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どう実現した? タワマンの修繕積立金『均等積立方式』への切り...

2019年12月06日

クエストルーム

どう実現した? タワマンの修繕積立金『均等積立方式』への切り替え

タワマン大規模修繕の実際

どう実現した? タワマンの修繕積立金『均等積立方式』への切り替え

写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート

あるタワマンの居住者が修繕積立金“3倍増額”を受け入れたワケ

タワマンの大規模修繕工事の実際について、さくら事務所のマンション管理コンサルタント・土屋輝之さんと一緒に考える本連載。前回は、その原資となる「修繕積立金」が、購入のハードルを下げる目的で分譲時には低く設定される傾向があること、できるだけ早期に増額することが避けられないが、値上げには居住者の合意が必要でなかなか一筋縄ではいかないことを確認しました。 


さくら事務所のマンション管理コンサルタントの土屋輝之さん。不動産関連資格も数多く保持していて、深い知識と経験を誇るスペシャリスト。


修繕積立金については、築年数に応じて段階的に引き上げる『段階増額積立方式』を採るタワマンが多いのですが、近年はある時期にもうこれ以上は値上げしないというレベルまで一気に引き上げる『均等積立方式』に切り替えるタワマンも増えているそう。 


「十分な大規模修繕工事を行うためには『均等積立方式』への切り替えは避けられません。その命運を左右するのは管理組合です」(土屋さん)


管理組合とは、マンション管理に関わるさまざまな意思決定を行う区分所有者によって構成される団体。修繕積立金の増額には、この管理組合の決議が不可欠となります。


土屋さんがコンサルティングに関わった川崎市にあるタワマンの場合、長期修繕計画を大幅に見直して50年間の修繕支出を毎年、同額で積み立てていく均等積立方式に切り替えたのが築5年目のときでした。それと同時に、月々の修繕積立金を3倍弱に増額したそうです。


積立金の増額には居住者の合意形成が最大の壁になることは前回記事でも伝えたところですが、3倍弱もの大幅値上げをいかに実現したのでしょうか?


「このタワマンには建築分野に明るい人と、財務のプロが居住者にいて、彼らが管理組合のリーダーになりました。まず、人材に恵まれていた点が大きかったと言えます。そして彼らは私たち“第三者の専門家”をコンサルに入れ、長期修繕計画の見直しと、均等積立方式への移行に関わる合意形成のサポートを依頼されました。

当然、最初は修繕積立金の増額に反発する居住者も多く、組合のある理事のもとには脅迫状が届いたとも聞いています。しかし、彼らは尻込みしませんでした。居住者に納得してもらうために住民説明会を10回も行い、『段階増額積立方式』のままでは将来的にどの程度の負担増になるのかをデータで示し、逆に、『均等積立方式』に移行すればいかに先行きの不安が解消されるか、その説明を繰り返し行いました」(土屋さん)


その一方で、修繕コストを節約する取り組みも行われたと言います。


「タワマンの多くは、事前に定めた時期が来たら自動的に設備を取り換える『時間保全』の発想で設備の修繕を行いますが、このタワマンの管理組合はそこに疑問を持ちました。設備や施設の劣化具合はモノによって異なるのに、そこを時期がきたらまとめて交換するという手法には不要な出費が発生するリスクがあることに気が付いたからです。

そこで、日常的な点検とメンテナンスで設備の寿命を延ばしつつ、必要なものだけ修繕を行う『状態監視型』の考え方を採り入れました。管理会社にはその方針を明確に伝え、設備の点検と保全がきちんとできる専門スタッフを雇い入れるように強く要請。こうしてタワマンの管理防災センターには、その方針に見合う人材が常駐することになりました」(土屋さん)


この『状態監視型』の考え方で修繕計画を見直した結果、設備の取り替え費用を大幅に削減することにつながりました。そして、こうした管理組合の地道な活動によって、ついに修繕積立金増額の決議に必要な過半数を大きく上回る賛成を獲得します。


●時間保全型と状態監視型

マンションの修繕の二つの考え方。築10年目、15年目などと長期スパンで修繕時期を定め、その時期が来れば建物や設備の劣化状態に関わらず“必ず修繕する”というのが「時間保全型」。

一方の「状態監視型」は、日常的な点検と“異常が出たら直す”マメなメンテナンスで建物や設備の長寿命化を図る考え方。不要不急の工事=余計な出費を減らす。

「近年のタワマンでは、状態監視型に切り替える管理組合が増えています」(土屋さん)

マンション管理を“自分事”として考える居住者を増やす

写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート


この川崎市のタワマンの場合は、「管理組合のなかに修繕、防災、会計、広報など細かく分科会を立ち上げ、多くの居住者を管理組合の活動に巻き込む仕掛けを作った」とのこと。また、各分科会の協議の模様は誰でも自由に傍聴できる状態とし、管理組合の公式ホームページも開設。そこに理事会議事録や財務データをすべて公開しています。


そうやって、「マンション管理を“自分事”として考える居住者を増やすことも、大規模修繕をうまく進めるためには欠かせない」と土屋さんは言います。


管理組合の活動が活発なタワマンでは、夏祭りやクリスマスパーティーといったイベントを共用スペースで定期的に催すことが居住者のコミュニティー意識を高める方策としてよく用いられますが、土屋さんによれば“故郷意識”を芽生えさせる目的でオリジナルソングやゆるキャラを作るタワマンもあるそうです。


「大規模修繕工事の検討段階に入ろうとしているタワマンが多いなか、修繕積立金の増額をずるずると先延ばしにしてきたところは今後、資金不足が露呈する可能性があります。この問題にいち早く気づき、先手先手で対策を講じてきたタワマンは、すでに財務基盤を安定させつつ、住みよい環境を整えてそのブランド価値を高めることにもつなげています」(土屋さん)


大規模修繕工事を契機に、浮き上がるタワマンと、沈むタワマン。今後、その二極化がより鮮明になるかもしれません。


(取材・文:興山英雄、構成:クエストルーム)


取材協力:株式会社さくら事務所 執行役員・マンション管理コンサルタント 土屋輝之さん

業界初の個人向け不動産コンサルティングを手掛ける一級建築士事務所。ホームインスペクション(住宅診断)の利用実績46,000組以上、マンション管理組合向けコンサルティングは400件以上という実績を誇る。知識と経験豊富な専門家により、住まいに関するあらゆる分野の強い味方として、悩める人をサポートする不動産の達人。

最終更新日:2019年12月06日

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