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災害の備えや住みたい街選びに 土地の高低差を調べてみよう

2019年04月17日

田中 和彦

災害の備えや住みたい街選びに 土地の高低差を調べてみよう

住まいや職場の高低差ご存知ですか

災害の備えや住みたい街選びに 土地の高低差を調べてみよう

(写真:アフロ)

国土地理院がWEBで公開している地図。これで簡単に標高がわかるのはご存知だっただろうか?津波や水害対策に利用できる基礎情報として、2012年に国土地理院のWEBシステム上に標高データが公開された。これが2018年3月にさらに進化した。


地図上にクリックして指定した経路の地形断面図が作成できるようになったのだ。この機能を使えば津波や水害時にある地点が低くて危ないといったことだけではなく、標高の低いエリアを避ける具体的な避難ルートを確認することができる。


そんな感じの堅い話も大事だが、この高低差がわかる機能、もっと気軽な事にも利用できる。通勤経路やサイクリングコース、登山ルートの調査などには持ってこいだ。


ところで、よくマンションチラシなどに「フラットアクセス」と書かれていることがある。高低差がない、平坦な道である、といったことだが、この「フラット」という表現には徒歩1分=80mのように明快な広告上の規定があるわけでは無い。なので広告に「フラット」と書かれていて、感覚的にはフラットでも高低差があるかもしれない。


以下は、皆さんの知っているあの場所の高低差がどれくらいかをこの地図を使って見ていきたい。

【大阪】 御堂筋(梅田~難波)

梅田から御堂筋を通って難波に向かう。なんとなく歩いていればフラットに感じるであろう。しかし梅田から難波までの道のりはを実際にこの地図を使って見るとどうだろうか?



地理院地図(電子国土web)の地形図、断面図をキャプチャ


梅田から難波まではフラットであるように感じるが、本町あたりが底になるすり鉢状の地形。ゲリラ豪雨でアスファルト上に雨水が溢れ側溝等で処理しきれなくなると、淀屋橋方面と心斎橋方面から本町方面に向かって水が流れることになる。また、表の右端4000m辺りに切れ込みがあるがこれは道頓堀の水面位置。梅田界隈の路面は道頓堀川と同じ高さしかない。だが、道頓堀川がオーバーフローしても冠水するのは本町周辺で梅田までにはおよばない。

【大阪】JR大阪環状線(大阪駅から時計回り)

フラットに思える梅田から難波までの道のりでも約4m程の高低差があった。では、(大阪市内を知る人であれば)明らかに高低差があるとわかるJR大阪環状線はどうなっているだろうか?



地理院地図(電子国土web)の地形図、断面図をキャプチャ


このJR大阪環状線の高低差。東側と西側(断面図で見ると左側と右側)では、どちらが注意が必要か? 0m以下のエリアが多い西側の方が危険そうに思えるが、気をつけたいのは東側の方。


西側は0m地帯が多くある。このようなエリアは、津波や高潮の際に水害に巻込まれる可能性が高い。しかし都市部においては、津波や高潮よりも、より発生の可能性が高いゲリラ豪雨時の被害を考えておきたい。


西側は全体的に標高が低く、高低差は多くない。それに比べ東側は短い距離で急激に高低差が変化する箇所があり、注意が必要だ。たとえば、桜ノ宮駅~京橋駅間、鶴橋駅~桃谷駅間は1駅間で高低差が5mもある。このようなエリアでは、ゲリラ豪雨などに見舞われた場合、水路等から雨水があふれると、標高の高い方から低い方へと一気に水が流れ込み冠水することがある。たとえ標高が高くても、周囲との標高差が極端にあるエリアは過去の豪雨時に冠水事例があったかどうか、役所や近隣の住人にヒアリングをした方がよい。


桃谷から天王寺にかけての水害に強いと推測されるエリアは、ちょうど四天王寺のある辺りで、住宅地としての人気が高いエリアと重なっている。

【京都】市内中心部(九条~北大路)

京都府 清水寺から見る京都市内の町並み(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)


次に、南側以外を東山、北山、そして西山山地に囲まれた京都盆地と呼ばれる京都中心部を南北で見るとどうか?


