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「既存住宅売買瑕疵保険」の利用がこれから増える!?

2016年10月14日

平野雅之

「既存住宅売買瑕疵保険」の利用がこれから増える!?

知っておきたい瑕疵保険のあらまし

「既存住宅売買瑕疵保険」の利用がこれから増える!?

既存住宅(中古住宅)の場合は売主による保証が手薄?

「既存住宅売買瑕疵保険」には2つのタイプがある

「既存住宅売買瑕疵保険」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは既存住宅(中古住宅)を購入して、万一、瑕疵(=かし、隠れた欠陥など)が見つかった場合に備えるための保険制度だ。

新築住宅では「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、売主や請負人が引き渡し後10年間にわたり瑕疵担保責任(保証責任)を負うことが義務付けられている。また、事業者の倒産などがあった場合でも、その責任が履行されるような仕組みが整えられた。

ところが、個人が売主となることの多い既存住宅では、隠れた欠陥などに対する瑕疵担保責任が引き渡し後1か月から3か月程度に設定されることが多く、建物が古い場合には「瑕疵担保責任を負わない」とする特約が付けられることもある。宅地建物取引業者が売主となる既存住宅(買取再販物件)でも、瑕疵担保責任は引き渡し後2年間(宅地建物取引業法による最低期間)とされることが大半だろう。

この保証制度の違いが既存住宅の流通を阻害するひとつの要因とされており、これをカバーする仕組みとして近年、整備が進められているのが「既存住宅売買瑕疵保険」である。一定の建物検査(インスペクション)を受けた建物に対して保証をする保険だが、「宅建業者販売タイプ」と「個人間売買タイプ」の2種類がある。

宅建業者販売タイプ
「宅建業者販売タイプ」は既存住宅を買い取った宅地建物取引業者が一般消費者へ再販するときのものであり、保険に加入するのはその宅地建物取引業者だ。保険期間は5年間または2年間、保険金額(上限)は500万円または1,000万円で、保険契約によって定められる。

個人間売買タイプ
それに対して「個人間売買タイプ」は、既存住宅流通市場の大半を占める「個人が売主」の場合のものであり、保険期間が5年間または1年間となる点が「宅建業者販売タイプ」と異なる。また、「個人間売買タイプ」における保険加入者は売主ではなく、申込みを受けた検査機関が保険に加入したうえで買主への保証をする点が大きな特徴だ。

なお、保険の対象範囲はどちらも「構造耐力上主要な部分」「雨水の浸入を防止する部分」などであり、新築住宅における10年間の瑕疵担保責任範囲とほぼ同じとなっているが、特約によって一定の設備などを対象に加えることも可能である(保険会社により違いがある)。



既存住宅流通市場の中で普及が期待される「既存住宅売買瑕疵保険」だが、「宅建業者販売タイプ」の利用が増えているのに対して、「個人間売買タイプ」は伸び悩んでいるという。いったいどのような状況なのだろうか。その申込件数の推移をみてみよう。

国土交通省「第4回 住宅瑕疵担保履行制度の新たな展開に向けた研究委員会 説明資料」をもとに作成


売主が個人の場合には加入率が1%に満たない?

「既存住宅売買瑕疵保険」の制度が実質的にスタートした2010年度の申込件数は「宅建業者販売タイプ」が2,014件、「個人間売買タイプ」が258件だった。その後、2011年度は国土交通省による補助事業(既存住宅流通等活性化事業)があった影響で申込件数が増えたものの、それが終わった翌2012年度は急減した。だが、2013年度以降は増加傾向が続き、2015年度の申込件数は「宅建業者販売タイプ」が7,975件、「個人間売買タイプ」が1,306件となっている。

ちなみに、2015年度の申込件数を物件種別でみると、戸建住宅が4,018件、共同住宅(マンションなど)が5,263件だ。

また、申込件数とは少しタイムラグが生じるが、「保険証券発行実績(保険契約件数)」でみると、2015年度は「宅建業者販売タイプ」が6,745件、「個人間売買タイプ」が1,078件だった。「個人間売買タイプ」の契約件数は2011年以来、4年ぶりに1,000件を超えている。

この数字だけをみるとどちらも順調に伸びている印象を受けるかもしれないが、年間15万戸から17万戸程度と推定される既存住宅流通戸数に対する契約率は5%前後にすぎない。さらに、既存住宅の大半を占める「売主が個人」の物件については、おそらく1%にも満たない水準だろう。また、申込件数では、2015年度の「個人間売買タイプ」が前年度を下回っているのだ。

「既存住宅売買瑕疵保険」の普及を促すため、2013年4月から住宅ローン控除をはじめとした各種の住宅税制における適用要件(一定の築年数を超えた既存住宅の場合)に「既存住宅売買瑕疵保険への加入」が加えられた。さらに、2014年4月の消費税率引き上げに伴い導入された「すまい給付金」において「既存住宅売買瑕疵保険への加入」がひとつの要件となったことが、「宅建業者販売タイプ」の伸びを後押ししているという。だが、個人が売主の場合には「すまい給付金」そのものが適用されない。

保険加入率を2025年に20%まで引き上げることが目標とされた

宅地建物取引業者が売主となる既存住宅では、もともと最低2年間の瑕疵担保責任が義務付けられていたわけであり、「既存住宅売買瑕疵保険」が「万一の場合に備えた業者のための保険(業者のリスク回避)」として使われている側面もあるだろう。保険への加入をひとつの販促材料とすることも考えられる。それに対し「個人間売買タイプ」が伸び悩む原因として、まだ売主個人の認知や理解が進んでいない点が挙げられるようだ。

だが、最近では買主から保険への加入を求めるケースも聞かれる。買主側のニーズが高まり、仲介業者の営業担当者も売主へ積極的なアピールをするようになれば、「個人間売買タイプ」の普及も次第に進んでいくだろう。

2018年に施行される予定の改正宅地建物取引業法では、既存住宅の売買にあたり建物検査(インスペクション)のあっせんと、それを実施した場合の重要事項説明が業者に義務付けられる。それと同時に、インスペクションの活用により「既存住宅売買瑕疵保険」への加入を促進することが計画されているのである。現状で5%程度にとどまる保険加入率を、2025年に20%まで引き上げるのが国の目標だ。

いずれにしても、これから既存住宅(中古マンション、中古一戸建て住宅)を買おうとするときには、仲介業者や売主業者から「既存住宅売買瑕疵保険」の説明を受ける機会が次第に増えていくはずである。どのような内容なのか(保険期間や保険金の上限額)、保証範囲はどこまでか、保険加入における費用負担はどうなるのかなど、しっかりと話を聞くようにしたい。

参考サイト

最終更新日:2018年08月30日

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