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file006 京都・五条ゲストハウススタッフの麻田さん

2015年03月27日

夫婦漫才

file006 京都・五条ゲストハウススタッフの麻田さん

【連載】地方の若者たちの暮らし。

file006 京都・五条ゲストハウススタッフの麻田さん

10年以上続く、京都を代表する人気ゲストハウス「五条ゲストハウス」で滞在する麻田さん

35歳までの人生設計しかしていなかった。

最近なにかと注目の「若者の地方暮らし」。住宅事情を中心にその実態をリポートしていく。5回目は京都市五条で暮らす麻田景太さん(35)。将来、自分のゲストハウスとカフェで、もてなす人になりたいという彼は、京都を代表する人気ゲストハウス五条ゲストハウスにてヘルパースタッフをしつつ、コーヒーも出しつつ滞在中。     

ゲストハウスとコーヒーと。35歳までの人生設計しかしていなかった。

日が入って暖かな店内。外国人のお客様が多く、英語でのコミュニケーションも多く聞こえてくる。

地元横須賀の高校を卒業し、2年間アメリカのシアトルのコミュニティカレッジへ留学。20歳の夏に帰国。関東の大学に進学し建築を学ぶ。大学卒業後、建築関連、IT系の職に携わる。勤め人を辞め、しばらく、友人のゲストハウスの立上げや、西日本をひとりで旅したりするうちに「人をもてなす」ことに興味があると気付き、地元の神奈川県の飲食業で働き始める。「本当はゲストハウスで働きたかったけど神奈川県には、まだそのころほとんどそういう宿がなくて、人をもてなす方法として料理もあるなと思っていたので、料理をはじめて。その後にコーヒーやバーの経験を積みつつ、お店の空き時間を借りて、小さなコーヒー屋さんを始めてたんですよ。」着々と技術や修行の場を手に入れ、ゲストハウスの準備が進んでいるのかと思いきや。「人生設計的には、ここまででもうお金があるていど貯まっている予定だったんです。で、貯めたお金でしばらくゲストハウス巡りとかと思ってたんですけど、性格上やっぱり全然たまってなくて(笑)。実はその人生設計自体、35歳までしかしてなかったんですけどもう35歳になっちゃったし、お金は貯まっていないけど、もうなんでもいいから行っちゃえと思って、去年お店も辞めて思い切って京都に来ました(笑)。」

「前提を疑ってみる」の延長線上で手に入れたいま。

一番最初に麻田さんの相談に乗ってくれたスタッフさん(左)。かかっているスケジュール表は英語表記だ。


「35歳になってみて40歳がひとつの区切りだなと思って、なんていうか40歳くらいまではまだ行動できるエネルギーみたいなのがあるだろうなぁと。なので、35歳から40歳までに行動していろいろな見識を広げたいし、常識を疑いたいし。そのためにいろんな人に会って話したい。そう考えたら大好きな家を出て、身ひとつでゲストハウスで暮らそうと思って。」彼は、以前まで自分は随分恵まれた環境の中で暮らしていたという。 「お気に入りの部屋、お気に入りの洋服、お気に入りの音楽、それらを当たり前のように消費していくことができる環境は自分がこうありたいなと思って作ったわけだけれど、当時はそれで問題はないと思ってた。本当にそうなのかなと疑うようになって。例えば小さいことなら『テレビって本当にいるのかな?』とか『年を重ねていろいろな仕事ができるようになるはずなのに、求人広告だと35歳以上は採りませんってなるのは何で?』とか。そう考えていくと、この心地よい家での今の暮らしを全部捨ててみるとどうだろうって思うようになったんですよ。どうしても地元の横須賀を中心にしてしか考えられなかった思考からも自由になれるかもと思って」ポジティブな取捨選択による放棄と新しい自由の獲得。「もともと、五条ゲストハウスのことは知っていて、以前から友人も良い宿だよってオススメしてくれていて、一度来る都合があってそのときスタッフさんにあいさつさせてもらって『次はこんなこと(自分なりのビジョンを)していきたいんだ』ってお話させてもらったらすごく僕の話に乗ってくれて、タイミングが合えばおいでよって言ってくれて。3~4カ月後にはこっちに来てましたね(笑)」着実に職能を手に入れていっている麻田さんに、35歳から40歳までに体験すべき次への機会が訪れたということだろう。

