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賃貸で同一物件が複数掲載される理由。知れば「仲介手数料」が浮...

2018年10月02日

田中 和彦

賃貸で同一物件が複数掲載される理由。知れば「仲介手数料」が浮くかも!

賃貸仲介の「広告料」の仕組み

賃貸で同一物件が複数掲載される理由。知れば「仲介手数料」が浮くかも!

写真:アフロ

賃貸物件をネットで探していると、一つのマンションに数多くの賃貸募集中住戸が並んでいるのをよく見かける。総戸数の多いマンションではよくある話だ。さらに見てみると同じ階高・広さ・間取り、すなわち全く同じ住戸が複数の不動産仲介業者から募集されていることに気づく。同じフランチャイズ店の加盟店がズラッと並んでいるのならば理解もできるが、フランチャイズ店、大手会社、地元業者等々バラエティーに富んだ社名が並んでいるのを見て「アレレ? いろんな業者から同じ物件が出てるけど、何がどう違うの?」となるであろう。一度は経験する「賃貸あるある」だ。

こういう場合はどうするのがよいか? そもそも、なぜこのような状態になるのだろうか? 賃貸仲介の業界ルールのことも含めて説明しよう。

売買に比べて「自由」な賃貸の仲介

まず賃貸物件はどのように市場に出るのか? これは賃貸も売買も同じ。依頼者が宅建業者と媒介契約を結ぶところから始まる。

売買物件の場合、宅建業者は一般/専任/専属専任と3種類ある媒介契約のいずれかを依頼者と結び、書面を交付しなければならない。これは宅地建物取引業法で決められていることで、書面の交付をしなければ宅建業法違反となる。

では賃貸はどうか? じつは賃貸の仲介では、媒介契約で書面を作成する義務はない。以下の条文を見てほしい。


宅地建物取引業法

第三十四条の二 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。


「売買又は交換の媒介の契約」と記載されており、「賃貸」は含まれていない。書面は交付する義務はないのだ。またその内容についても定型とはなっていない。そのため、物件の所有者が賃貸の仲介を宅建業者に依頼しても、媒介契約は口頭で済まされ、売買契約なら説明を受けるような内容(複数業者に依頼する場合の取り決めなど)が曖昧にされている場合が多い。

媒介書面不要、貸主は複数業者に依頼しやすい

先にも書いたように、売買なら媒介を依頼の際、宅建業者ごとに書面の締結が必要となる。書面の締結には手間がかかる。しかし、これが賃貸なら書面は不要なので、貸主は「募集活動よろしく!」と電話一本で済む。電話一本は極端にしても、間取り図面や賃貸条件等をメールで送れば依頼終了。賃貸の媒介は、売買の媒介よりも簡単に契約ができる。

トラブル防止のために自主的に媒介契約を書面で結ぶ宅建業者もいる。その場合でも、売買のように定型の内容はなく、自由に取り決めることができる。複数の宅建業者に依頼しても、あちらの業者とこちらの業者で契約内容が一緒とは限らない。

この「書面不要」「内容自由」という特徴が今回の「同じ物件がたくさん出ている」という事象につながっている。

その気軽さゆえに、売買の場合と比べ賃貸は、依頼主が「数撃ちゃ当たる」とばかりに複数の宅建業者に依頼することが多くなる。同一住戸を複数業者が扱うことは売買でもあるが、賃貸の場合はそれが極端に多い。


例えばこのように同じ物件が並んでいても条件が違う場合が。※画像はイメージです(写真:アフロ ペイレスイメージズ/アフロ)

他社物件の広告活動が可能となる「広告料」の存在

居住用賃貸物件の仲介手数料は貸主0.5カ月・借主0.5カ月、合わせて賃料月額1カ月分が上限だ。支払う側が了承すればどちらか一方から1カ月分を受領することは可能だが、いくら貸主借主のそれぞれが了承したとしても双方合わせて1カ月分を超える仲介手数料を受け取ることはできない。宅建業法違反となる。


この広告料が「同じ物件がたくさん並ぶ」理由となる。さて、それはどのような仕組みか?


仮にAという住戸を宅建業者Bが依頼主から広告料2カ月をもらう契約で募集しているとする。宅建業者Bは検索サイトへの物件情報登録、希望者への住戸内覧等を行い借主を見つける。得られる報酬は依頼主から2カ月、借主から0.5カ月、合計賃料の2.5カ月分だ。


ところでこの借主を見つける行為、案外と手間がかかる。そこで宅建業者Bが「こちらから広告料1カ月分支払うので借主を見つけてくれないか?」と別の宅建業者に依頼する場合がある。別の宅建業者が借主を見つけ住戸Aが成約した場合、Bは自社が依頼主からもらう2カ月分のうち1カ月分は借主をみつけた宅建業者に支払うが、手元には1カ月分残る。収入は減るが、借主を見つける業務をせずにすみ、手間が少なくなる。


この手法は、依頼を受ける側の宅建業者にもメリットがある。通常、貸主・借主双方から1カ月しか報酬がもらえないのが、貸主側の宅建業者から1カ月(広告料)、借主から0.5カ月(仲介手数料)、合わせて1.5カ月の報酬がもらえるからだ。こんな仕組みだから、広告料の設定がない物件より、広告料がもらえる物件のほうが俄然モチベーションが上がるわけだ。


同じ物件が複数の宅建業者から募集されている理由としては、「貸主が複数の宅建業者に依頼する」より、この「依頼された宅建業者が広告料の一部を別の宅建業者に支払う」というケースの方が多い。

複数の会社はどれを選んでも同じ、ではない!

ペイレスイメージズ/アフロ


では、複数の宅建業者に掲載されている物件はどの宅建業者から借りても同じかといえば、そうではない。同じ物件であっても募集条件が異なる場合があるのだ。以下、特に気をつけて見ておきたい2点を紹介する。


【保証金・敷金・礼金】

業者が違うと賃料以外の金額が異なる場合が、ときどきある。間違って記載されている場合もあるが、中には依頼主が提示している条件から金額を上乗せし、上乗せ分を「ボーナス」とし掲載している宅建業者が受け取るケースがある。

【取引態様】

複数並んでいる場合、取引態様はそのほとんどが「仲介(媒介)」だが、時折「貸主」である場合がある。媒介している業者の案内で成約すれば仲介手数料の支払いが必要だが、貸主だと不要。同じポータルサイトでは「仲介」しかなくても、貸主が自社のウェブサイトで「取引態様:貸主」として掲載している場合もある。


「同じ物件だからどこから借りても同じ」と内容をよく見ずにいちばん上に掲載されている宅建業者に連絡を入れるのは、今日で終わり。細かい流通の仕組みはわからなくても、掲載内容をチェックするだけでも、無駄な出費をせずに済む。

最終更新日:2018年10月02日

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