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いらなくなった土地は市町村に寄付できる?

2015年10月19日

平野雅之

いらなくなった土地は市町村に寄付できる?

放置されたままの土地も多いが……

いらなくなった土地は市町村に寄付できる?

これからは空き家だけでなく、その敷地の問題も大きくなる

市町村が土地の寄付を受けるケースは限定的

空き家問題が年々深刻になっているが、空き家だけでなく更地のまま放置された土地も多い。そのままずっと使わないのなら安く売ってしまえばよいが、中にはどんなに安くしても、たとえタダでも引き取り手のない土地もあるだろう。都市部に多い「不適合接道」(再建築不可)の土地では、売却しても古家の解体費用すらまかなえないこともある。そのような土地でも、所有しているかぎりは固定資産税などの支払い義務から逃れることはできない。

それでは、所有者自身で有効利用することができず、他人に貸すこともできず、売却もままならない「いらなくなった土地」は市町村に寄付することができるのだろうか。答えを先にいえば「NO」である。防災広場や地域の公園などに活用できるのであれば市町村が引き取ってくれることもあるが、何ら利用目的もないままで寄付を受け付けることはなく、市町村側に寄付を受け入れる義務もないのだ。

市町村が土地の寄付を受ければ、固定資産税や都市計画税の税収がなくなるだけでなく、その土地の管理をしなければならない。当然ながらその人件費や管理費用もかかり、よくありがちな表現をすれば「血税が投入される」ことになる。「地域の環境を守る」「開発を抑制する」「文化遺産として保護すべき」というような価値が認められる広大な土地を寄付するのであれば話は別だが、個人がいらないような小さな土地は市町村にとってもいらない土地でしかなく、財政面でも難しい。

長崎市では「老朽危険空き家対策事業」として、対象区域内の土地と建物を市に寄付または無償譲渡し、市が所有者の代わりに解体をする制度がある。これは地域の防災、防犯のために公共空間を確保するという目的のためだ。ただし、その前提として土地の日常的な維持管理を地域の住民が行うこととしている。

また、東京都荒川区では「不燃化特区」に指定された地区を対象に、老朽木造住宅(危険と判定された住宅)を区に寄付してもらい、区が解体工事を実施する制度が導入されている。これは災害に強い街づくりの推進を目的としたものだが、この場合でも寄付の対象となるのは建物に限られ、土地の権利は所有者に残る。土地は区が無償で借りたうえで防災対策などに活用するのだ。

それ以外にも土地の寄付を制度化している例がいくつかあるかもしれないが、いずれにしてもハードルは高く、いらなくなったからといって土地を市町村に寄付することは困難だろう。市町村だけでなく、国への寄付もほとんど無理である。何らかの行政目的で使える土地であれば各省庁が寄付を受けることもあるが、そうでない土地の寄付は原則として抑制することがずいぶん昔に閣議決定されている。

人口減少が進めば「安くても売れない」土地が次第に増えていく


いらなくなった土地の所有権を放棄できないのか

寄付が難しいのであれば、その所有権を放棄すればよいのではないかと思うかもしれない。だが、それも現実的にはほとんど困難だ。相続のタイミングで「相続人の全員」が相続放棄をすれば、いらない土地の所有権を手放すことはできるものの、いらない土地だけでなく他の相続財産もすべて放棄しなければならない。また、相続放棄によって固定資産税などは免除されるが、その後も、かなりの費用をかけて裁判所へ「相続財産管理人の選任」を申し立て、管理責任が引き継がれるまでは、その土地の管理義務を負う。

「所有者が存在しない不動産は国庫に帰属する」という旨が民法に定められているが、それが認められる状態は限定的であり、相続放棄以外の場面で土地の所有権を放棄する手続きの規定もないのだ。

国や市町村へ寄付することもできない、所有権を放棄することもできないなら、隣人など個人への寄付、町内会や自治会への寄付なども考えられるが、それが可能かどうかは相手次第(町内会などは不動産の所有者となることのできる地縁団体として認可されているかどうかも問題)であって何ともいえない。

いずれにしても、土地を所有すればその権利が強いだけでなく、適正に使用、管理する義務も強いのだ。原則として売却しないかぎり、その義務から逃れることはできない。将来的なこともよく考えておきたいものである。

最終更新日:2015年10月19日


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