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file.002 鳥取で古書店をDIYする暮らし

2015年02月19日

夫婦漫才

file.002 鳥取で古書店をDIYする暮らし

【連載】地方の若者たちの暮らし

file.002 鳥取で古書店をDIYする暮らし

古書店「汽水空港」となる予定の元倉庫物件の前にたたずむ森さん。奥の敷地も込みで家賃5千円。

鳥取で古書店「汽水空港」をセルフビルドで準備中

最近なにかと注目の「若者の地方暮らし」。住宅事情を中心にその実態をリポートしていく。2回目は鳥取県湯梨浜町の東郷池ほとりにある倉庫を改装し、本屋をこれから始めようとしている森哲也さん。福岡生まれ、千葉育ち。現在、辿り着いた鳥取で古書店「汽水空港」を準備中。本屋をやりたいと言い出してから早7年。農業の修行したり、小屋を建て始めたり、いよいよ今年こそは本格始動となるか?

パンク少年、農業をおぼえて、本屋を目指す

「本屋っぽくなるためには、ヒゲかなーと思って」と、しばらくひげを試しているそう。


千葉の大学に籍は置きつつも、興味はもっぱらサブカルやパンクロックにあった20歳のころ、下北沢でとある本屋と出会い、通い詰める。そこでいろいろな本や人や考えと出会い、農業と兼業するかたちの「半農半X(エックス)」というスタイルで農業をしつつ本屋をやろうと決め、大学卒業後に埼玉の有機農業の農業研修や農業ボランティアに参加。その最終日の翌日、今日から土地探しだという日に東日本大震災が起こる。ゆっくりと自分に合う土地探しをしようと考えていた当初の予定を大幅に変更し、ひとまず京都に落ち着く。その後、友人に誘われて鳥取へ。今の物件に出会う。森さんは、「京都に住んでみたら予想以上に人気の土地で、理想的だけど全てが高い。お金持ちの住む場所だと思った。」と京都時代を振り返る。

【本屋と住まいの完成予定間取り】大工の仕事もDIYも未経験だけれども、自分で作るしかないと思っていた。

「お金を借りて開業するということは、簡単そうに思えるけれど、実は不自由になることだと思う。クラウドファンディングもそう。だから時間がかかると分っていたけれど、自分で建築関係の仕事に就いて勉強しつつ稼いで、建材を購入して自分の力で作っていくしか貧乏人にはないと思っていた。」森さんは、DIY未経験ながら家賃五千円で借りた元倉庫の物件に自ら水回りを施工して、まずは暮らせるようにした。

左が「みなに笑われた」と語る人生初DIYの本棚。右が次に作ったトイレスペース。格段の進歩。


その後、裏庭に生活棟をセルフビルドしてから生活拠点をそちらに移し、元倉庫のこの建物を古本屋「汽水空港」として稼働させる計画を立てた。

倉庫の奥、ヒサシ部分が大きく突き出した屋根のある屋外作業場だった所に壁を設けて調理場と洗い場に。人生初のセルフビルド。

現在は、元倉庫物件に生活道具や寝具、大工道具、買い集めている古本が共存する状態となっている。机の上に置かれている今読んでいる本は全て建築、小屋、セルフビルド関連の書籍だった。

森さんが座っているとび箱。以前はこれに古本を入れて出張書店として出店をしていた。


【収入】昨年12月で全てのバイトを辞める。

当初、昨年の12月末までに全てのDIY作業が終了し、生活棟に生活の場を移し、本屋さんが開店する予定だったため、それまで働いていた左官屋さんでのアルバイトは12月末までで退社した。しかし、予定は大幅に遅れ、2月初旬現在も、生活棟は未完成で製作中である。そのため、現在も朝から晩まで作業中だそう。収入はもちろんない。「左官屋さんでのアルバイト期間中に知り合った宮大工の方が作業場所を貸してくれるので、最近ずっとそこで作業しています。技術は人のを見て覚える感じですね。技術書なんかもあるんですけど、何書いてるか分らないので(笑)。」

元倉庫物件を裏側から。セルフビルドだとは思えない土地整備&基礎。ここにル・コルビジェのカップマルタンの休暇小屋のような生活棟を建てる計画をうれしそうに説明してくれる。


敷地図面。東郷池に面した「汽水空港」、その裏に建てる生活棟、その奥にお風呂を借りる大家さん宅がある。

元倉庫で書店予定の物件の完成予想図と、住居棟完成予想図。


【支出】制作費用は総額で40万円ほど

森さんに、ここまででかけた費用を聞いた。おや、待てよ。お金がかかっていなさすぎではないか? 本当だったら、もっともっとかかってておかしくない。少なくとも倍はかかるはずでしょうと思いいたる。でも、森さんは、「アルバイト先の左官屋さんや宮大工の皆さんから、基礎工事や整地用の砂や木材、土壁用の土ももらいました。いまのところ、大きな買い物は、水道工事をプロに頼んだ21万円くらいで、ほかはほとんどかかっていません。これからいろいろ仕上げにかかるだろうけれど、総額40万円で収まるはず。」というのだ。小屋一戸建てて、倉庫物件を改修してトイレと水回りの工事を含めての値段と考えると、驚くほど安い。「自分で試行錯誤して活動していたら、周囲の人々が面白がってタダでくれたり、安くしてくれたり、手伝ってくれたり、教えてくれたりしたんですよね。動くって大事ですね。」と語る。

【決意】150万円を親から借りた。そして4月1日をオープン日に決める。

森さん、2月2日のツイート

最近、森さんはご両親から150万円を借入した。このままでは、ジリ貧になってまたアルバイトをしてお店のオープンが遅くなり、の繰返しとなりかねないので、もの凄く考えた結果だということ。これまでの過程で大工の仕事のトレーニングも十分積み、重要な事項はこれから先にも山積みだろうと思うので、森さんの成長のためにもこの話は英断だと感じた。そして、先延ばしになっていたオープン日は、来る4月1日に決定したという。

大家さんの優しさによって経費も随分少なくて住んでいる。


【仕事】コーヒーを飲む練習をしている。

森さんの一日のスケジュールを聞くと、本当に朝から晩までずっと作業をしている。「本といえば、コーヒーでしょ? 完全にイメージですけど。汽水空港がオープンしたらカウンターで東郷池の方を見ながらコーヒーも飲める店にしたくって、ブラックでおいしいコーヒーを入れて飲む練習もしてるんですよ。もともと、コーヒー牛乳くらいしか飲めなかったけど、最近ブラックもおいしく感じられるようになりました。味が分かってきた気がする。そのコーヒーの練習と、自分のブログ『小屋を建てる』を更新してる時以外は本当にずっと作業してる。ブログは心が折れないようにするためにも大事。あ、最近は日が延びて外で作業できる時間がのびてきたのが最近あったうれしいことかな(笑)。」

窓の外には道路と駐車場を挟んで東郷池がある。室内にお客さんがこもれる用のロフトスペースを追加する予定だと話す森さん。


【責任】正しく生きたいという彼の姿に好意が集まる

森さんと話しているときにしばしば出て来る「責任」という言葉。「人間としての責任」、「生きてくうえで自分自身への責任」、「本屋としての責任みたいなもの」「大事なのはロマンと責任」などなど。彼は決して失敗したときのことを考えての「責任」について話をしているのではなく、自分が生きる上で自分が考える「より正しい姿」に向かって生きることこそを「責任」と捉えて生きているのだな、ということを強く感じた。そんな森さんの姿勢が行動から伝わるからこそ好意が集まるのだろう。

(写真と文:森岡友樹、イラスト:上野麗子)

最終更新日:2018年08月30日

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