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なかなか普及しない「住宅性能表示制度」に意外なメリット?

2016年06月01日

平野雅之

なかなか普及しない「住宅性能表示制度」に意外なメリット?

事業者が感じた制度のメリットとは

なかなか普及しない「住宅性能表示制度」に意外なメリット?

分譲マンションで利用割合が高い住宅性能表示制度だが、一戸建て住宅では普及が進んでいない

住宅性能表示制度の利用割合は新築住宅全体の2割程度

統一された表示ルールに基づく性能の評価によって、住宅を比較することや一定性能の実現を図ることなどを目的として2000年10月に運用が始まった「住宅性能表示制度」だが、その普及はあまり進んでいないようだ。設計段階で評価をする「設計住宅性能評価」と、工事中における一定の検査を受けたうえで完成後に評価をする「建設住宅性能評価」の2種類があるものの、その利用割合は新築住宅全体の2割前後で推移している。

ただし、住宅の種別によって大きな違いがあり、国土交通省がまとめた「住宅性能表示制度の利用状況」の資料によれば、2013年度において「持家共同住宅(分譲マンション)」の82.4%、大手ハウスメーカーが多いと考えられる「プレハブ一戸建て住宅」の78.7%が住宅性能表示制度を利用していた。

それに対して、持家住宅の比率が高い「在来木造一戸建て住宅」における利用割合は10.7%に過ぎず、賃貸アパートが大半を占める在来木造、ツーバイフォー、プレハブの共同住宅はいずれも4%未満の利用割合にとどまっている。

とくに持家住宅で普及が進まない原因として「住宅性能表示制度のメリットが分からない、見えづらい」といった意見が挙げられることも多い。分譲マンションや建売住宅などであれば、住宅性能評価書を取得することが一つのセールス材料にもなるが、これからずっと住むつもりで新築する持家住宅では消費者にとってその必要性すら感じられないといったところだろうか。

住宅性能表示制度に基づく「住宅性能評価書」を取得するための費用が分かりづらいことも、普及が進まない一つの要因だろう。住宅の規模や評価を実施する「登録住宅性能評価機関」によっても金額は異なるが、すべての項目において建築基準法が定める最低ランク(等級1)で評価を受けようとすれば、その申請にかかる費用は「設計」と「建設」の両方を合わせて20万円以内に収まるケースが多い。

ところが、わざわざ住宅性能評価を受けるのに「オール1」の評価では心もとないとして、いずれかの性能を等級2あるいは等級3などのレベルに引き上げようとすることも多いのだ。そうすると性能強化に伴う費用だけにとどまらず、工事を請け負う工務店が必要な書類作成を外注することなどにより追加費用がかさんでいく。

その結果として、建築費用に数十万円あるいは百万円を超えるような金額が上乗せされることになるのだが、ネット上には「性能評価書をもらう"だけ"で100万円取られた」のような書き込みが散見される。それを目にした人が住宅性能表示制度の利用をためらうケースもありそうだ。

住宅性能表示制度の利用で、住宅品質が向上する!?

一般消費者からは住宅性能表示制度のメリットが分かりづらいのに対して、住宅を建築する事業者サイドからみた場合はどうなるだろうか。一般社団法人住宅性能評価・表示協会が2014年3月に公表した「住宅性能表示制度の利用状況に関する事業者アンケート調査結果報告書」を確認してみることにしよう。

これは既に制度(住宅性能表示制度または長期優良住宅認定制度)を利用したことのある住宅関連事業者を対象に「制度を利用することによって得られたメリット」を聞いたものだ。アンケート調査の実施期間は2013年9月から2014年2月で、回収数が185件と少ないものの、おおよその傾向はつかめそうである。

回答者のうち71.6%が「工務店」であり、主に手掛ける住宅構造は「木造(在来構法)」が71.9%、年間建設戸数(一戸建て住宅)は「50戸未満」が90.9%を占めるため、その多くが「地元の工務店」といったところだろう。

このアンケート調査の中で注目したいのは「住宅性能評価を受けてよかったこと」とする項目である。その結果をまとめたのが下のグラフだ。

一般社団法人住宅性能評価・表示協会「住宅性能表示制度の利用状況に関する事業者アンケート調査結果報告書」をもとに作成


これは回答者のうち、住宅性能表示制度を利用したことがある89事業者(他は長期優良住宅認定制度のみの利用)に対する設問だが、最も多いのが「お客様(お施主様)に喜んでもらった」と並んで「制度対応の仕様変更をすることで住宅の質が向上した」だった。

さらに「設計担当者の技術が向上した」「現場検査により現場管理が徹底されたことで住宅の品質が向上した」も高い割合となっている。つまり、コストアップを伴う性能強化を意図しなくても、住宅性能表示制度を利用することによって多くの工務店で住宅品質の向上が図られているのだ。

見方を変えれば、住宅性能表示制度を利用していない大半の工務店では、住宅品質の向上や技量向上の機会を得る機会もないまま住宅を造り続けているということになりはしないだろうか。

もちろん、工務店のレベルはさまざまであり、住宅性能表示制度を利用していなくても高い技量をもつところはあるだろう。だが、住宅性能表示制度によって少しでも品質が向上した住宅を得られる可能性があるのなら、消費者自らが制度利用を求めることも考えたいものである。

最終更新日:2018年08月30日

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