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森友学園と豊洲新市場問題 共通点は「土地の瑕疵」

2017年04月21日

田中 和彦

森友学園と豊洲新市場問題 共通点は「土地の瑕疵」

土地の瑕疵、瑕疵担保免責とは?

2016年11月7日に新東京都中央卸売市場となる「豊洲市場」の開場予定日を迎えたが、基準値を超える有害物質が見つかった為、政府は築地から豊洲への移転の延期を決定した。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

2016年11月7日に新東京都中央卸売市場となる「豊洲市場」の開場予定日を迎えたが、基準値を超える有害物質が見つかった為、政府は築地から豊洲への移転の延期を決定した。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)


森友学園の国有地払い下げ、豊洲市場用地の東京ガスから東京都への土地売却。どちらも問題のポイントは「瑕疵(かし)担保責任の免責」だ。

東京、大阪、両都市で起きた土地の瑕疵担保問題

森友学園の一件では、瑕疵担保責任を免責するために地下埋設物の撤去費用等を踏まえて売却価格を算定したものの、その価格が安すぎると問題に。豊洲市場用地については、土地の買主である東京都が売主の東京ガスに対して「瑕疵担保責任は履行済み」として土壌対策費用の追加負担を求めない瑕疵担保責任の免責をした経緯が問題となっている。


「瑕疵担保の免責」の前に、そもそも土地売買における瑕疵担保責任とはどのようなものか?


「瑕疵」とは「キズ」のことだが、法律用語としては“ある物に対し一般的に備わっていて当然の機能が備わっていない”ことを指す。以前、「瑕疵って一体何?」の記事でも取り上げたが、瑕疵には物理的瑕疵、法律的瑕疵、心理的瑕疵、環境的瑕疵の4類型がある。両事例で問題になっているのはこのうちの物理的瑕疵である。

3種類ある土地の物理的瑕疵

建設進む豊洲市場 築地から豊洲に移る新東京都中央卸売市場の建設現場のようす(2016年9月27日)(写真:ロイター/アフロ)


土地における物理的瑕疵は大きく3種類ある。一つ目は、森友学園で問題となっている地中埋設物。地中埋設物があることで杭や基礎などを設置することがままならない。二つ目は豊洲市場用地では土壌汚染。汚染された土地での生活は人体の健康に影響がある。三つ目は地盤。軟弱な地盤などがこれにあたる。このような土地は「一般的に備わっていて当然の機能」が欠けているとみなされ、売主は瑕疵担保責任すなわち「当然の機能」を回復し買主に保証する責任を負う。


以下は瑕疵担保責任についての「一般的な定め(取り決め)」の例である。

  1. 売主は、本物件の引き渡しから_ケ月間は、隠れた瑕疵に対する担保の責任を負う。
  2. 買主は、売主が瑕疵担保責任を負担する場合は本物件に隠れた瑕疵があり、この契約を締結した目的が達せられない場合は契約の解除を、その他の場合は損害賠償の請求を売主に対してすることができる。
  3. 契約の解除をした場合においても買主に損害がある場合には、買主は売主に対して損害賠償の請求をすることができる。
  4. 建物について買主は、売主に対して前項の損害賠償に代え、またはこれとともに修補の請求をすることができる。
  5. 本条による契約解除、または損害賠償の請求もしくは修補の請求は、第1項の期間を経過したときはできないものとする。
  6. 売主が宅地建物取引業者の場合にあっては、新築住宅、既存住宅にかかわらず、本物件の引き渡しから2年間は隠れた瑕疵に対する担保の責任を負う。

※不動産売買契約書(ハトマークサイト京都)より抜粋

珍しくない「瑕疵担保の免責」

ところがこの「瑕疵担保の免責」。あらかじめ売主が瑕疵担保責任を放棄する契約はそれほど珍しくはない。売主が宅建業者であり買主が宅建業者ではない場合は瑕疵担保責任を免責とした契約は無効となるが、そうでない場合は売主買主の双方が合意すれば瑕疵担保責任を放棄した内容の契約を結ぶことは可能である。


例えば、以下は瑕疵担保が免責とされている例である。

  1. 甲は、本件土地について瑕疵担保の責任を負わない。ただし、乙が消費者契約法(平成12年法律第61号)第2条第1項に定める引渡しの日から2年間は、この限りではない。
  2. 乙は、本件土地に地中埋設物が埋存されている可能性及び土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に規定する基準値を超える土壌の存在の可能性を承知の上、本契約を締結する。
  3. 前項に規定する地中埋設物及び土壌については、乙の責任と費用において処理を行う。

※土地売買契約書の案(大阪市2017年1月13日)より抜粋


建物の瑕疵と違い土地の瑕疵は、土壌汚染であれ地下埋設物であれ、その除去や撤去に多大な費用がかかることが多い。実際に森友学園、豊洲市場用地、双方とも多大なコストが問題になっている。


この土地の瑕疵を修復する費用、「多大な」と書いたがどれほど多大かといえば、その瑕疵の程度が大きい場合は土地価格を超えることもあり得るくらいだ。


(写真:アフロ)

「免責」なのに「免責されない」こともある

そのような事情もあり、双方合意で瑕疵担保が免責されることがあるわけだが、「瑕疵担保責任免除特約」(免責)があっても売主が責任を負う場合がある。


一つは、判明した瑕疵が「当事者の予想する範囲」を明らかに超えている場合。当事者の合理的な意思からしてもおかしいという場合は、売主が瑕疵に対する責任を問われることがあり、売主の責任を認めた裁判例もある。


もうひとつは、売主が買主に対し瑕疵の存在を「知りながら告げなかった」場合。そのような「信義に反する」場合には、売主の「免責」は認められない。


土地の瑕疵は建物のそれに比べてわかりにくく修復も難しい。過度の土壌汚染や多数の杭が埋め込まれている場合などは、売主が金銭的な負担を負えない場合もある。東京大阪の両都市で起きている「土地の瑕疵」に絡んだ問題。瑕疵の修復同様、当事者間の関係修復も難しそうだ。


参考サイト

最終更新日:2017年04月21日


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