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file.009 京都夫婦後編 5軒長屋に住む夫婦と一匹

2015年04月28日

夫婦漫才

file.009 京都夫婦後編 5軒長屋に住む夫婦と一匹

【連載】地方の若者たちの暮らし

file.009 京都夫婦後編 5軒長屋に住む夫婦と一匹

5軒長屋の一番端の部屋に住む2人。商店街の残る駅に程近く、暮らしやすそうな場所でした。

東京出身の庭師と布作家の夫婦

最近なにかと注目の「若者の地方暮らし」。住宅事情を中心にその実態をリポートしていく。8回目9回目は地方暮らしとして人気の京都市で暮らす、キャラクターの違う2組のご夫婦を前編後編として取り上げる。今回は「庭師になる!」と言い出した小林達彦さんとともに京都へ移り住んだ布作家の風子さん。その後、京都で結婚し仲良く暮らしている2人にインタビュー。

ある日「俺、庭師になろうと思うんだ。京都に着いて来てくれないか?」と言われる。

どうだったっけ、経緯を詳細に正確に思い出そうとしてくれている2人。

東京でそれぞれ別々に働き、別々に暮らしつつ御付き合いをしていたある日、達彦さんが改まった感じで風子さんに
(達彦さんの発言:以下、達 | 風子さんの発言:以下、風)
(達)「俺、京都で庭師になろうと思うんだ。だから着いて来て欲しい。」
と告げた。
(風)「着いて来て欲しいって言われたから着いて行くと思ってたけど、一応ね。笑 どういうつもりで来て欲しいのかな?と思って…。笑」
(達)「ちゃんと言えっていうフリをされたのでそこできちんと『結婚を前提に』とお願いさせてもらいました(笑)。」
そんなこんなで京都で庭師の修行をする採用内定をもらい、次は家を探さねばということで、比較的時間に余裕がある風子さんが1人で家探しを始めることに。

家探し

東京に住む風子さんはネットの賃貸情報サイトで京都の物件情報を探し出す。達彦さんの仕事は職人仕事なので朝が早い。必然的に住む地域は決まって来る。
(風)「そりゃぁ出町柳の方とか、恵文社の近くとか住みたいなぁといっしゅんだけ思ったけど、現実的に考えて朝の早起きをそんな無理させられないし。」
ということで憧れの地区は断念し、庭師の修行先に近い地域の不動産屋に連絡して、その地域で気になった物件を伝え、同程度の物件をいくつかみつくろってもらい京都まで内見へ。
(風)「2、3日京都に滞在できるようにして、その間に決めようと思って回り出したんです。条件は達彦さんの会社の近く、家賃は5万円か6万円位までっていう条件で。」
(達)「最初、風子さんはこの物件のことそんなに気に入ってなかったんですよね。」
(風)「そう、ここかぁ……って感じ。この物件の前に見たもう少し小さい、もう少し安い普通のアパートを見ててそれかなぁと思ってたんだけどね。最後、この物件だけは達彦さんもみられることになって一緒に見たら彼が気に入って。あ、そ、そう?って感じで(笑)。」
(達)「いや、長屋だし、小さいけど庭もあるし京都っぽいなぁと思って。」

布作家をする風子さんの機材や素材が置かれた部屋。狭めのアパートでなくこちらを選んで結果オーライ?


小さいけれど決め手の一つになった庭。趣味で手を入れられるのがうれしいのだろう。


(風)「あと、猫が飼えるってのも!」
(達)「猫が飼えるのは絶対条件じゃなかったけれども一応全部の物件に聞いてたよね。」
東京で暮らしていた際に拾った猫がかえずに悲しい思いをしたそうで(ちなみにその飼えなかった猫は達彦さんのご実家で溺愛されて育っているとのこと。)、その時の思いから
(風)「予定はなかったけど、いつか拾ったら絶対飼いたいと思ってたからいざという時のために猫が飼える物件が良かった。そしたらちょうど良く拾って、よし、みたいな。」

ちょうどよく拾われた猫「ふくちゃん」。袋や箱、空間的な部分を見つけると全てに突入しないと気が済まない。

この家は2人の諸条件のもと、わりと達彦さんが気に入ってはいるものの、どちらかの強いイニシアティブで決まったわけではないただの『妥当な家』なのかと思いきや、話はここで終わらない。
(達)「あるとき、僕の実家で2人で僕のパソコンの中に入ってる、まだ2人が出会う随分以前の若かりしころに僕が来た京都旅行の写真を見返していたら風子さんが突然「あれ?」って言うからその写真を見てみたら今の家がバツン!と写ってて(笑)。」
(風)「なんで家が写ってるん!? (笑)ってなって。」
(達)「忘れてたんですけど、この近辺に観光に来た時、この路地に入り込んでああ良い長屋だなぁと思いながら写真撮ってたんですよね、僕。」
根本的に達彦さんはこの町、この路地、この長屋が好みなのだろうとしか思えないエピソードだ。
(風)「不思議。運命の家なんですよ。」

