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file.017 雄大な山裾に広がる大山町の古民家を買う

2015年08月15日

夫婦漫才

file.017 雄大な山裾に広がる大山町の古民家を買う

地方の若者たちの暮らし

file.017 雄大な山裾に広がる大山町の古民家を買う

築100年以上の古民家が母屋。自分が楽しむだけでなく、人が集い楽しめる場所にしていきたいと語る。

流れに乗って生きる。選択肢は常に一つ。

最近なにかと注目の「若者の地方暮らし」。住宅事情を中心にその実態をリポートしていく。17回目は鳥取県大山町で築100年以上の古民家を購入して暮らす薮田佳奈さん(30歳)。地域おこし協力隊として活動しつつ、地元にとけ込み、大山町の暮らしを楽しんでいます。

真ん中の建物がハナレ。左の小屋にお風呂とトイレ、右が農機具等を入れていた納屋で今は駐車場として使う。

お気に入りの母屋の縁側に座り、蚊取り線香を焚きつつのインタビュー。


もともと、人を楽しませることが大好きで、楽しんでもらうためにはどうすればいいか?を考えるのが大好きな薮田さんは、淡路島で生まれ、淡路島が大好きで、ここでずっと暮らしていくだろうと思っていたそう。そんな薮田さんが淡路島を離れたのは高校卒業後。就職により淡路島を離れ神戸で暮らすようになる。どういった経緯だったのだろう。

「気付いたら出てました。性格的に流されやすくて、そのときどきの流れや、周りの人にすごく影響を受けて進んでいます。選択肢が常に一つしかなくなっていて、そうやって進んでます。」

自身の流されやすさを表す話として、三段の腕前を持つ剣道の話をしてくれた。小学生のころ、友人に誘われて始めた剣道を好きになれないままだけれども、ほかにやることがなく、小学校中学校と強くなれないまま高校まで続ける。高校の剣道部では周囲の部員が強い向上心を持ちながら練習する姿に感化され練習に打ち込み出して、少しずつ勝利への欲求とともに剣道への愛着をやっと持つようになったそう。流されるままはじめて、流されるまま続け、流されるまま愛着を持つようになった剣道が就職の決め手になったそうだが、そこも少し流されているとのこと。

「仲が良かった友人に『剣道もでき︎るし警察官にな︎ろうよー』って誘わ︎れて、うんなるなる︎ー! って(笑)。でも先に採用をく︎れた神戸税関に就職を決めたんです︎よね。税関は事務職ですけど柔道や剣道に力を入︎ていたこともきっかけの一つですが、何より人事担当の方が本当に素敵な方で、当時の人事担当の方にあこがれて『あんな風になりたい!』と思って神戸税関に就職しました。っていう感じで気づいたら大好きな︎淡路島を出︎てい︎ました。」

それを縁と言う人もいれば、流されてと受け取る人もいるのだろうと思う。いや、縁で進んでいる人生なんだと思う。

その後、薮田さんは11年間税関で働くことになる。どういった仕事だったのだろう。

「税関は配属替えが多い職場でもあり、いろいろな経験をさせていただきました。尊敬できる人たちとともに、やりがいを感じながら仕事をしていました。でも、仕事もプライベートもさまざまな経験や年齢を重ねていったことで、この先の人生のことやそもそも自分ってどういう人だっけ? ということを考え始めるようになって。ある時までほとんど忘れていたんですけど、子どものころ、本当にただ『目の前の人が笑顔になる仕事』がしたかったことを思い出して。その気持ちがだんだんと大きくなり、退職を決めました。」

本当の意味で責任感のある判断であると、私は思う。

大山町との出会い

母屋の玄関。古民家だけに随分広い。ここも雰囲気を残しつつ用途に合わせ改装して行きたいと。

玄関の奥の扉を開けると昔ながらの通り土間を増改築したスペースに出る。広い玄関と比べてもとても広い。


税関を辞めて、そこからどうやって鳥取の大山町にたどり着いたのだろうか?

「神戸税関に勤めていたころ︎、鳥取の境税関支署でも3年間働いたことがあって、もともとこの辺︎のことは知っていました。それ︎で鳥取はなんだかとっても好きな場所で、親友も住んでいたので年に1回は鳥取に遊びに来ていました。退職を決めていた年のお正月休みも、親友が大山のイベントでコンサートをする︎というので、それを目掛けて来ました。会場は古民家を改装したまぶやという所で、そこを拠点に地域活性の活動をしている︎築き会という団体が主催していたのですが、もうそこで、すごい笑顔で楽しそうに活動している皆さんを見て、こんな人にな︎たい!この人たちと何かしたい! ここに住みたい! って思って、感動していたら︎そのイベントの中心人物の方が『大山町においでよ︎ー!』って言ってく︎て、『はい! 住みますー!』って(笑)。」

そこからどうやって大山で暮らしていくかなどを模索するなか、ちょうど大山町の地域おこし協力隊の募集がはじまる。

これだ!と、応募。採用されて、大山町の地域おこし協力隊として働き出す。

「最初は町営住宅に住んでたんですよ︎。3DKの1軒屋で、そこもすごくいいところ︎でした。なので正直、家は必要なかったですし、もちろ︎ん購入とか考えていませんでした(笑)。」

建具も天井も各建具も以前の家主さんが丁寧に使い続けてこられたおかげで雰囲気のある空間の母屋。

母屋の横に山水が流れ込んできており家の下にも流路が。めったに顔を出さないが、コイも住んでいるとのこと。

それがどういういきさつで購入に?

