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ボーナスを住宅ローンに充てるのはアリ?(写真:アフロ)
住宅ローンの基本的なノウハウをお伝えしてきた本連載も、はや7回目。今回は「ボーナス併用払い」をするべきか否かについてお話しします。
「ボーナス併用払い」にする・しないで、何が違うの?
住宅ローンの返済は、基本的には毎月支払う「月払い」になりますが、それにプラスして年2回ボーナス月に支払う「ボーナス併用払い」も選択できます。ボーナス併用払いに振り分けられる割合は金融機関によって異なりますが、例えばフラット35の場合は、年間返済額の40%をボーナス払いに振り分けられます。仮に年間120万円を支払うとして、月払いだけで返済するとしたら、月々の返済額は10万円となります。しかし、ボーナス併用払いを選ぶと、マックスで48万円をボーナス払い(1回あたり24万円で年2回)に振り分けられます。そうすると、残りの72万円を月払いにすればいい訳ですから、月々の返済額は6万円と随分ラクになります。
月々の返済額を減らして、収入の多いボーナス月に多く支払う…一見合理的で家計のやりくりもしやすいようですが、本当にボーナス併用払いをするのがいいことなのでしょうか。
まず、損得だけで考えると、月払いとボーナス払いとではどちらがおトクか中村さんに尋ねたところ、「結論から言うと、月払いの方がおトクです」と即答。そのココロは?
「なぜなら、ボーナス払いの場合は6ヶ月ごとに払うことになりますが、それは支払いを6ヶ月後回しにしているということ。月払いは毎月ローンの元金が減っていきますが、ボーナス払いは6ヶ月分元金の減りが滞る分、利息が発生します。そのぶん返済総額も多くなるということです」
なるほど。では、同じ条件でボーナス併用にするかしないかで、差額はどれぐらい出るのでしょうか?
【前提条件】
<計算結果>
下から二番目の「総支払利息額」に注目してください。ボーナス併用払いより、月払いのみの方が、35,000円ほど安くなります。
35年間でそれだけしか差額がないなら、月払いのみでもボーナス併用払いでも、どちらでもいいじゃない、そう思う人は多いでしょう。ただし、最初にお話しした通り、損得だけでは考えられないのが住宅ローンです。
ボーナスは臨時出費のためにとっておきたいですね。(写真:アフロ)
「ライフプラン」と「リスク管理」も考えて
ボーナス併用払いについて損得の観点では、月払いとあまり差がありませんでした。しかし「ライフプラン」という切り口で考えると、何歳でローンを始めるかが、ボーナス併用払いをする・しないを判断する際の重要なポイントになってくるといいます。
「例えば、40歳から35年のローンを組んだとしたら、返済終了が75歳です。65歳までは現役で働けたとしても、残りの10年間は、ボーナス返済分を支払えるでしょうか。答えはノーですよね」
さらに、中村さんはこう続けます。
「家を買うときに考えてほしいのが、『賃貸マンションを探すときと同じ感覚でいてほしい』ということです。賃貸マンションの家賃の額は一定で、ボーナス時に高く払うということはないですよね。だから、賃貸の物件を探すときは、毎月払える額で探して、決して年収からは考えない。家を買う時も同じように、『毎月払える額』で考えてほしいのです」
これはしっかり覚えておきたいですね。大きな買い物は、毎月の支払いで考えることが大切で、ボーナスはライフプランや臨時の支出のために使うと考えた方が無難ですね。
「例えばボーナス併用払いで住宅ローンを組んでいるAさんは、冬に給湯器が故障してしまい、買い替えのため数十万円の臨時出費となりました。住宅ローンのボーナス払い分もあり、その冬のボーナスはやりくりがとても苦しくなってしまったそうです。電化製品などの故障はいつ起こるか予測できないですよね」
不測の事態のときのための「ゆとり資金」として、ボーナスはとっておきたいですね。そもそも、ボーナスはずっと支払われるとは限りません。「リスク管理」という切り口で考えても、ボーナス併用払いは利用しない方が得策ということになりますね。
それでは、今回のまとめをどうぞ。
<今回のまとめ>
(取材・文:クエストルーム)
【取材協力】
最終更新日:2018年08月30日
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