完全には切らないスイッチ。五条ゲストハウスで暮らしてみて

元料理店を改装して作られたゲストハウス。和洋がいい具合に混在して清潔感もあって落ち着ける。


間取り図初心者の麻田さんに描いてもらいました。「間違ってたらすいません(笑)」


「自分が望んだことだし当たり前なんだけど、プライベートな時間がないってことは大変かな(笑)。例えば僕がシフトに入っていなくてお休みでも、例えば寝起きでも、滞在者の皆にとっては僕はスタッフなんですよね。だから仕事のスイッチは完全にはオフにしないようにしてる。半分位はスイッチオン。きちんとしておかないとならない部分はある」「あとは、五条ゲストハウスに限らずですが、京都は寒い!!(笑)京都が寒い寒いって脅されて、こりゃいかんとすっごく良いダウン買って来たんだけど、それでも寒いの苦手だからつらい。 」

ゲストとの飲食も肥やし。いまの暮らしとこれからの暮らし

マグカップデザインの看板は麻田さんが以前自身でやっていたコーヒー店開業の折に友人が作ってくれたもの


麻田さんは五条ゲストハウスに来て、しばらくは完全にヘルパースタッフだったそうだが、「最近は週6日の五条ゲストハウス仕事も半分は有給にしてもらえてるんですよ。そして、ちょっと他にも覚えたいことがあるので、午後は近所のコーヒー屋さんでもバイトというか修行しているのでダブルワークみたいな感じです。それで、みんな肩書がないと何してる人かなかなか安心してくれないようなので(笑)、いま習得中のスキルを手に入れたら、まずは『バリスタ』を名乗ります。あくまでもゲストハウスでの経験がメインなので、そこはぶれないようにしています。最近は、ゲストハウスの方でも、少し予算や権限を割いてもらえるようになって、例えばゲストハウスに併設しているカフェでもコーヒーを入れさせてもらっているのですが、その豆のチョイスにも僕の意見を取り入れてもらったり、新メニューの開発にはずいぶん関わらせてもらっていたり、いろいろ提案もさせてもらってます」

洋服代は京都が寒いと皆に脅されて買ったダウンのローン。交際費は「自己投資」でもある。

「支出の面では、交際費が自分の中ではけっこう重要で、ゲストハウスに泊まりに来たゲストとお休みの日やシフト終わりに町に出掛けたりして、お酒を飲んだり交流する部分が大半です。ゲストハウスで見識を広めたいし、海外にももっと友達増やしていきたい。来年の夏にはスイスにちょっと滞在して周辺の国々にも周遊する予定なので、そのとき皆に再会して遊びたいんですよ。だから食費とも明確に分けてますね。」交際費が、自分に対しての投資の側面もあるということ。

あのころできなかったことを、今やっているのかもしれない。

お金を稼ぐことも大事だけど、年を重ねて、できることが増えていく方が大事なので、それを楽しんでいます。


麻田さんが2年間の留学滞在中に、シアトルは史上最長の91日間、連続降雨を記録したそうだ。文化の違いなどのよい部分もたくさん学んだそうだが、寒いことが苦手な麻田さんは寒さに負けた日も多かったという。「引きこもっている時間もほんとうに長かったですよ(笑)あのとき、できるはずだったけどできなかったこと、見識を広めたり違った価値観をたくさん知ることを、いま世界中から旅行者が訪れるゲストハウスのスタッフとしてやり直してる感じです」」と笑う。

彼はインタビュー中に人生のターニングポイントを3つ挙げた。シアトル留学、友人のゲストハウスの立上げ手伝いや西日本へのひとり旅、そして京都で暮らし始めたこと。その時々で重要な収穫も多かった分、取り残した部分も多く感じているのだろう。人生を波縫いばかりで進めるのではなく、要所要所で本返し縫いも半返し縫いも織り交ぜつつ、速度よりも自分が求める自分の強さを備える進め方を選んでいるのだろうなと感じた。彼が建てたゲストハウスに泊まりにいくのが楽しみだ。

(文と写真:森岡友樹、イラスト:上野麗子)


最終更新日:2018年08月31日

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