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寿命がきたらどうなるの? 実は難しいマンションの建て替え

2019年12月12日

クエストルーム

寿命がきたらどうなるの? 実は難しいマンションの建て替え

マンションの寿命考

寿命がきたらどうなるの? 実は難しいマンションの建て替え

写真:アフロ

マンションの建て替えが進まない、いくつかの理由

近年、人気が高まっている築古マンション。住みたいけれども、気になるのはマンションの寿命。そこでこれまで3回にわたり、マンションの寿命について不動産コンサルティング会社、さくら事務所・創業者で会長の長嶋修さんにお話を伺ってきました。長嶋さんによれば、築年数が30年以上経過していても、正しい建設がされ定期的な点検やメンテナンスが行われていれば、その後も数十年という長い期間、住むことができることがわかってきました。ただ、それでも最後にはやはり、マンションは寿命を迎えてしまいます。そこで今回考えていきたいのが、“マンションの建て替え”について。今回も長嶋さんにお話を伺います。 


さくら事務所会長、NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会初代理事長の長嶋修さん。


マンションの建て替えは、実はかなり難しいと言います。その難しさを物語るのが、これまで建て替えされた物件数です。マンションは全国で約644万戸(平成29年末時点)が建設されてきました。その内、建て替え事例はわずか270件ほど(計画中のものも含む)しかありません。もちろん、644万戸のなかには新築マンション、築浅マンションも含まれますが、2020年には全マンションのうち約4割が築30年以上を超えるという調査(国土交通省調べ)があることを考えると、非常に事例が少ない状況です。


なぜ、マンションの建て替えは進まないのでしょうか。その理由について見ていきましょう。


「マンションを建て替えるには、まず容積率が余っている必要があります。容積率が余っていれば、建て替えで建物を高くするなどして部屋数を増やし、その部屋の売却益で建て替え費用を捻出することができます。ただ、仮に容積率が余っていたとしても、立地が悪ければ部屋は売れません。それでは建て替え事業者も協力してくれません」(長嶋さん)


つまり、建て替えできるマンションは、立地が良くて、なおかつ容積率に余裕がある場合に限るということ。


「それに加えて、区分所有者の建て替え意識が高く、仲が良いということも重要です。というのも、建て替えにはマンション管理組合において5分の4の合意が必要なんです」(長嶋さん)


建て替えについて、経済的な問題をクリアしたとしても、管理組合で5分の4の合意を得るのが非常に難しいと長嶋さんは話します。


「マンションの建て替えでは、現実問題として築年数が50年以上ともなれば住んでいる方の年齢も高くなり、80代の一人暮らしというような方もたくさんいます。そういうご年配の方にしてみれば、多少不具合があってもそのまま住み続けたいというのが本音ですよね」(長嶋さん)


もちろん、ご年配の方が反対しても、5分の4の賛成があれば建て替えを進めることはできると言います。ただ、それができないのが現実のようで……。


「仮にそのご年配の方が『マンションを出たくない』という場合には、買い取ることもできます。でも、同じマンションに住んでいる顔見知りの人に、そんな強引なこともできません。それで二の足を踏んでいるケースが大半だと思います」(長嶋さん)


建て替えとなれば、工事期間は仮住まいへ引っ越しして、完成後にもまた引っ越しとなれば、大きな負担となります。


というように、マンションの建て替えには容積率の余裕、資産性の高いマンションの立地、そして区分所有者の合意形成という難しさがあるのですね。

建て替え可能性の高い築古マンションとは?

写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート


マンションの建て替えがいかに難しいかは、これまで見てきた通りですが、それでも過去に建て替えを実現した例はあります。そこで、建て替えの可能性があるマンションについて伺いました。


「将来的な建て替えを含めて、築古マンションの購入を考えるのであれば、とにかく立地が重要です。立地が良ければ、人の入れ替えが起こります。入れ替えがあるということは、資産性があるということ。都心の立地のいい高級マンションは、築年数が古くても高価格で取引されています。それこそ新築時の1.5倍で売れています。さらに、修繕積立金を潤沢に貯めていることも必要な条件になると思います」(長嶋さん)


都心部で環境が良くて、「このヴィンテージマンションに住みたい!」と思うのであれば、先々の建て替えも視野に入れて購入に踏み切っても良いという。

さらに、マンションの建て替えについては、今後、国の方針にも期待できそうだと長嶋さんは言います。


「マンションの建て替え促進については、2002年の『マンション建替え円滑化法』(マンションの建替え等の円滑化に関する法律)の施行以来、これまで何度も法改正をしています。それでも、建て替えはなかなか進んでいきませんでした。ただ、マンションの老朽化とその対策は国にとっても大きな課題ですから、今後、時間をかけて建て替えのスキーム自体が変わっていく可能性は十分にあります」(長嶋さん)


不動産コンサルとして長年の経験がある長嶋さんは、マンション建て替えについて、頻発する都市における水害や今後起こりうる災害への対策も兼ねた、あるアイデアがあるのだとか。


「今のままでは建て替えが進まないので、建て替え促進地域を決めて、その地域だけ容積率を思い切り上げるのです。建て替え促進地域に指定されるのは、浸水可能性が限りなく低く、地盤のいいところです。その地域については、例えば容積率を一律3倍にするなどして、建て替えるわけです。一方で、浸水可能性や地盤の脆弱性が指摘されている地域に住んでいる方が、建て替え促進地域に移り住む際には優遇するわけです。このように思い切った政策を打ち出す必要が、これからはあると思います」(長嶋さん)


東京都心部では、市民の8割がマンション住民と言います。4回にわたって見てきた「マンションの寿命考」は、実はそのまま都市問題とも言えるのです。条件のいい築古マンションを見極めつつ、今後の国の政策にも期待したいですね。


●マンション建て替えが進まない理由

  • 立地条件が悪い
  • 容積率に余裕がない
  • 区分所有者の合意が得られない


(取材・文:頓所直人、構成:クエストルーム)


取材協力:株式会社さくら事務所 創業者会長・不動産コンサルタント 長嶋修さん

業界初の個人向け不動産コンサルティングを手掛ける一級建築士事務所。ホームインスペクション(住宅診断)の利用実績46,000組以上、マンション管理組合向けコンサルティングは400件以上という実績を誇る。知識と経験豊富な専門家により、住まいに関するあらゆる分野の強い味方として、悩める人をサポートする不動産の達人。


参考サイト

最終更新日:2019年12月13日

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