ページトップへ

Yahoo!不動産おうちマガジン は家探しのヒントが満載の情報サイトです!

>
>
file.007 神戸市シャッター通りに住む三宗さん夫婦

2015年03月31日

夫婦漫才

file.007 神戸市シャッター通りに住む三宗さん夫婦

【連載】地方の若者たちの暮らし

file.007 神戸市シャッター通りに住む三宗さん夫婦

あまりに興奮して写真を撮りまくっていたら辺りが暗くなり過ぎてしまい玄関灯での撮影に。

日曜日になるとお店もほとんどお休みで真っ暗

最近なにかと注目の「若者の地方暮らし」。住宅事情を中心にその実態をリポートしていく。7回目は兵庫県の神戸駅から徒歩10分の所にある商店街の中に住む三宗匠(みつむねたくみ)、麻衣さんご夫妻です。いわゆるシャッター通り商店街なのですが、訪れたのは店休日が多い日曜日のそれも雨の振る夕方だったため、かなりインパクトのある通りのビジュアルになっていますが、本当の見せ場はその奥にありました。

【環境】夕方4時。あまりに真っ暗な狭い通り。通っていいのかと少しちゅうちょするその奥にあるかっこよさ

※実際はもう少し暗いのですが分らなさ過ぎるので少し明るくしてあります。入口になぜかビニールカーテンが。


この商店街を、まっすぐ進んでいったところに、少しだけ、光が漏れて来る曲がり角を曲がってみると、明るい光が振り込んでいる一角が。

(上)※本当に実際はもう少し暗いのですが、分らなさ過ぎるので少し明るくしてあります。(下)横道に入る所にもビニールカーテンが。エアコン稼働時に閉鎖するためでしょうか?


奥に進んでみましょう。そこには映画のセットのような光景が。

このまま映画やドラマのセットに使えそうな雰囲気のあるカッコイイ空間が広がっています。

いま入って来た道を反対側から見てみましょう。

アーケードの横道まで屋根が伸びている。


三宗さんはこの横道を入ったところに、ご自身のお店「i'ma」とご自宅を構えています。

こちらがお店「i'ma」、イベント開催日や週末を中心に開店。この日はお休みでした。

店内も手作り感が溢れる素敵な内装。商店街に撮影に訪れたカメラ好きの人がふらりとお店の扉をあけ「ここはバーですか?」と聞くことも。


店内に散らばっている白い板は、ここにお店を移転させる以前、数十メートル先のところで営業してた時の店の壁を切り抜いて持って来たもの。そうそうたる面子のサインが。

作り込まれ、使い込まれたたキッチン。カッコイイ。

三宗さんが室内でコートを着ているのはお店の気密性があまり高くないから。

【経緯】どういういきさつでここに住み、お店を構えることになったのか。

 「もともと、ランドスケープや建築を学んでいた大学生のころ。大学の先輩がこの町や商店街を舞台にアートイベントをすることになり、それに関わっていくうちに、私自身も商店街の人と仲良くなっていって「『誰かこの辺りに入ってくれる人いないもんかなー?』と相談されたことをきっかけに、1つの空き店舗を2万円程度で借りて使い始めました。ちょうど学部の4年生くらいで、建たない図面や家のミニチュアモデルをずっと作り続けて……。いろいろ実際に作りたかったんでしょうね。 それから、最初に借りた店舗の場所から少し離れた場所に、後の自宅になる物件を借りました。バイトしてお金を貯めて、部材を買って修理してを繰返して、3年くらいかかって今の自宅は作りました。1万円そこそこで借りた部屋を、きれいにしても、家賃は1万円そこそこなわけですよ。それで地元の人たちとも仲良くなって、どんどん楽しくなってきました。

人間の幸せは不動産のガワ(外観)や間取りとは別の所にあるんじゃないかなぁと思うようになって、商店街の空き家を友人に紹介したり、改築の手伝いとかしてたんですよ。そうしたら友人や後輩やらが引っ越して来て、一時期は友人たちが10人位は住んでいました。僕も大学を卒業して大学院へ行くようになって、これらの活動を「住みコミュニケーションプロジェクト」と名付けてどうにか事業化できないかなぁと考えたりもしてたんですけど、住んでいたみんなも東京や他の地方に就職が決まって、商店街を出て行くことになって、住む人も最少で3人まで減ったんですよね。でもまた最近少し人が増えて、5人位になりました。僕も今は設計事務所で営業よりの仕事をしながら、週末は新しい場所の改装をしています」

以前入って来た人たち向けに改装した物件は余っていないのか聞いてみた。「いくつかはありますね。商店街の中にも」 ただ積極的には貸出し紹介をしていないようだ。というのも、過去に人が一気に増えた当時、新聞やら雑誌やらに掲載されてちょっと話題になったらしく、それを聞きつけて、三宗さんたちの紹介ではなく、独自に商店街の空き家に入居した若者が、家賃を払わないで出て行ってしまった過去があるようで、恐らくもう自分たちが嫌な思いをするのも地元の人たちが嫌な思いをするのも避けるため、お祭り騒ぎ的にならないよう、急速に人を増やさないようにしているようだ。直接は口に出さないが、地元の人たちへの優しさ、気遣いが随所に現れていた。話の中で、最近の楽しみを聞いた時のことだ。「出張などでどこかに行ったときに、お土産のお菓子を買ってくるのが好きなんです、市場の人たちにそれを渡したら喜んでくれて、慰安旅行のお土産をお返しでいただいたりするんですけど、そういうやり取りが好きなんですよ。」という三宗さん。どこまでも地域の人々に優しいし、地域の人々も三宗さんに優しい。 

