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家を買った後、引渡し前に台風で家が壊れたらどうしたらいい?

2018年10月09日

田中 和彦

家を買った後、引渡し前に台風で家が壊れたらどうしたらいい?

危険負担についての考え方

家を買った後、引渡し前に台風で家が壊れたらどうしたらいい?

写真:アフロ

今年は、大雨や地震、台風などの自然災害が立て続けに発生した。郊外、都心問わず家屋が倒壊・破損する例も多くみられた。


自宅や所有する賃貸物件が被災された方もたくさんいらっしゃるわけだが、中には売買契約は終わったが残金の支払い・引渡しが終わっていない、いわゆる「契約済未引渡し」の状態で被災した物件もあったであろう。その場合は、壊れた物件を修繕するのはどちらの責任なのか?

「壊れた家をどちらが直す?」は売買契約書に記載あり!

売買契約前であれば契約をしなければ済み、売主・買主ともに金銭的な損得はないが、契約後はそうはいかない。売主とすれば「もう買ったんだから壊れた部分の修繕は買主にしてほしい」と思うであろうし、買主は「まだ支払いが終わってないのだから売主に直してほしい」と思うだろう。


この「どっちが直すのか?」問題は、危険負担と呼ばれる。一般的な不動産売買契約書には、「危険負担」もしくは「引渡し完了前の滅失・毀損」といった名称で記載されている事項だ。


まずは用語の説明から。

危険負担・滅失・毀損とは?

「危険負担」とは、売買対象物件が売主買主双方の責任ではない理由で滅失・毀損した場合にその損害を売主・買主どちらが負担するかということ。どちらかに責任がある場合は、もちろん責任のある側が損害を負担する。


例えば売主には物件について「善良なる管理者の注意をもって管理する義務(善管注意義務)」がある。それが果たせていない場合は売主が負担を負う。


ちなみに本記事は、台風や水害で家が壊れたら? という趣旨なので、建物の滅失・毀損は売主買主どちらの責任でもないものとして話を進める。


話が前後したが、次は「滅失」と「毀損」。簡単にいえば、「滅失」とは無くなることで「毀損」は壊れること。滅失については物理的に無くなることに加え、機能を失い使用できない状態になる場合も含まれる。


ところで、この滅失と毀損、キッパリと分かれるものではない。著しく毀損すれば、それば滅失となる。両者の差は「程度の差」と理解しておけば良い。

壊れたものは売主の責任で直す!

写真:アフロ


先に答えを書くと、一般的な不動産売買契約では、引渡し前に台風などで物件が壊れた場合は、売主が修復することとなっている。具体的に一例をあげておく。


天災地変その他売主または買主のいずれの責にも帰すことのできない事由により、引渡前に本物件が毀損した場合、売主は本物件を修復し買主に引渡すものとする


台風で瓦が飛んだ、窓ガラスが割れた、といった場合、それが契約後引渡し前までであれば、壊れた瓦や窓ガラスの修繕は売主の負担で行うことになる。


もしこの危険負担についての取り決めがなければどうなるか? 民法の原則にのっとれば修繕義務は買主が持つことになる


民法第534条1項には以下のような定めがある。


特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。


不動産は特定物の売買なので、何も取り決めがなければ民法に従い買主が契約後引渡し前の損傷等について責任を負うことになる。ちなみに筆者は長年仲介業をやっているが、不動産売買契約書において、危険負担について特段の定めがない、すなわち「引渡し前に壊れたら買主が費用負担」というものにはお目にかかったことはない。

あまりにも大きな被害の場合は、契約解除となることも

写真:アフロ


さっきの例で「瓦が飛んだ」と書いたが、では「屋根が飛んだ」場合はどうなるか?


この場合、売買契約が解除となる可能性が高い。売買契約書には以下のように記載されている。


当該毀損の修復が著しく困難または過大な費用を要する場合、または、買主が本契約を締結した目的が達せられないときは、乙は本契約を解除することができる。


瓦が数枚飛んだのであれば瓦を修復すれば良い。しかし屋根が飛んだとなると話は別だ。屋根と一緒に建物を支える構造部分も飛んでいる可能性もある。その場合、原状回復の修繕には相当なコストがかかる。中古住宅の場合であれば、建物の代金以上に修復費用がかかることもあり得る。


このような場合は、売主買主が協議の上、売買契約が解除されることとなる。書面に「解除することができる」と書かれていることからわかるように「当然に解除」になる訳ではない。仮に建物が大きく壊れて使い物にならなくなってしまったとしても、「建物はどちらでもよく土地が欲しい」ということもあるからだ。

最後は当事者同士で話し合いを

ここまでをまとめると以下のようになる。


  • 一般的な不動産売買契約には、売主が責任負担する旨の取り決めがされている
  • 不動産売買契約で取り決めがない場合、民法上では買主が損傷等の負担をする
  • 完全に壊れてしまった場合(≒滅失)は、契約が解除となる場合も。


実際に今回のような天災が起きると、売主と買主の間の話合いで契約書の定めと違う判断をする場合もある。実際に、阪神淡路大震災のときなどは、契約後引き渡しまでの間「一部損壊」となったマンション等が、補修や価格の見直しなどせずにそのまま買主に引き渡されていた例もある。


今回の地震や台風、水害などにおいても、契約書上の取り決めが最優先なのは当然だが、「危険負担」の記載には金額や補修度合いなどははっきりと決められていないので、現実的な解決方法は売主買主間で誠意ある話合いでしか解決しない。これもきちんと契約書に書かれてある。最後は協議解決条項、誠実協議条項などとよばれる例のあのくだりで締めくくりたい。


「甲乙誠意を持って協議の上解決する」


【参考サイト】

最終更新日:2018年10月11日

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