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空き家問題よりも怖い!「都市のスポンジ化」とは何か?

2017年10月17日

田中 和彦

空き家問題よりも怖い!「都市のスポンジ化」とは何か?

都市を襲う「スポンジ化」の恐怖

空き家問題よりも怖い!「都市のスポンジ化」とは何か?

(ペイレスイメージズ/アフロ)

都市に「穴」があくスポンジ化

「都市のスポンジ化」という言葉をご存知であろうか? 空き地や空き家を「都市部に発生した小さな穴」と見立てた造語だ。国土交通省の都市計画基本問題小委員会が平成29年8月に発表した「『都市のスポンジ化』への対応」に出てくる言葉で、正確には以下の通り定義されている。


「都市の内部において、空き地、空き家等の低未利用の空間が、小さな敷地単位で、時間的・空間的にランダム性をもって、相当程度の分量で発生する現象」を「都市のスポンジ化」と称することとした。


「都市のスポンジ化」は「空き家・空き地化」と似ているが、意味合いが少し違う。「都市のスポンジ化問題」は「空き家問題」と比べると、指し示す範囲が広い。


数年前から空き家が放置されることによる倒壊の危険や地域の治安悪化が社会問題として捉えられ「空き家問題」と言われている。その対策として制定されたのが空家等対策の推進に関する特別措置法(いわゆる空き家法)で、この法律により適正な管理をされていない空き家に対して市町村が指導をしたり罰則を科したりできるようになった。この法律の成果がどれほどのものかまだはっきりとした答えは出ていないが、この法律を契機に見込みのない空き家を朽ちないように管理しはじめた人や、行政に指導され取り壊し、更地にした人も多いであろう。


このように「空き家問題」は空き家を利活用する以外にも「空き家として適正に管理する」ことや「解体して更地にする」ことも解決方法となる。しかし数多くある空き家が全て管理の行き届いた空き家と更地になっても「空き家問題」が解決するだけで、そこに人が住む等しなければ都市の密度が低下することに変わりはない。


都市の密度が低下すると、十分なレベルの行政サービスやインフラ設備が提供できなくなる可能性もある。人口が増大している時にその時点での人口を想定して作られた施設、例えば小学校や役所の出張所等が統廃合されるような例だ。また、商圏の人口が減ることで経営が難しくなり、商店街の個店やスーパーマーケットなどが地域から撤退し「買物難民」が生まれるのも都市密度の低下に伴う問題である。


「都市のスポンジ化問題」とは「空き家問題」を含む、より大きな概念であるといえよう。


(ペイレスイメージズ/アフロ)

対応策が難しい「スポンジ化」

人口が減っていく今、「都市のスポンジ化」が進んでいるのは、至極当たり前の話だ。だが、この当たり前のように起きている「スポンジ化」を防ぐ対応策は難しい。


住宅は人口増加に合わせ、より高密度に、より郊外に広がっていった。これは、市街化区域内でインフラ整備を集中して開発を誘導し、市街化調整区域では開発を規制するという「線引き」という手法をとることでそうなった。行政が線引きを行うことで特定の施設を誘導したり排除したりすることは有効な施策であるが、それはあくまで人口増加時に都市が広がろうとしている場合。「都市のスポンジ化」は線の内外を問わずランダムに発生している。よって線引きによる対処は難しい。


では「魅力的な街づくりで人を呼び込む」のはどうか。この施策は、多くの自治体で行われている。都市部であれば「乳幼児医療費の免除」「新婚世帯への家賃補助」、郊外であれば「移住者に補助金交付」「農耕地の無償貸与」といったものだ。


このような施策は、当の行政区については有意義なものだが、地域全体、日本全体では有効とは言い難い。ある行政区が「住みたい街」と思える施策を打ち出し、その受け皿として空き家・空き地を提供しても、人口の地域間移動が起きるだけだ。空き家が一つなくなれば、別の空き家がまた一つできる。


「都市のスポンジ化」を解消するために、また発生しないためにどうすれば良いか。これに対する速効性のある解答はまだなく、ようやく議論がもたれるようになったという段階だ。

スポンジ化する街はこんな場所だ!

撤退した商店街のシャッター(ペイレスイメージズ/アフロ)


将来的に「都市のスポンジ化」は解消されないかもしれないし、解消するとしてもいつになるかはわからない。今のところは「住んでいる場所でスポンジ化が起きないように地元コミュニティーの活性化に力を貸す」「スポンジ化しそうなエリアに住むことを避ける」等、個人的な努力をするしかない。最後に「スポンジ化しそうな街」の特徴を類型別にあげてみる。引越し先の選択等の参考にしてほしい。


【商業地】

  • 一度シャッター通りと化した商店街が再活性化するのは困難だ。店舗閉鎖後の空き地利用が駐車場やマンション等の非商業となるのはスポンジ化の兆し。百貨店や大型スーパーの撤退も要注意。

【住宅地】

  • 道路幅が狭いエリアは要注意だ。再建築が難しかったりもしくはできなかったりする場合がある。再建築ができたとしても、道路が狭いエリアでは敬遠する層が多く、人口の流入が見込みにくい。

【住工混在市街地】

  • 工場の移転や撤退は要注意。当該地だけではなく、周囲に住んでいた工場勤務者が一斉に住まいを引き上げるため、空き地だけでなく空き家も一気に増える可能性がある。ただし工場跡地にマンションや一戸建てがすぐに建つようなエリアではあまり問題は無い。


日本の住宅地は田んぼや畑が住宅やマンションに変わることで、数戸から数十戸、数百戸単位で一気に広がった。しかし、縮小段階では「一気に」ではなく一件ずつじわじわと空き家や空き地が増加している。「都市のスポンジ化」に対する即効薬は今の所ない以上、住まいを選ぶ側としてはスポンジ化しにくいエリアを狙うという自衛策が望ましい。また今住んでいる街にスポンジ化の兆候があるかないか予測する参考としても利用できるだろう。


最終更新日:2017年10月17日


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