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電柱のない住宅地は増えるのか?

2015年01月28日

平野雅之

電柱のない住宅地は増えるのか?

外国に大きく遅れた日本の無電柱化

電柱のない住宅地は増えるのか?

無電柱化された住宅地はすっきりとした印象を与えるが、まだ数少ない存在でしかない

アジアの主要都市にも遅れている日本の無電柱化

日本の住宅地では、どうしても電柱や電線が視界に入る。どんなに瀟洒な家を建てても、見栄えのする外観のために費用をかけても、その前を電線が横切る場合がほとんどだろう。地中化によって電柱や電線を地上からなくした住宅地も徐々に増えつつあるが、全体からみればほんのわずかでしかない。

無電柱化率を外国の主要都市と比べれば、その差は歴然としているだろう。ロンドンやパリなどでかなり古くから100%の無電柱化率を達成していることは知られているが、国土交通省の資料によれば、アジアの主要都市でもだいぶ高い無電柱化率を実現しているようだ。香港は100%(2004年)、台北は95%(2013年)、シンガポールは93%(1998年)、ソウルは46%(2011年)、ジャカルタは35%(2014年)といった具合である。

それに対して日本はどうだろうか。2013年度末時点における無電柱化率は東京23区が7%、名古屋市と大阪市が5%といった水準にとどまり、他の政令指定都市では相模原市、さいたま市、新潟市、浜松市、堺市、岡山市がいずれも1%にすぎない。都道府県別では東京都が5%、兵庫県が3%で、他の道府県はほとんど1%または2%となっている。青森県と茨城県、香川県は0%だ。

多くの住宅地では電柱とともに、張り巡らされた電線が当然のように存在する


電柱や電線があることによる弊害とは?

電柱や電線は、景観面の問題だけではない。歩道部分に立てられた電柱により歩行者が歩きにくかったり、車いすが通れずに車道へはみ出さなければならなかったりする。歩道と車道が分離されておらず、自動車の通行量が多いようなところでは、電柱付近で危険な思いをした経験がある人も少なくないだろう。

地震や台風など自然災害による電柱の倒壊や電線の垂れ下がり、といった危険性もある。大規模災害時に緊急車両の通行を妨げ、人命にかかわる事態を招く恐れもあるのだ。さらに日常生活で不可欠となった情報通信ネットワークを災害のときにも維持するため、電線類の地中化が急がれる。20年前の阪神・淡路大震災では、架空線に比べて地中化されたケーブルの被災率は80分の1程度だったとするデータもあるようだ。

他の国々よりも電線類の地中化によるメリットが多いはずの「地震国・日本」において、その対策が大きく立ち遅れているのは皮肉でしかない。


無電柱化は国や自治体でも対策を進めているが、住宅地では難しい状況

もちろん国や自治体も無電柱化に取り組んでおり、1986年から徐々に整備が進められている。これまでに何度も国の「再生計画」「重点計画」「基本方針」などに盛り込まれているのだ。当初は中心市街地の幹線道路の無電柱化に重点が置かれたものの、2003年の「電線類地中化の着実な推進に向けた基本方針」や「社会資本整備重点計画」では、良好な住環境や歴史的な街並みの保全、地域文化の復興、地域活性などのために必要な場合には、住宅地の非幹線道路においても整備を実施することとされた。

しかし、数値目標は設定されてもその実現には2倍近い期間を要している状況であり、無電柱化、電線類の地中化は思うように進んでいない。無電柱化された住宅地も徐々に増えてきているが、その大半は新たに開発された分譲地だろう。

これから住宅地の新規開発は減っていくはずであり、厳しい財政状態にある自治体では住宅地の整備までなかなか手が回らない。各地方の「無電柱化協議会」で優先度が高いと認められなければ、要請者(住民)がその費用を負担しなければならないことになるため、現実問題として困難なケースも多いのだ。

電柱や電線がない、すっきりとした街並みの住宅地が日本で一般的になるのは、まだ遠い将来のことなのかもしれない。

最終更新日:2015年01月28日


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