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「サンズイ地名は危険」のウソ、ホント

2017年06月01日

中川 寛子

「サンズイ地名は危険」のウソ、ホント

水関連の地名が危険ってホント?

「サンズイ地名は危険」のウソ、ホント

洗足(目黒区)の地名の由来は、千束池とも呼ばれた、現在は大田区内にある大池によるとされる

サンズイは水辺に近い、低い土地に付けられた地名?

不忍池のほとりだから、池之端。非常に明快な由来である


サンズイの付く地名は水に関連があり、地震、水害、土砂崩壊などの自然災害に弱いと言われる。具体的には「池」「沼」「浜」「沢」「津」「洲」「浦」「江」「深」「浮」など。実際、東京堂出版の「東京の地名由来辞典」(竹内誠編)によると、池之端(台東区)は不忍池のほとりにあることから名付けられているし、沼袋(中野区)は低湿地で沼地があったことからそれが地名になったとされる。それ以外にも水にちなんだ地名とされるものは多々あるが、注意しなくてはいけないのは、同じ地名を冠せられている地域が全部危険というわけではないという点。

 

たとえば、池袋(豊島区)の由来には諸説があり、そのうちのひとつには多くの池があったからというものがある。前述の地名辞典によると、徐々に埋め立てられてはいたものの、江戸時代の文化年間(1804年~1818年)には300余坪(約990平方メートル)規模の池があったとされる。


池袋に池があったことは確かだとしても、実際の位置については諸説ある


だが、それがどこかについてはやはり諸説があり、明確には分かっていない。加えて、現在、池袋という地名は非常に広い範囲に及んでいる。池袋だけでも四丁目まであり、東池袋、西池袋、南池袋に上池袋、池袋本町まで含めると、その面積4.7平方キロメートル。豊島区は全体で13.01平方キロメートルだから、豊島区のうちの3分の1強は池にちなんだ地名が冠されていることになる。 


地名はもともと字(あざ)などと呼ばれる狭い範囲を示す地域のために付けられたものが多いといわれる。だが、その後、度々の町名変更で範囲が広がり、池袋のように広大な地域を指すことに。その経緯を考えると、池という字が使われている地域でも、その地域全部が水に関係した低地であったり、危険な土地であったりというわけではないことがお分かりいただけるだろう。

土地の高低で見ると池袋駅周辺は高台

加えて土地の高低からはおもしろいことが分かる。下図は土地の高低を表す無料ソフト「東京地形地図」をグーグルアースの上に重ね、土地の高低を色で分かるようにしたもの。それで見ると、池袋駅とその周辺は高台にあり、その外側に、地図では緑色が濃い、低くなった土地があることが分かる。つまり、池袋は低い土地に囲まれた高台なのである。


池袋駅を中心に、高低差を見たもの。駅のあるエリアを袋状に囲むように低地が広がっていることが分かる。図はグーグルアースに東京地形地図を重ねて作成。※「東京地形地図」は、国土地理院発行の基盤地図情報(承認番号 平21業使、第294号)を使用したもの

袋という地名には川などによって囲まれた、袋状の土地を指すという説もある。そこから考えると、池袋は池によって袋状に囲まれた土地という意味かもしれないのである。前述の地名辞典では「村の東北地域に窪地に囲まれた水田があり、地形が袋状になっていたことに由来する」という説も紹介されており、土地の高低から考えるとこの説のほうが正しいのかもしれない。 


つまり、サンズイが付いているからといって、その地名がついた全域が危険というわけではなく、場合によってはサンズイそのものもあまり意味がないこともある。サンズイは危険と全面的に否定するのではなく、地名の由来と実際のその土地の状況を調べてから考えたほうが良いというわけだ。

災害とは関係なさそうな地名が実は危険ということも

都内で桜がつく地名の中には大正、昭和になってから名付けられた、災害とは関係ないと思われる例も多い


逆に災害とは無縁そうな、美しい地名が実は危険ということもある。多いのは植物にちなんだ地名。例えば梅(うめ)は「埋める」に通ずるとされ、土砂崩れが起きた場所である可能性がある。桜(さくら)は「狭(音読みでは“さ”と読むことも)」と「刳る(くる。えぐれると同意)」が合体、転訛(てんか。読み方が変化するという意味)した名称で、山間部の雨などで崩れやすい土地を指すと言われる。その他、荻(おぎ)、萩(はぎ)、柿(かき)、栗(くり)なども危険を示唆する場合がある。


蛇のような、イメージの悪い地名は後世になって変更されることがあるが、交差点名、緑道名などとして残っていることも多く、過去の地名を知る手がかりになる


同様に動物にちなむように思える地名にも危険がある。有名なのは「蛇」という字を含む地名だろう。蛇が水中を泳ぐ姿、地上をくねるように進む姿が地滑りや崖崩れなどをイメージさせるからだろうか、土砂崩壊などがあった土地に名付けられていることが多いのだ。たとえば目黒区には現在、暗渠(あんきょ)となっている蛇崩川(じゃくずれがわ)という河川があったが、ここには大水で崖が崩れ、そこから大蛇が出てきたという伝説が残されている。


一般にはめでたいとされる鶴だが、「つる」の付く地名は川の流れが大きく蛇行している地域に付けられていることが多く、豪雨などの際には氾濫を起こしやすいとも。実際、横浜市を流れる鶴見川も長年氾濫を繰り返す川だった


それ以外にも猿(さる)は「去る」「曝る(さる)」または古語の「礫(ざれ。石ころの意)」から来たとされ、長年外気に曝されて(さらされて)崩れやすくなった場所を指すと言われるし、亀(かめ)は水が土や岩を激しく「噛む」、つまり噛むように浸食した状態、浸食されやすい土地とされる。


これ以外にも危険とは思えない地名が実は危険だったり、あるいは逆に無縁だったりすることがある。同じ地名でも歴史的経緯、実際の地形などで危険度は異なるので、気になる時には個別に調べてみると良いだろう。その際には昔の地名が分かる古い地図を見る、地名辞典や郷土史を調べる、地元の自治体が作っている郷土史博物館などの学芸員に聞くなどの手がある。


参考サイト

最終更新日:2017年06月01日

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