ページトップへ

Yahoo!不動産おうちマガジン は家探しのヒントが満載の情報サイトです!

>
>
「こんな街に『家』を買ってはいけない」から読み解く街選び

2017年03月27日

田中 和彦

「こんな街に『家』を買ってはいけない」から読み解く街選び

人気の住宅地≠価値ある住宅地!

「こんな街に『家』を買ってはいけない」から読み解く街選び

(写真:アフロ)

不動産を選ぶポイントは街!

バブル崩壊までの日本では、不動産価格は必ず上がるという「土地神話」が信じられていた。というよりも、実際に必ず上がっていたとも言える。それが今では「土地神話」は崩れ「必ず上がる」と考える人は少ない。

とはいえ実際は「必ず上がる」から「上がる不動産と上がらない不動産がある」くらいとなっただけで、多くの人、特に都市部に住む人にとっては住宅が財産であることには違いないであろう。

しかし、「こんな街に『家』を買ってはいけない」(著作:牧野知弘)では著者はこのように言っている。

家という昔は「財産」とみんなが信じて疑わなかったものが、普遍化し、誰しもが普通に持っているものとなる。そして、家そのものに価値を見出す人がいなくなってくると、価格そのものが暴落していく。住宅という商品は、今やコモディティなのです。
住宅は財産ではなくコモディティ。かなり衝撃的だ。しかし、住宅価格の暴落は現実に起きている。過疎地域だけでなくバブル期以前に開発されたニュータウンでも起きている。

なぜニュータウンの価格が暴落したか? 筆者は日本の世帯構造が変わったことが原因と指摘する。

1996年頃を境に、専業主婦世帯と共働き世帯はその数が逆転し、現在(2015年)では共働き世帯が1114万世帯に対し、専業主夫世帯は687万世帯、その割合は62:38にまで拡大しています。

1990年代前半までは共働き世帯がマイナー、専業主婦世帯がメジャーであった。自宅で子育てをする専業主婦であれば、都心から遠いのは苦にならない。むしろ自然豊かな環境は子育てにプラスの要素である。

本書では、郊外でも何でもとにかく家を買いたいという事情を現したのがドラマ「それでも家を買いました」(1991年4月~6月)を典型的な事例として紹介している。ちなみに主人公家族が家を買ったのは、JR横浜線「相原」駅(JR「東京」駅まで快速等の在来線利用で1時間強)からバスで20分の場所。

最寄駅から遠く、駅から職場までも時間がかかる。専業主婦であればそのような立地でもあまり不便はないかもしれないが、共働きの子育て世帯だと難しいだろう。「都心に住みたい」。そう思う世帯が増えてきたタイミングで以下のような変化が起きた。

1997年(※)に大都市法の改正が行われ、(中略)、その結果、都内でも比較的リーズナブルな値段でマンションを大量に供給することが可能となったのでした。(※印箇所は原文ママとしているが、正確には1998年に改正施行。)

都心で住宅が買えないから無理をして郊外のニュータウンまで対象エリアを広げた。しかし都心で住宅が手に入ればもう郊外に行く必要はない。ニュータウンの住宅が暴落するのは当然の成り行きだったのだ。

都心部の住宅価格なら「安泰」?

※写真はイメージです (ペイレスイメージズ/アフロ)


ニュータウンに住宅を買った人は今どうしているのか。30歳前後で住宅を買って25年が経ち、50歳を過ぎた人の現状とぴったり当てはまる例として紹介されているのが2013年1月に刊行された「ニュータウンは黄昏れて」(垣谷美雨著、新潮社)。これは「バブル時代に一生懸命取得したニュータウンにある団地のその後を描いて」(引用)いる小説だ。夫は給料激減、不動産価格は暴落、でもローン残高は減るわけはなく妻は弁当屋にパートにでる。なんとも切ない内容だ。「それでも家を買いました」の25年後ともいえる。

では、都心で住宅を買えば明るい未来が待っているのか? と思えば、そうではない。著者は今のタワーマンションの25年後を心配している。

購入時に若かった人も25年経つと高齢者世代へと近づいていく。建物も老朽化、大規模修繕が必要だが超高層マンションゆえに修繕費はかなりの高額。しかも、外国人所有者とは連絡が取れず、投資家もコストをかけたくないため管理組合総会で議決もできない。といった具合だ。

これらの「失敗例」から筆者は、住宅を買う際は「家だけ」を見て買うのではなく、「地域」全体を見て買うものとし、さらにその地域を選ぶ基準として以下のことについて重要だと述べる。

家を買うなら「新陳代謝」がある街 ただし異論も

※写真はイメージです (ペイレスイメージズ/アフロ)


ニュータウンであっても新築マンションであっても、世帯主の平均年齢はおそらく分譲時が一番若い。建物が古くなるにつれて世帯主も歳をとる。そこで大切なのは、人が入れ替わっていくことだという。

住宅地の理想は、転出していく人があるいっぽうで続々と新しい人たちが転入してくることです。この新陳代謝が正しく行われないと、あたりまえですが、街の平均年齢は毎年徐々に高くなっていき、街としての活性化ができなくなります。

この結論、確かにその通りだ。住宅を買うなら、建物だけで決めずに、人口の減らない、入れ替わりのある活気のある街で買うべき。

ただ、この結論だとつじつまの合わないこともある。例えば、ニュータウンで住民が入れ替わっていけば不動産価値は維持されるのか?筆者自身が事例として紹介しているユーカリが丘(千葉県佐倉市)ではそうはなっていない。

このユーカリが丘は40年前から分譲を始めている「オールドタウン」にもかかわらず2011年から2015年にかけて0歳から9歳の子供人口が44%も伸びている。だが2016年7月に東京カンテイの発表では「首都圏下落率1位」となっている。

下落率が大きい理由は、分譲時の価格が高すぎたからか、都心からの距離が遠いことが敬遠されたのか? 事例であげている以上はそのあたりにも言及してほしかった。

タワーマンションについてもそうだ。維持費の高さや外国人所有者の多さ、賃貸住戸の多さ等によりスラム化するのであれば、それは「新陳代謝」とは関係のない話。

全体の内容を通してみると、書名は「不動産が財産である、という幻想」(同書の見出しより)の方があっているように思える。

とはいえ本書で主張されているように、今後は建物のスペックだけではなく建っているエリアに「新陳代謝」があるかどうかにも注目すべきであるということは確か。不動産は絶対確実な財産ではなく、「街」を考慮して購入することが大切であることを知るには良い一冊である。

最終更新日:2018年08月31日

キーワードを入力してください

キーワードから探す


本文はここまでです このページの先頭へ

Yahoo!不動産 おうちマガジンとは?

不動産にまつわるマジメな記事からおもしろ記事まで、家さがしが楽しくなる情報をお届け!新しい暮らしのヒントが満載のマガジンです。