ページトップへ

Yahoo!不動産おうちマガジン は家探しのヒントが満載の情報サイトです!

>
>
河川堤防の防災対策はまだ十分ではない!

2015年09月30日

平野雅之

河川堤防の防災対策はまだ十分ではない!

次の災害は国内どこでも起こり得る

河川堤防の防災対策はまだ十分ではない!

写真:アフロ

近年でも河川堤防の決壊は繰り返し起きている

2015年9月の「関東・東北豪雨」では、鬼怒川上流域に繰り返し発生した「線状降水帯」が大量の雨を降らせ、その下流に位置する茨城県常総市を中心に甚大な被害をもたらした。いまも不自由な生活を強いられている被災者は多く、一日でも早く平穏な生活が戻ることを願うとともに、尊い命を奪われた方々のご冥福を祈る。

常総市での被害が大きかったために、それ以外の地域における被害はあまり報じられなかったが、「関東・東北豪雨」によって堤防が決壊したのは14河川、氾濫は64河川に及ぶという。また、2012年7月の「九州北部豪雨」でも河川の決壊や氾濫があったほか、2004年7月の「新潟・福島豪雨」では信濃川水系の河川などで11か所の堤防が決壊し、多くの犠牲者を出した。2004年10月の台風23号による豪雨でも兵庫県で河川の氾濫や堤防決壊があり、兵庫県内の死者は26人にのぼった。

近年は「数十年に1度」とされるような記録的豪雨が頻繁に発生しているが、「近くの河川には高い堤防があるから大丈夫」と感じている人も多いのではないだろうか。しかし、堤防などによる治水対策は十分とはいえないのが実態のようである。国土交通省による堤防点検の結果を確認してみると、堤防不要区間を除いた「全国109の一級水系の直轄河川堤防延長」約13,400kmのうち、対策が必要とされたのは約2,200kmで約16%を占める。

これは2012年7月の豪雨災害を踏まえて実施された緊急点検の結果だが、崩壊するおそれのある箇所が要因別の合計で約1,200km、流下能力の不足が約1,500km、河岸浸食や護岸欠損のおそれのある箇所が約200kmとされ、重複部分を除いた要対策延長が約2,200kmということだ。国の直轄河川がこの水準であり、その他の河川ではさらに対策が遅れているだろう。

ちなみに、国土交通省の公表資料をもとに河川ごとの「要対策延長割合」を独自に算出してみたところ、最も高いのは小丸川(九州)の71.7%だった。30%を超えるものも全国で29河川にのぼる。東京近辺では「荒川下流」が57.9%であることに注意しておきたい。万一のことがあれば、被害は桁違いに大きくなるのだ。

国土交通省公表資料をもとに作成


普段の生活の中で、イザというときの避難方法などを意識しておきたい

2012年の緊急点検の後に、いくつかの箇所では堤防の改良工事が行われているだろうが、全体的に公共工事が抑制される中で手付かずのままになっている箇所も多いだろう。考えておかなければならないのは、河川の上流で1か所でも堤防の決壊などが起これば、その下流域の住宅地なども被害を受けるということだ。自分が住むエリアの堤防に問題がなければそれで大丈夫というわけではない。

政府の中央防災会議がまとめた「利根川の洪水氾濫時の死者数・孤立者数等」の推計では、埼玉県内の堤防決壊による被害は東京都内まで及ぶとされている。決壊箇所によっても被害の想定は異なるが、水深5m以上の浸水地域が内陸部まで大きく広がるほか、死者は最悪のケースで約6,200人、孤立者は最大約110万人という推計もされている。孤立者の救助完了までに2週間を要するケースもあるという。

河川の氾濫や堤防の決壊は全国どこでも起きる可能性がある。水害から身を守るためには少しでも早い避難が欠かせないわけだが、自治体が避難勧告や避難指示を出すのを待っていては手遅れになることもある。異常な雨が降り続くようなときには自分たちがどのように行動するべきなのか、避難をどうするのかなど普段から十分に意識しておくことが大切だ。それぞれの自治体がまとめた「ハザードマップ」もしっかりと確認しておきたい。

最終更新日:2018年08月31日

キーワードを入力してください

キーワードから探す


本文はここまでです このページの先頭へ

Yahoo!不動産 おうちマガジンとは?

不動産にまつわるマジメな記事からおもしろ記事まで、家さがしが楽しくなる情報をお届け!新しい暮らしのヒントが満載のマガジンです。