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大規模修繕工事がちゃんとされているかどうやって見極める?

2017年11月15日

クエストルーム

大規模修繕工事がちゃんとされているかどうやって見極める?

マンション購入ホントのところ1

大規模修繕工事がちゃんとされているかどうやって見極める?


不動産の達人に“マンション購入のホントのところ”を聞いてくるこの連載。第1回は、中古マンションの「大規模修繕工事」について、さくら事務所に所属するマンション管理コンサルタント・土屋輝之さんに話を伺いました。

絶対にチェックすべきは「大規模修繕計画書」 

マンションも人間も、定期的なメンテナンスを怠ると老朽化が加速していくもの。そんなメンテナンスが計画的にきちんと行われてきたかどうかを見極めるのも、中古マンション選びで失敗しないポイントです。自分が次の所有者になった後の資産価値を守るためにも、これまでの管理状態をしっかりチェックする必要があります。


さくら事務所の執行役員でもある、マンション管理コンサルタントの土屋輝之さん。基本スタンスは、修繕周期伸長を目的とする高耐久性工法を採り入れた大規模修繕工事など、長期的視野でのコンサルティング。


──まず大前提として、大規模修繕工事とはどのような工事のことを呼ぶのでしょうか?


土屋 小・中規模、大規模の明確な線引きや基準はありませんが、一般的に分譲マンションで「大規模修繕工事」といったら、外壁の補強や塗装、屋上の防水など「足場をかけないとできない共用部分の工事」を指します。ちなみに「区分所有法」上、共用部分の変更の決議には管理組合総会で4分の3以上の賛成を得る必要とありますが、同法第17条には「その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く」とも記されています。共用部分の工事であっても、あるがままの状態で建物の劣化した箇所を直す場合には、過半数の賛成で通常決議もできます。


──大規模修繕工事をするタイミングは誰がどのように決めているんですか?


土屋 ひとつの目安として、2000年以降に建てられたマンションであれば、新築分譲時にはすでに25~30年間のおおまかな「長期修繕計画書」が作成されており、その中には当然ながら大規模修繕計画についても修繕項目、おおよその予算などとともに明記されています。ただ、長期修繕計画書は新築の際に一度作成すればいいというものではなく、5年程度に一度見直しをしましょうというのが国土交通省の長期修繕計画ガイドラインの考え方です。大規模修繕は12年周期で計画されるのが一般的ですが、初めての工事を15~16年後に行うマンションもあります。そのような大規模修繕工事の周期がずれているマンションの場合、それがずさんな計画で先送りになった結果なのか、むしろ日頃のこまめなメンテナンスによって良好な状態を保っていたためなのかを見極めることが大切です。

2008年には国土交通省により、それまで定まったものがなかった「長期修繕計画書」の標準様式が示された。国土交通省ホームページの「長期修繕計画標準様式(記載例)」より


「長期修繕計画書」は、各住人に修繕の意識を植え付けるためにも大事な書類とのこと。仲介会社を介して、売主か管理会社に「長期修繕計画書」を見せてくれるようにお願いしてみましょう。

大規模修繕工事は不正行為の温床!? 

──大規模修繕工事はどのような手順で実施されるのでしょうか。


土屋 大規模修繕工事が行われる時期が近づいてくると、まず建物の劣化診断を行います。そのうえで、管理会社などを通じて施工会社から見積もりを取り、予算内で収まるかどうかを確認します。修繕必要項目に対してどこまで施工するかということを管理組合の総会で話し合い、決議するというのが流れです。管理組合はマンション改修について専門知識があるわけではないので、一連の業務は管理会社や設計事務所、またはコンサルタントによって行われます。


──不正が多発しているというニュースを聞いたことがあります。防ぐ方法はありますか? 


