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新耐震基準の罠

2015年06月10日

平野雅之

新耐震基準の罠

新耐震基準でも安心してはいけない

新耐震基準の罠

大地震による建物被害をゼロにはできないが、最小限に抑えることは考えなければならない

新耐震基準の住宅は「耐震性あり」とみなされることも多いが……

首都直下地震や南海トラフ地震など、大きな人的被害に直結する巨大地震の発生が懸念されている。住宅の耐震性能を高めることが急務とされ、国や自治体でもさまざまな対策が進められているところだ。その際にポイントとなるのが、1981年の建築基準法改正による「新耐震基準」以降の建物か否かというものだろう。

国や自治体による耐震改修補助制度などは、そのほとんどが旧耐震の建物を対象としており、税制上でも新耐震基準なら一律「耐震性あり」とみなすことが多い。新耐震基準以降に建てられた住宅であれば、耐震診断を勧められたり注意喚起されたりすることも少ないはずだ。

その背景には1995年の阪神・淡路大震災後にまとめられた「建築震災調査委員会中間報告書(旧建設省)」のデータがある。この中で1981年以前の建築物は65.8%が被災(中・小破37.3%、大破28.5%)したのに対し、1982年以降の建築物の被災は25.3%(中・小破16.7%、大破8.6%)にとどまったことが示され、新耐震かどうかで大きな差があったとされているのである。

しかし、その結果を単純に信じて良いのだろうか。当時において新耐震基準の建物はほとんどが築浅、長くても築13年以内であり、それ以前の建物にはかなり古いものも含まれているのである。仮に耐震基準の改正がなかったとしても、同じような傾向のデータとなった可能性は高い。もし仮に、2015年時点で同じような建物被害を伴う大地震が起き、築13年以内とそれ以前の2グループに分けて調べれば、後者の被災率が高くなるのは当然のこととして考えられる。

また、調査委員会の報告書では「中央区の特定の地域を対象とした悉皆調査」の結果が示されている。それによれば「倒壊又は崩壊」は1971年以前築で17%、1972年~1981年築で5%、1982年以降築で3%だ。「大破」も順に18%、7%、5%となっている。中破、小破も同様の傾向だ。たしかに新耐震基準建物のほうが被災率は低いが、新耐震基準前の10年と比べてその差は意外と小さい。そして、よく考えなければならないのは、新耐震基準の建物でも1割近くが倒壊、崩壊、大破しているという事実だろう。

建物の耐震性能だけでなく、敷地地盤の耐震性も重要なポイントとなる


「新耐震基準」というだけで安心してはいけない

「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)」の集計に基づく「耐震診断基本データ」(2015年2月発表)によれば、新耐震基準後(2000年5月まで)に建てられた木造住宅のうち「倒壊する可能性が高い」ものは63.21%、「倒壊する可能性がある」ものは22.15%に達した。新耐震でありながら85%を超える住宅の耐震性に問題があるのだ。

もちろん、耐震性に何ら心配のない所有者は耐震診断を依頼しないであろうから、木耐協のデータが国内すべての住宅の平均値を示すものではない。だが、国や自治体による対策の対象外となっている新耐震基準の住宅でも、問題を抱えているケースが多いことには十分に留意しなければならないだろう。

新耐震基準を否定する意図はまったくないが、それを過信することは禁物であり、少なくとも「新耐震基準の住宅だ」という理由だけで安心するべきではない。木造住宅に関しては1981年6月の新耐震基準だけではなく、2000年6月の改訂が大きな意味を持つことも覚えておきたいものである。

中古住宅の購入を検討する際は、たとえ新耐震基準後の住宅であっても、新築時の「建設住宅性能評価書」を確認する、建物の状態を念入りにチェックする、不安が感じられるときは耐震診断を受ける、専門家による建物検査を受けるなどの対策が必要だ。

さらに、住宅の地震対策には地盤の問題も欠かすことができない。どんなに耐震性能の優れた住宅を建てていても、その地盤が崩壊したり亀裂を生じたりすればひとたまりもないのだ。住宅を購入する際には、その地盤強度にも十分に注意を払い、必要に応じて専門家の力を借りることも検討したい。

最終更新日:2015年06月10日


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