「私たち大山町の地域おこし協力隊の仕事の一つとして、大山町の問題を外部の目で見て解決していくタスクもあるんですよ。大山町でも空き家問題があり、その流れでこの物件のことを知りました。この家を知る前から、いつかたくさんの人が集まる公園のような家に住めたらいいなぁと思っていて、その間取り図面を妄想で描いてたんですけど、この物件がその間取り図そのままだったんですよ。それで実際に物件を見た瞬間に『欲しい!』と思ったんですよね。その時住まわれていた方がおうちをすごく大切にしていて、どうか若い人に引き継いで人が集まる場所として使って欲しいと思われていたそうで、私の思いと合致して私に譲りたいとおっしゃってくださって。いろんな方から、よく考えろと言われて、自分なりにいろいろ考えたのですが、やっぱり私の頭の中には『欲しい!』の一択だったので買いました。また、たまたま最初に提示された売買金額が、私が税関を辞める時までに貯めようと目標にしていた金額とぴったり同じだったので、買えた感じです。ちなみに、売買価格は公表しない約束で購入してるので、これ以上は秘密です。(笑)」

食費とガソリン代が1万円。

この連載の趣旨とずれてしまうが、購入価格は以上のような理由なので、ご容赦いただきたい。

ここは大山にたくさんある集落の一つで、近隣の人がすれ違う度にみな挨拶をしあっている。

暮らしてみてどうですか?

この家に暮らしてみて、実際にどうなのだろう。

「まだ引っ越してそんなに経っていないのでまだ分からない部分も多いのですが、帰って来る度にニヤッとしてしまいます。友達が来る度に『いいねー!』って言われたり、『これ、どこまでがおうちなの?』って聞かれて『全部!』って答えるのも好きだったり。ワクワクしますね! ただ、母屋は網戸がないので虫対策を考えないといけないですね。あと、良くも悪くも広いなぁ!って思います。草がものすごい早さで生い茂りますからね。あとみんなでこのおうちで飲んで、車で来た人はハナレで泊まってもらえるのも広さのおかげですね。母屋は寒いのですが、そんなに耐えられないほどの寒さではないですし、思ったよりも雪も降らないです。あ、でも雪が降ったら降ったでまた良いんですよね。このおうち(笑)。」

本当にうれしそうに話されて、べたぼれなのがよく分かります。

この集落の風習らしく、鬼瓦が鬼ではなく七福神など。「ここの人たちっぽい風習だと思います。」と薮田さん。


コンセプトは「みんなのハナレ」

本当に広い敷地で部屋数も多い。薮田さんの理想である「みんなのハナレ」としては使い勝手が良さそう。


「この物件のコンセプトは『みんなのハナレ』なんですけど、いまはそこまで自分から誘って皆にここへ来てもらうことがまだできていないので、秋から少しずつ改装したり、月1回だけ家を解放して地域の人たちと飲み会を開きたいです。この辺りは飲食店ものみ屋もないですし。私、飲みに行って『じゃぁどうやって帰る?』って会話が好きじゃないんですよ。だから歩いて来れない人は車で来て気兼ねなくハナレに泊まってもらえる、そんな場所にしたいんですよね。大人だけでなく子供にも広場のように使ってもらいたい。結婚の予定はまだないけれども、結婚する相手にもこの理想を理解してもらえるとうれしいなぁと思っています。」

今後はどんな風に改装していく予定なのだろうか。

「台所をもう少し使い易くして、ご飯をたくさん作れるようにしたいです。皆が集まっても大丈夫な量や種類を作れるように。あとは囲炉裏、薪ストーブ、かまどが欲しいですね。火があると人が集まると思うので、秋になったらまた順番に作っていけたらなと思っています。」

人を集めて、人と楽しむことが好きな性格で大山町と相思相愛。

お城型の住宅を改装した「のまど間プロジェクト」のホームページ画像から。


薮田さんの担当した仕事の1つにお城付きシェアハウスの「のまど間」があります。これは大山町や田舎暮らしに興味のある人が一定期間住むことができて、実際の暮らしを体験できる場所を作る試みで、ともに地域おこし協力隊として働くほかのメンバーとの共同プロジェクトだそうで、お城の部分は共同オフィスになっていたり、ユニークな仕掛けが施されていたりと、ここにも人を集めて楽しませたい薮田さんの性格が出ている気がしますし、自身も大好きな大山の暮らしを紹介したい気持ちが込められてのことでしょう。

大山町の良い所を聞くと、「みんなが本当に仲がいいこと」と。では、大山町で良くない所はと聞くと、「みんなが本当に仲が良過ぎること。(笑)」と苦笑いして教えてくれた薮田さん。

今周りに居る人たちとの暮らしは楽しいけれど、まだ出会えていない大山町の人たちとも話をしなければいけない仕事内容を考えれば、もうすでに楽しい今の現場に引っ張られてばかりもいられないのでしょう。

これらのことだけでも本当に大山が好きで、地域と相思相愛なんだろうと強く感じさせられましたし、それがつたわるエピソードだと思います。取材前に、古民家を購入して暮らしている話を聞いた時に感じた驚きはインタビュー後にはすっかり消えて、必然とさえ思えてきました。一人一人に不動産も関わる物語があるものですよね。将来、このお宅がどういう風に人が集まるようになるのか、にぎやかな姿を想像するだけでわくわくします。

(文と写真:森岡友樹、間取り図:上野麗子)

最終更新日:2015年08月15日


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