土屋 確かに、管理会社や設計事務所、コンサルタントが高額なマージンを取ったりというような悪質な事例が横行しています。2017年1月に、国土交通省が「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について」という通知を、マンション管理に関わる団体に出しました。わざわざ国土交通省が、注意喚起を行うほど、事態は極めて深刻だと感じます。コンサルタントだけでなく、管理組合の役員が工事を引き受けた業者からキックバックをもらっているという話も珍しくありません。証拠がないから明るみに出にくいため、ゼロにすることは不可能に近いといえます。これを防ぐ手立てとしては、理事だけでなく多くの住人が積極的に関わってチェックする目を増やす、理事を固定させない、管理組合の総会などで日頃から要望や提案を声に出すといった方法で、住人が「厳しい目を持っている」ということが伝わるようにするしかありません。

購入したマンションに対して、「自分が新しい風を吹かしてやる!」くらいの熱意を持って管理に参加することで、ひょっとしたら事態が改善するのかもしれませんね。

素晴らしい管理は“伝統”により紡がれる! 

(写真:アフロ)

──近年、古いマンションを購入して専有部分をフルリノベーションするのが人気ですが、管理という観点で注意すべきことはありますか。


土屋 古いマンションは、年金生活を送るお年寄りの居住率が高く、管理という点においては少し注意が必要です。住人の年齢構成は必ずしも公開してもらえる情報ではないですが、仲介業者を通じて問い合わせてみてもいいでしょう。ただし、お年寄りの居住率の高さ自体が悪いということではなく、次のような覚悟を持って購入を検討してほしいと思います。ひとつは、新しい住人が将来的なことを考えていろいろ発案しても、お年寄りは現状維持を望むケースが多いこと。ふたつ目は、古いマンションなので本当は修繕したいのに、年金暮らしのお年寄りに対して修繕費の値上げをお願いできなかったり、それどころか修繕積立金の滞納もありえるということ。最後に、新しい住人が理事を万年やり続けることになる可能性が高いということです。


──高齢者の暮らすマンションのスラム化も話題になっています。そういったマンションを見わけるには?


土屋 やはり建物が古く、かつ修繕金が不足しているマンションですね。不足しているかどうかは、「長期修繕計画書」「修繕履歴」と管理組合の「収支決算書」を見れば確認できます。当然、建物の劣化が進むと修繕の範囲が増えるので、築浅のときと同レベルの修繕では済まなくなります。建物の劣化もそうですが、共用設備が壊れて快適な生活というのがどんどん失われていくのは深刻な問題ですよね。そうなると住人はどんどん減っていき、スラム化が進んでしまうのです。また、1世帯あたりの費用が割高になる10~20世帯といった小規模マンションは、綿密な計画を立てて修繕金の積み立てと修繕工事を実施していかないと、将来的にスラム化してしまう可能性がありますね。


──古いマンションの中でも「ヴィンテージマンション」と呼ばれる物件は、何が違うのでしょうか?


土屋 ヴィンテージマンションは単に古いだけでなく、「管理がしっかりしている」ということが定義に含まれています。古くても資産としてきちんと維持管理しており、実に見事な長期修繕計画を立て、そのとおりに実施し続けています。お年寄りの居住率が高いマンションでも、若い後継者が活発に動き、お年寄りが相談役となり、支え合って組合が運営されているのです。また、管理の良し悪しというものは、今の理事長が活発だからとか、そんな一朝一夕で得られるものではありません。これはある種の“伝統”といってもよく、この歴史を積み上げていくには最低10年はかかるでしょう。築浅マンションにはない魅力ですね。このような素晴らしいヴィンテージマンションをもっと増やしていきたいものです。

ここをチェック!「中古マンションの大規模修繕工事」 

  • 売主に「長期修繕計画書」「修繕履歴」「収支決算書」を見せてもらう
  • 1世帯あたりの負担費用が割高になる小規模物件は注意
  • 古いマンションは住人の年齢構成や空室状況を確認


「ほとんどのマンションは事実上、建て替えることはできない」と土屋さん。だからこそ、大きな財産を共有する“運命共同体”である住人たちと大事に守っていく姿勢がとても大切なんですね。「住人の維持管理の意識が高い物件を買うのが、最も失敗しない方法です」という先生の言葉が胸に響きました!


(文:飯島愛/イラスト:ナカオテッペイ/構成・撮影:クエストルーム)


取材協力:株式会社さくら事務所

業界初の個人向け不動産コンサルティングを手掛ける一級建築士事務所。ホームインスペクション(住宅診断)の利用者39,000組以上という実績を誇る。知識と経験豊富な専門家により、住まいに関するあらゆる分野の強い味方として、悩める人をサポートする不動産の達人。

【参考サイト】

最終更新日:2017年11月15日


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