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地域によってこんなに違う「新築住宅市場」の姿

2016年05月20日

平野雅之

地域によってこんなに違う「新築住宅市場」の姿

住宅着工戸数の中身をみると……

地域によってこんなに違う「新築住宅市場」の姿

空き家問題が深刻になる中でも毎年100万戸前後の新築住宅が建てられている

「持家vs分譲」着工戸数の構成割合は都道府県ごとに大きく異なる

性能面ではまだ課題も多い日本の住宅だが、数のうえでは既に昭和43年時点で充足し、近年は空き家の増加が大きな社会問題となっている。国は「既存住宅流通市場の重視」へと政策を転換しつつあるが、それでも1年間に100万戸前後の水準で新築住宅が建てられ続けているのが現状だ。経済政策の要として住宅市場が取り扱われる側面も依然として強い。

しかし、その内訳を都道府県別にみるとかなり様相は異なるようだ。国土交通省がまとめた「建築着工統計調査報告(平成27年度計)」をもとに、いくつかのポイントをみていくことにしよう。

まず都道府県別の住宅着工戸数だが、東京都が141,862戸で突出し、次いで神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県といった順になっている。それに対して最も少ない鳥取県は2,526戸、高知県は2,722戸にとどまる。それ以外に秋田県、福井県、山梨県、和歌山県、島根県、徳島県が5,000戸を下回る水準だ。

これを表したのが下のグラフだが、全国合計で5,832戸あった「給与住宅」(社宅や官舎など)は記載を省略した(上記の数字には含まれている)。

「建築着工統計調査報告(平成27年度計)」(国土交通省)をもとに作成

 
しかし、人口や世帯数が多ければ住宅着工も必然的に多くなるのであり、それぞれの合計数だけを比べてみても中身の違いが分かりにくい。そこで、都道府県ごとに持家、貸家、分譲マンション、分譲一戸建て(建売住宅等)の構成割合を表したのが次のグラフである。

「建築着工統計調査報告(平成27年度計)」(国土交通省)をもとに作成

 
東京都における持家着工の割合は12%弱にとどまり、秋田県や山梨県の5分の1以下の水準でしかない。その代わりに分譲マンション着工の割合は東京都が最も高く、東京都全体の約28%を占める。また、埼玉県は分譲一戸建ての割合が全国で最も高い一方で、分譲マンションの割合は意外と低い印象だ。

東北地方や北陸地方などには、分譲マンションの割合が極めて低い県も目立つ。秋田県と和歌山県は、平成27年度中における分譲マンションの着工がゼロだった。

持家と分譲物件の構成割合は都道府県によってかなり異なるが、どこも割合が高いのは貸家だ。これにはアパートだけでなく、一戸建て貸家や賃貸マンションも含まれる。平成27年度は相続対策による着工も多かっただろうが、今後の空き家問題への影響も懸念されるだろう。

世帯数と比べた住宅着工戸数の割合も都道府県ごとに大きな違いが 

それでは、都道府県ごとの住宅着工戸数を世帯数で割るとどうなるだろうか。総務省がまとめた平成27年1月1日時点の「住民基本台帳人口・世帯数」をもとに算出したのが下のグラフだ。

「建築着工統計調査報告(平成27年度計)」(国土交通省)および「住民基本台帳人口・世帯数」(総務省)をもとに作成

全国平均は1.63%だが、宮城県、福島県、東京都、沖縄県は2%を超えている。宮城県と福島県は東日本大震災の復興需要に伴うものだろう。最も割合が高い沖縄県はリゾート需要も考えられるだろうが、上でみたとおり分譲マンションはそれほど多くない。その一方で高知県は0.77%、秋田県は0.89%など、全国平均の半分程度の水準である。

世帯数に対して2%の住宅着工戸数の場合でも、(世帯数が変わらないとして)単純に考えれば50年ですべての住宅が建て替えられる程度のペースであり、あまり大きな問題はないように感じられるかもしれない。

しかし、新築されるのは古くなった住宅の建て替えばかりではない。これまで住宅が存在しなかった土地に数百戸のマンションが建てられたり、1戸の邸宅だった敷地をいくつもの区画に分けて建売住宅が建てられたりして、そのぶん空き家の数が積み上がっていくのだ。人口減少が進む地域では、分譲物件の着工が少なくても空き家問題がさらに深刻化する可能性は高いだろう。

今後は新築住宅市場が徐々に縮小していくものと考えられている。そのぶん既存住宅(中古住宅)市場の重要性が増すわけだが、いずれにしても住宅市場の問題を考えるときには、それぞれの地域の特性を十分に加味することが必要だ。さらに、住宅に関するインターネット上のさまざまな情報は、どうしても「東京視点」に偏りがちだが、東京都の住宅市場が全国の中では特殊な内容であることも考えておかなければならない。


参考サイト 

最終更新日:2018年08月30日

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