「西京極大門ハイツ」の、対照的な2物件の事例が面白い。

充実した共用部は入居当初は良く利用されていても、その後利用率が低くなり維持コストがマンション会計に重くのしかかることも多い。「ブリリアマーレ有明」のような、過剰にもみえる共用施設を持て余しているマンションは珍しくない。また「西京極大門ハイツ」のように築年が古く(1976年築)、さしたる共用部もなく、交通利便性もたいして良くないマンションでは「ここは何の取り柄もない」とマンション価値の下落に諦め気分の住民も多いであろう。

だが、この二つのマンション、それぞれ地域で人気のマンションとなっていて、中古価格も高値が維持されているという。どちらのマンションも理事長、管理組合の努力の成果なのだが、活動の共通点は「住民に住み続けたいと思わせること」を考え、実行し続けているということ。その詳細は本書をご覧いただきたい。

資産価値維持に大切なのは住民の思い

60歳以上の世帯主の割合が年々増えている。(写真:アフロ)

60歳以上の世帯主の割合が年々増えている。(写真:アフロ)


人口は減る、建物は減らない。マンションも例外ではない。マンション住民は高齢化し、建物は古くなる。本書でも紹介されている国土交通省の実施する「マンション総合調査」によると、60歳以上の世帯主は、1999年度は約26%であったのが2013年度は50%を超えた。わずか14年でほぼ倍増だ。築年数40年超のマンションストックは約162万戸。これらが次々と建て替えや大規模修繕と向き合うことになっていく。中古マンションの行く末は、相当厳しい。

「しっかり手入れさえすれば、新耐震構造なら100年は持ちます」。建物としては確かにそうかもしれない。しかし建物が維持されてもそこに住みたいと思う人、建物を維持して行こうと本気で考える人がいなければマンションは廃墟となる。

「マンションは管理が命」には違いないが、管理よりも大切なのはマンションを価値あるものにしようとする住民の力。「マンションは住民が命」だ。マンションの行く末を本気で考える住民が住むマンションのみが生き残る。そう考えたくなるような一冊であった。

最後に本書に対するダメだし。本書では「西京極大門ハイツ」を引き合いに出し、管理が良いから分譲当初の価格を上回っていると主張しているが、バブル前の分譲マンションの中古価格が、分譲時の価格を上回っていることは珍しいことではない。また「世帯主の年齢」の統計数値から「住民の年齢」と書いていたりする。他にも検証が不十分と思われる箇所がちらほら。事例紹介がしっかりと書かれているだけに、残念だ。

最終更新日:2017年02月17日


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