「京都中心部」のなかでも、いわゆる洛中とよばれるエリア、南はJR京都駅南部(地下鉄九条駅)から北は北大路通(地下鉄北大路駅)までを見てみよう。



地理院地図(電子国土web)の地形図、断面図をキャプチャ


「京都盆地」といえど中心部は「なだらかな丘陵」ともいえ、比較した南北約7.2km間の高低差はなんと44m。京都の街を自転車で移動したことのある人であればこの差は実感できると思う。北大路の標高72mに対し京都駅の標高は29mでその差43m。一般的にマンションの1フロアの高さは3mと言われているが、北大路で路面に立って見える高さは京都駅周辺の14階建の建物の高さと同じというわけだ。


とはいっても、京都の中心市街地は、高低差は大きいが、極端な急勾配はない。ゲリラ豪雨時などの冠水の心配は、大阪市内中心部に比べれば少ないと言える。昨年(2018年)7月の豪雨の際に京都市内中心部にも避難勧告等が出されたが、土砂災害が心配された山間部に比べ、水害の恐れがあった平野部の方が緊迫感が少なかった。それも嵐山周辺等と違い水害に見舞われたことが少ないからであろう。

【神戸】東灘区(海の手~山の手)

大阪、京都ときて次は神戸。阪神間とよばれるエリアの一角をしめる東灘区をみてみよう。



地理院地図(電子国土web)の地形図、断面図をキャプチャ


東灘区の高低差は京都市内と似ている。海側から山側に向かってほぼ一直線の上り坂。京都と違い海に近いが、標高が高く津波や高潮の被害の可能性は低い。しかし京都と違うのは高低差の勾配。京都が7.2kmの距離で44m、100mで約0.6mの高低差であるのに対し、東灘区の岡本駅以北は370mの距離で31mの高低差、100mで約8.4mとおよそ14倍の急勾配。大阪市内同様、ゲリラ豪雨時の冠水や、土砂がむき出しのエリアがあれば土砂崩れ等の危険性もある。また、想定される災害によって避難所が異なる場合もあるのでハザードマップを元に避難ルートは平常時に確認しておきたい。


こうみると大阪市中心部がフラット、京都市中心部はなだらかな丘陵、神戸市の住宅街(東灘区)は「山の手」であるのがよくわかる。


最後に、参考としてJR山手線の高低差を簡単に紹介したい。

【東京】山手線の高低差(西日暮里駅から反時計回り)


地理院地図(電子国土web)の地形図、断面図をキャプチャ


山手線で標高が高いのは北部あたり。駅でいえば西日暮里駅から田端駅にかけて標高が10m以上上がり、そこからは高田馬場駅、渋谷駅・恵比寿駅で少し下がるものの、目黒駅まで総じて標高が高い。区では北区、豊島区、新宿区、渋谷区が「標高の高い区」だ。


目黒駅からは下り坂。となりの五反田駅までのたった一駅で20m以上標高が下がる。五反田駅の標高は3m。そこから品川駅、東京駅、上野駅を経由して西日暮里駅までは3~7mあたりの起伏が少ないエリア。港区、千代田区、台東区、荒川区は「標高の低い区」と言える。


山手線の駅界隈、距離や高低差は異なるがJR大阪環状線と似たグラフになっている。どちらも海に近い都市部であり「標高が低く、高低差の小さいエリア」と「標高が高く、高低差の大きいエリア」とに分かれている。高低差の激しいエリアは、道路の冠水に注意が必要だ。住んでいるエリアはフラットでも避難経路に極端な高低差があると、災害時にその経路が使えない可能性もある。

高低差地図の使い方

東京都 目黒区の住宅地(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)


いくつかのエリアの高低差を紹介したが、この地理院地図の高低差断面図の機能、色々と使い方がある。最後に、いくつか利用法をあげておく。


まずは極端な高低差の有無の調査に使いたい。都市部においてゲリラ豪雨による被害は絶対的な標高の低さではなく相対的な標高の低さで起きる。周囲との高低差が極端にあるエリアは道路冠水や床下浸水をうける可能性がある。新しい住まいを探す際の参考にするほか、今住んでいる場所が「すり鉢の底」である場合は、災害が起きた時の備え、例えば避難ルートの確認等をしておくのもよいであろう。


またそれ以外でも、アップダウンが少ない通勤通学ルートの発見や休日のサイクリング・ハイキングルートの探索をしてみるのも面白い。


(備考)

全ての標高は、地理院地図で各スポット近辺の任意地点の標高を記載したものであり、駅のどちらの側を計測するかによって数値は変わるが、全体的な傾向をつかむためという事で多少正確さは欠くかもしれないがご容赦願いたい。


また、高低差のあるエリアでも排水路が整備されていれば冠水の危険性は低く、その逆もある。高低差については、現地周辺の状況を実際に見ながら地図で確かめることをおすすめする。地図は危険箇所等を発見するためのツールと考えたい。


参考サイト

最終更新日:2019年04月17日

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