「2006年3月24日 達彦さん撮影」京都へ引越しして来る随分以前、大学生の頃の旅中に撮影していた。


暮らし

家賃は5万円。
(風)「相場からしたら安いかな。でもそんなことよりとにかく寒い。京都自体も寒いけどこの部屋が熱くて寒い。最初の年の冬なんて「不幸だ!」とまで思うようになっちゃって。最初は電気ストーブの小さいのしかなくて、次の年の秋には石油ストーブ買って、ユニクロ行ってヒートテック買って 今年は防寒命でいこう!ってそろえていったよね。」
(達)「そうね、段々慣れてきたというか、対処ができてきたね。寒いけど。」
(達)「そう考えると東京とかは暖かいですよね。 実家のマンションだったら室内で白い息とか出るなんてそんな話あるかよって思ってたけど(笑)。」
(風)「私も東京にいる時は年明けまでコート着なかった。」
4月でこの物件で暮らし出して丸5年。ちょっとずつ手をかけられるようになってきて部屋での暮らしもどんどんよくなって来た。
(風)「今、お部屋のことブーム、DIYブームが来てる。この本棚も達彦さんが作ってくれたの。片方崩壊寸前だけど。パソコン机は私が作って。多分こういうの作るのは私の方が上手。」

(風)「2人で遊びに行くのは最近は四条に行くのにワンパターン化してるかも。京都って、私にとってはほとんどの場合一つの駅に一つの目的地って感じだからどうしても“なんでもある四条”に行く感じかな。だから、そう考えると京都では自転車は必須。」
(風)「京都の良い所はおいしいパン屋さんがいっぱいあること。そのあたりの普通のお店でもレベルが高い。」
(達)「生活っていう意味で言うと、僕は京都くらいのコンパクトさ加減がちょうど良い。遊びにも仕事にもいけて、大都市圏も住宅街もすぐ行き来できて。ちょうど良い。こっち来て電車移動がなくなったから楽チンになったよね。疲れなくなった。生活圏が狭くなった。大阪までたまに電車で出かけると頭が痛くなる。笑」
京都に来た人は基本的に京都になじみ切るようだ。

日に日にでき上がっていっている2人と一匹のお部屋。


お財布は別にしてる。家賃は達彦さんが払ってくれてる。携帯代金は各自持ち。

お風呂とトイレが室外にあるのは京都ではままある。こういう部分が気にならない人にとっては割安感のある物件も多いのが京都の特徴。

暖かい2人

赤いバケツでの防火対策も京都っぽい。赤い自転車は風子さんが東京時代からの愛用品。

インタビューをしていて、2人とも相手を立てつつ話すのがとても印象的でした。いつも質問に対して一生懸命考えてくれていて、一度答え終わった後に思い出したように追加で伝えてくれる。そして一方が話し終わった後に、必ずと言っていいほどもう一方が軽く合いの手を入れてお話が終わる。それもわりとはっきりと、あまり濁すことなく。本当にお互いの話をきちんと聞き合い、お互いのことを考えつつ、ボールの投げ合いをしている2人でした。庭職人の修行の身と、布作家のカップルということで、会社員での共働きに比べればいくぶんか不安定になりがちであろう家計を、家賃をはじめ生活費を抑えることや、2人の間でお金のルール決めをしたりしてうまくストレスをためこまずに乗越えてこれた結果の心の余裕もあるのやもしれないなと、今のネコ費の占める割合をみて考えた。

京都の夫婦2組を見て

クリエイティブな性質であることは似ていても、実際のタイプはだいぶ違う夫婦2組を見て、とにかく2組ともに共通していると感じたのが「非戦闘型人生」だなということ。誰かと競いながら生きて行くのではなく、仕事に関しては自分自身で成長し、暮らしに関しては夫婦2人で質を上げていくことを楽しみ、他の誰かと比べて肩肘張るような感じでもなく、「まさに吾只足るを知る」の世界が京都にはあるんだなということを感じた。また、京都にはこういう草の根的なクリエイティブな人たちが生活しやすい土壌が今も確かに存在しているということ。ひいてはやはり日本にも地域性は確かにあることを感じた取材となった。文面で少しでもそれが伝わるとうれしい。

(文と写真:森岡友樹、イラスト:上野麗子)

最終更新日:2018年08月31日

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