ページトップへ

Yahoo!不動産おうちマガジン は家探しのヒントが満載の情報サイトです!

>
>
タワーマンションの大規模修繕工事の周期は?

2019年12月04日

クエストルーム

タワーマンションの大規模修繕工事の周期は?

タワマン大規模修繕の実際

タワーマンションの大規模修繕工事の周期は?

写真:アフロ

タワマンの大規模修繕“12年周期説”はホント?

1970年の高さ規制の撤廃に端を発し、1997年の建築基準法大改正により首都圏などの都心部でも建設されるようになったタワーマンション(タワマン)。豪華な設備や眺望の良さから、そういった都心のタワマンは憧れの存在、ステータスの一つとなっていますが、居住者や購入を検討している人が絶対に無視してはいけない問題──それが、大規模修繕工事です。 


実は今、多くのタワマンが大規模修繕工事の時期を迎えています。しかし、過去の施工例に目を向けると、「資金不足で借金をしなければいけなくなった」「余計な費用負担を強いられた」「手抜き工事に遭った」……などなど、失敗例が少なくないのが現実です。


“こんなはずじゃなかった!”を避けるためには、まず大規模修繕工事の“リアル”を知ること。そこで、数多くの不動産コンサルティングを手掛けるさくら事務所の土屋輝之さんに、その実際のところを伺ってきました。


不動産仲介営業から新築マンション販売センター長を経て、さくら事務所の執行役員となったマンション管理コンサルタントの土屋輝之さん。不動産関連資格も数多く保持していて、深い知識と経験を誇るスペシャリスト。


タワマンの大規模修繕についての本連載、第一回目のテーマは「タワマンの大規模修繕工事の周期」です。


「タワマンは1997年の建築基準法改正後、2000年から10年にかけて建設数が急増したんです。つまり築年数10年を超え20年に迫っているタワマンが、ドッと急増し始めているという状況にあります」(土屋さん)


●大規模修繕工事とは

「長期修繕計画」に基づき実施される老朽化防止のための工事。多額の工事費が必要となるため、「修繕積立金」を積み立てて実施されるが、実際に大規模修繕を実行するには、通常、管理組合の集会にて区分所有者数・議決権の過半数により可決される必要がある。

工事は「建築工事」と「設備工事」に分けられ、前者の場合は建物に仮囲いや足場を設置する仮設工事、屋根や床の防水工事、外壁塗装や外壁タイルの張替えや外壁塗装工事などが代表的。後者の場合はエレベーターや給排水、空調・換気設備などの修繕・交換工事がポピュラーなものとして挙げられる。


さて、この大規模修繕工事について調べてみると、“12年周期”という数字が多く出てきます。実際、「タワマンの場合、管理会社が提示する長期修繕計画に『12年』と記載されているケースが多く、これが一つのスタンダードになっています」と土屋さん。


となると、実際に12年周期で大規模修繕工事をしなければいけないのか? というと、これは法律で定められたものではなく、あくまで目安に過ぎないのだそう。


「2008年頃に国土交通省が作成したガイドラインのなかに、長期修繕計画の“モデルケース”が出てくるのですが、そこに周期として『12年』と記載されたのです。これはあくまでモデルケースとして示されたものだったのですが、業界内でこの数字が神格化され、独り歩きを始めてしまいました」(土屋さん)

特別な事例がなければ15年未満で行う必要はなし! 

写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート


では、実状はどうなっているのかというと、「管理会社が提示する長期修繕計画どおりに12年前後で大規模修繕工事を行うタワマンはほとんどなく、建物の劣化状況を見ながら15年目、18年目と先延ばしにするタワマンが多い」とのこと。


さらに、「マンション管理組合の運営がしっかりしているタワマンの場合、大規模修繕工事は17~18年目に行うケースが圧倒的に多く、15年未満で工事が行われるケースはほとんど見当たりません」と土屋さんは言います。


タワマン大規模修繕は、一回の工事で「億単位の費用が掛かる」もの。その資金は居住者が毎月支払う修繕積立金によって賄われますが……。


「タワマンの管理を60年のスパンで考えた場合、12年周期なら5回の大規模修繕が必要となり、そのたびに多額の出費が必要となりますが、周期を15年にすれば4回、20年にすれば3回の工事で済み、居住者の費用負担も大きく軽減されることになります」(土屋さん)


大規模修繕工事をいつ行うのか? の最終判断は、タワマンの居住者らで構成されるマンション管理組合の合議によって決まります。


しかし、組合側が『大規模修繕を先延ばしにできないか?』と尋ねても、管理会社から『それで万が一雨漏りしたら?』『資産価値が落ちますよ』『あなたの責任も問われかねない』などと突っ込まれたら尻込みしてしまうのが人情。その揚げ句、「『ここはひとつ、国交省のガイドラインどおりに…』と言われてしまえば、たいていの場合、管理会社の提案通りの工事をしてしまうというのがお決まりのパターンなのです」と土屋さんは言います。


「12年周期の大規模修繕工事がすべて悪いというわけではありません。しかし、建物や設備の劣化がそれほど進んでなくても、管理会社は工事の先延ばしを提案することはほとんどありません。また、管理組合に不要不急の工事を急かして余計な出費を強いるケースも、私はこれまでたくさん見てきました」(土屋さん)


なぜそうしたことが起きてしまうのかというと…。


「大規模修繕を直接受注する管理会社もあれば、関連会社に委託して売上げの一部を還元してもらっている管理会社も少なくありません。大規模修繕は管理会社にとっての大きな収益源ですから、彼らはさまざまな“セールストーク”を使って早期の工事を求めてくるのです」(土屋さん)


そんなセールストークに引っかかってしまわないために、改めて大規模修繕工事の“適正な周期”をどう考えればいいか、整理しておきましょう。


「まず、特別な事情がない限り、タワマンにおいては15年未満で行う必要はありません。16年目から18年目程度の施工が常識的。これが一つの目安となります。

修繕積立金のやりくりと、大規模修繕工事をうまく両立しているタワマンの管理組合は、管理会社の提案を鵜呑みにせず、そこにアレンジを加えながら工事の周期を長期化しているのが一般的です。その背景には、建物や設備をマメに点検しながら“壊れる前に修繕を行う”といった、建物を長持ちさせるための管理組合独自の取り組みがあり、最近は第三者の専門家に依頼し、工事の適切な時期を見極めようとする管理組合も増えてきました。


繰り返しになりますが、大規模修繕工事は管理会社の提案する周期でやらなければいけないということは決してない、ということは念頭に置いておきましょう」(土屋さん)


次回は、大規模修繕のコストと、その資金源となる修繕積立金について考えていきます。


(取材・文:興山英雄、構成:クエストルーム)


取材協力:株式会社さくら事務所 執行役員・マンション管理コンサルタント 土屋輝之さん

業界初の個人向け不動産コンサルティングを手掛ける一級建築士事務所。ホームインスペクション(住宅診断)の利用実績46,000組以上、マンション管理組合向けコンサルティングは400件以上という実績を誇る。知識と経験豊富な専門家により、住まいに関するあらゆる分野の強い味方として、悩める人をサポートする不動産の達人。

最終更新日:2019年12月04日

キーワードを入力してください

キーワードから探す


本文はここまでです このページの先頭へ

Yahoo!不動産 おうちマガジンとは?

不動産にまつわるマジメな記事からおもしろ記事まで、家さがしが楽しくなる情報をお届け!新しい暮らしのヒントが満載のマガジンです。