【生活】自宅を見せてもらった。

お店「i'ma」のすぐ隣。いろいろなイメージがミックスされ、カッコいいデザインになっている。

玄関に入ったところから撮影した1階の手前部分。写っているのは奥さま。大好きな音楽の機材や楽器もたくさん。


マンガ、雑誌、本、テレビ、ギターには三宗さんの好みが反映されている。


洗面所がある1階奥。お店「i'ma」のキッチンとこの扉でつながっている。ここの天井が塩化ビニールの波板で冬とても寒いとのこと。


いろいろなところに収納できるよう工夫がされている。靴は壁の左右にゴムひもを貼ってそこに引っ掛けている。

おそらく、もともとは同じデザインの長屋だったと思われるものが時代を経て、まったく違う左右となって合体。

「お風呂がないので、自転車で5分くらい行ったところにある銭湯に通っています。11時くらいまでやってくれているので問題ないです。あともう一軒の離れたところの銭湯も1時までやってくれてますし。買い物は基本的には市場でするようにしています。全体的にスーパーで買うより少し高いような気もしますが、自分のテリトリーのなかでできるだけ生活を完結させられたらと考えています。市場に売っていないものだけスーパーに買い物に行っています」ちなみに、内装を作るのにはどれだけ費用が掛かるのかも伺ってみた。「今回、「i'ma」を自宅横に移転させたんですけど、お店を作るだけだったら1階2階合わせて50万円くらい。でももっとも大変なのが解体ですね。古い物件ばかりなので、天井を解体したら天井裏からものすごいイロイロが出てきてしまうので……。昔は解体までやっていましたが、今回、そこは業者さんにお任せしました。あと電気工事もお願いしました。それ以外は自分たちで手作りです。奥さんもファッション系の人で、手を動かしてイロイロ作るのが好きなんで、僕より動いて作ってくれます(笑)」 とのこと。 

会社員でもあるお2人分の生活経費。ガス、電気、水道、食費が安くてうらやましい。



【将来】「I'ma」が居間に。 

三宗さんご夫妻の結婚式はもちろん、商店街のすぐお隣、松尾稲荷神社で。式の町内練り歩きの先導をした、切腹ピストルズのみなさんと。

披露宴は商店街で。ハーモニカの愛好会の皆様が演奏。写真右で真っ白いツナギ姿でベールを被るのは新婦


正装での披露宴ということで、三宗夫妻らしく真っ白なツナギ着用。商店街も華やいだ。


三宗さんに今後の展望を伺ってみた。「一過性のにぎわいや突然の人口増加はあんまり望んでいなくて、僕らが生活しててたまに遊びに来てくれる人が増えて、ゆっくり仲間が増えていったらいいなぁと思っています。あとは銭湯があるのでそんなに問題じゃないですけど、例えばお風呂の家とか、あとは本の家とか、そんな専門の家というか部屋というかそんなのを作っていきたいですね」という話をしてたところに奥さまが戻ってこられて、三宗さんが奥さまに「どうなっていきたいかなー?」と質問を投げかける。「若い人が気軽に泊まれるようになったらええね。若い人が増えて欲しい。例えば近所のホルモン屋さんで友達や地元の人とご飯を食べて、「i'ma」がみんなの居間になってくつろいで、それから、それぞれ眠くなったら自分の家に帰る。そんな生活ができるようにしたい」なるほど、言葉は違えど、見てる方向が近いご夫婦だなと感じた。 

彼らの家は商店街のはじっこくらいまで。

現代人がいうところの「自宅」の概念が三宗さんたちの場合、本当の自宅をはみ出して、緩やかに商店街全体を覆う所まで広がっているのだ。これは決しておかしなことでも不思議なことでもない。たかだか20~30年位前までの多くの集落や商店街に住む人々の中には多かれ少なかれ似たような意識が存在していた。また、最近の地域活性系の活動のひとつに 集落や町全体をひとつの家に見立てたり、旅館に見立てたりを前提にする流れも生まれてきていて、見直されている考え方でもある。 同じように思える仲間たちがゆっくりと増え、多くの人が同じように町を自宅だと思うように生きるようになったなら、ここはまた今とは違う魅力の商店街になることだろう。楽しみだ。 

(写真と文:森岡友樹、イラスト:上野麗子)

最終更新日:2018年08月30日

キーワードを入力してください

キーワードから探す


本文はここまでです このページの先頭へ

Yahoo!不動産 おうちマガジンとは?

不動産にまつわるマジメな記事からおもしろ記事まで、家さがしが楽しくなる情報をお届け!新しい暮らしのヒントが満載のマガジンです。