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築40年の中古マンションって、買ってもいいの?

2018年05月31日

田中 和彦

築40年の中古マンションって、買ってもいいの?

築古物件を買うときに注意すること

築40年の中古マンションって、買ってもいいの?

ペイレスイメージズ/アフロ

近頃「ヴィンテージマンション」が人気だ。明確な言葉の定義はないが「築年数は相当経過しているのに、古臭さを感じさせず管理状態の良い中古物件」といった意味合いで使われることが多い。「古いマンションでも内装をリノベーションすれば新築と同じ。安くて立地の良い中古マンションを買いましょう」といった営業トークも相俟って、築古マンションを検討する人が増えているというわけだ。


一方で、そんな築年数の古いマンションの購入に踏み切れない人もいる。その理由の多くは「将来不安」。古いからなんとなく不安、という訳だ。今回は、その将来不安を三つの観点から考えてみたい。

【1】住み始めてすぐに直面する不安~給排水インフラ

築年数の古いマンションは、新しいマンションと比べ給排水インフラが劣っているものが多い。


まず気になるのは給排水管の老朽化。現在、多くの分譲マンションの給水管は塩ビ管やステンレス管などが使われているが、1970年代位までに建築されたマンションでは鉄管が使われていることが多かった。給水管が鉄管だと、内部が錆びて赤い水が出ることがある。そのような場合は錆び落としのために高圧洗浄等の作業が必要となるのだが、この作業は洗浄の圧力で管が薄くなり破裂する危険性もある。状態次第では更新すなわち新しいものと交換する必要がある。この更新がまた厄介者で、パイプスペース等の関係で同じ場所に設置することができず、外壁に外付けしか術がなく、なんとも残念な外観となってしまうケースもある。排水管についても同様で、築年数が古い物件ほど、過去どのようにメンテナンスされてきたかが重要だ。


ペイレスイメージズ/アフロ


給排水管でもう一つ気をつけたいのは、配管がどこを通っているか。今の新築分譲マンションは住戸の床の下におさめるが、古いマンションでは下階住戸の天井面、簡単に言えば「下階住戸の天井裏」に通っていることがある。この場合、たとえ「自分の住戸の配管」であっても勝手に取り替えることができない。このあたりの事情は重要事項説明に書かれることはなく、仲介会社の営業担当も把握していないケースが多いであろう。


このような給排水の話は、管理会社や管理組合に聞けば分かる場合がほとんど。築年数の古いマンションであれば先行事例がある。リノベーション済みのマンションであっても美しい壁紙やフローリングの向こう側までが美しい状態であるとは限らない。「今までトラブルがなかった」と言われても、今後トラブルがないことの担保にはならない。事前にメンテナンスしておけば防げるトラブルも多い。給排水関連の現況については購入前にきちんと確認しておきたい。

【2】住み始めて程なく直面する不安~長期修繕計画

マンションの寿命は永遠ではない。一般的に「コンクリートだけなら100年は持つ」などと言われるが、住宅としての機能を維持するためにはコンクリートだけが持ってもしょうがない。前段で書いた給排水管や電気ガス等の設備だけではなく、受電設備・変電設備、消防設備、外壁や外構、エレベーター、廊下の防水、鉄部の塗装等々住み続けるためには更新すべき部分がたくさんあり、それぞれの更新時期はバラバラ。10年で替えるべきもの、20年でガタがくるものなどが渾然と存在している。


そこで大切なのが長期修繕計画だ。この計画がきちんとなされているかどうかでマンションの寿命、ひいては資産価値が変わってくる。計画がない、あったとしても現実と見合っていない計画であった場合、もしかするとそのマンションの寿命は長くないかもしれない。きちんと計画が立てられ、かつ実行されているマンションは資産価値が維持される。


写真:アフロ


築年数の古いマンションの購入を検討する際に、長期修繕計画の確認が大切な理由はもう一つある。築年数の古いマンションの場合、まともな長期修繕計画が策定されていない場合があるからだ。


長期修繕計画の歴史はそれほど古くない。「長期修繕計画標準様式及び長期修繕計画作成ガイドライン」というものがつくられたのは2008年で、新築は30年、既存マンションで25年の計画を策定することが望ましいとされた。それまでは特段の決まりもなく分譲主が独自の基準で定めていて、計画が10年程度しか定められてなかったり、積立金が極端に少なかったりと、マンションごとに大きなバラつきがあった。


築年数の古いマンションを検討する場合は、長期修繕計画の有無、実行された履歴、積立金の多寡をしっかりと確認しておきたい。

【3】いずれは直面する不安~建替えの可否

一番気になるのは「将来の建替え」であろう。上記の長期修繕計画を調べる段階で、すぐに建替え時期が来るのか先の話になるのかはマンションによって差があるが、いずれは確実に建替えの時期が来ると考えたほうが良い。


ペイレスイメージズ/アフロ


建替えについて考える際のポイントは「同じ建物が建つのか?」ということだ。


建替えを実施するには所有者の合意形成に大変な苦労が伴う。それは承知の上で、多少荒っぽく言えば、マンションの建替えは「現行法上で建築が可能」であり「建築資金」があれば実行できる。資金の有無は2番目のポイントである長期修繕計画で確認できているはずなので、ここでは「現行法上で建築が可能」という意味を考えてみたい。


同じものをもう一度建てることができない状態の建築物は「既存不適格」と言われる。始めから法律違反をしている「違法建築」と違い、建っている間は問題ない。このような「今はいいけど将来に問題を抱えている」といえる古い建物は案外多い。


容積率規制前の1968年以前、日影規制導入前の1976年以前、耐震基準改正前の1981年以前。このあたりの築年が一つのポイントになる。仮にこれらをクリアできていたとしても用途地域の変更で、やはり既存不適格となっていることもある。


既存不適格の物件は、同じ規模の建物が建たず総専有面積は現状より狭くなる。全住戸が狭くなる、場合によっては住戸が減る。建て替えても、住戸が狭くなる人や、マンションに戻ってこられない人がでてくる。


一等地にあり土地価格が高いマンションや、容積率の余っている(≒今よりも広いマンションが建築できる)マンションであれば所有者の合意形成もとりやすいが、土地価格の低いマンション、建替え後に専有面積が減るマンションは要注意。建替え時に問題が起きる可能性が高く、管理組合の話がうまく進まなければ将来の売却もままならないかもしれない。


築年数の古いマンションは、「同じ建物が建つのかどうか」は必ず確認。あわせて、建替えについて管理組合ではどのような話し合いがされているか(又はされていないのか!)も確認しておきたい。


国土交通省の調べによると平成28年末の分譲マンションストック戸数は全国で約633.5万戸、うち築40年以上は約10%の63万戸。いまは「築年数40年」は「たまにみる古いマンション」と言えるが、平成38年には、(仮に毎年10万戸ずつ新築の供給があったとすれば)ストックは730万戸で築40年以上は172.7万戸。約4戸に1戸が築40年以上となる。


築年数の古いマンションを避けると選択肢は狭くなる。古い物件を避けるのではなく、検討する際の評価軸を持つことで納得いくマンション探しを進めてほしい。


最終更新日:2018年08月30日

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