ページトップへ

Yahoo!不動産おうちマガジン は家探しのヒントが満載の情報サイトです!

>
>
ゴジラにつぶされた家の保険はどうなるのか専門家に聞いた

2016年10月18日

夫婦漫才

ゴジラにつぶされた家の保険はどうなるのか専門家に聞いた

西村まさゆきのちょっと気になる5

ゴジラにつぶされた家の保険はどうなるのか専門家に聞いた

ゴジラにふみつぶされた家の保険はどうなるのか? 損保を取り扱ってる人に映画をみてもらい、シミュレーションしてみた。

リアルな設定がウケた『シン・ゴジラ』

7月に公開され大ヒットした映画『シン・ゴジラ』。
東京湾に突如現れた「巨大不明生物」のゴジラと、それに立ち向かう人々を描いた映画だ。
日本では興行収入が75億円を突破し、元防衛大臣の石破茂衆議院議員が、ブログで感想を述べるなど、話題になっている。

この映画がこれほど話題になっているのは、やはり「ゴジラ以外は全てリアルな設定」という点だ。
「現代日本にゴジラが出現した場合、政府、自衛隊、各自治体は、いったいどのように対応するのか?」を、徹底的にシミュレーションしているところが、特撮ファンだけにとどまらない、幅広い支持の要因だろう。

家がいっぱい壊れているけど……保険おりるのかな?

さて、リアルな設定や描写の『シン・ゴジラ』だが、劇中ではゴジラの出現によって、実に様々な建物が破壊されている。

映画はなんやかんやあって終わるが、このあと破壊された町を復興するということを考えると、気になるのが保険のことだろう。

今までに類例のない「巨大不明生物」に破壊された家に保険はおりるのか?

当サイトでは、「もしもゴジラにお家を壊されたら保険はどうなるの?」で、すでにゴジラが出現したときの保険がどうなるかを考えた。

しかし、実際に損害保険を取り扱っている専門家は『シン・ゴジラ』をどんなふうにみるのだろうか?

大手外資系損害保険会社の代理店につとめる草野さん(仮名)と映画『シン・ゴジラ』を一緒に鑑賞し、映画の中で壊された家の保険はどうなるのか、シミュレーションしてもらうことにした。

左から私ライター西村、今回お話を伺った外資系大手損害保険会社代理店の草野さん(仮名)、編集の河内さん

観るぞー

観終わった

話を聞いた

そもそも火災保険とは?

西村(ライター)「『シン・ゴジラ』を観ていただきましたが、まずはどうでしたか?」

草野さん(仮名)(以下草野)「いやー、冒頭のアクアラインがぶち壊されたところからずーっと、緊張感がすごくて……」

西村「普段、映画はご覧になりますか?」

草野「映画は好きでけっこう観るんですよ。ただ、ゴジラは今まで機会がなくて全く観てなかったんですが、おもしろかったです。」

西村「ところで、草野さんが取り扱っておられるのはどんな保険なんですか?」

草野「基本的に、人が住む建物の保険なんですが、ごくたまに小さい店舗などの保険も取り扱っていますね」

西村「さっそくなんですが、今回映画でゴジラに壊された家屋がいっぱいありましたけど、あれって保険おりますか?」

草野「そうですね、その前に火災保険についてざっと説明させてください。基本的に火災保険は、家が燃えてしまったという場合以外にも、いろいろなリスクの補償に対応してます」

西村「具体的にどのような?」

草野「例えば、台風で屋根が飛ばされたとか、豪雨で水浸しになった、車が家に飛び込んできた、泥棒に入られたなど……こちらを御覧ください」

【基本補償】
火災のリスク
・火災
・落雷
・破裂・爆発

自然災害のリスク
・風災・雹(ひょう)災・雪災
・水災

日常災害のリスク
・物体の落下・飛来・衝突等
・水濡れ
・労働争議に伴う破壊行為
・盗難
・不測かつ突発的な事故(破損、汚損など)

西村「へえ、労働争議にともなう破壊行為なんてのもあるんですね……最近はものを破壊するようなデモはあんまりないですけど」

草野「そうですね、めったにはないんですが、いちおう補償としてはあります。で、この条件に合致しない事故が起きれば“不測かつ突発的な事故”という枠で補償するかたちになるんです」

モメそうな「ゴジラ」

西村「で、ゴジラに家をつぶされた場合は?」

草野「まずですね、ゴジラをどう定義するか、ということが重要になるんですが……そもそも誰も経験したことのない事態ですから、杓子定規に査定しようとする保険会社と契約者でモメるんじゃないかなあ」

西村「モメちゃいますかー」

草野「ひとつ考えられるのは、通常、クマとかイノシシみたいな猛獣は免責とされてなくて、例えばイノシシが家につっこんできたら、動物は物としてみますので“物体の落下・飛来・衝突”にあたるんです」

西村「生き物は物体扱いなんですね」

草野「ここからは私の想像ですが、おそらく、劇中で巨大不明“生物”と言ってますので、ゴジラを生物と定義すれば“物体の落下・飛来・衝突等”による損害ということで、保険はおりると思います」

西村「なるほど……では、ゴジラに直接踏みつぶされたのではなく……例えば、蒲田に上陸した第二形態……ネット上では蒲田くんって呼ばれてますけども、蒲田くんは自動車を思いっきりはね飛ばしてましたが、たとえばゴジラが飛ばした自動車がぶつかって家が壊れた場合も保険おりますか?」

ゴジラが飛ばした車で家が壊れた場合は?


草野「それは保険がおりると思いますよ、物体の飛来ですから」

西村「ということは、けっこう安心していいんですね」

草野「しかしですね、安心するにはちょっと早いんですよ」

西村「というのは?」

ゴジラは生き物?それとも兵器?

草野「ゴジラが純粋に生物だったらいいんです。しかし、牧悟郎教授というのが出てきますよね」

西村「えーと、映画の最初でボートの中から行方不明になった教授……物語ではゴジラが東京湾に出現したきっかけとなった……みたいな描かれ方をしてましたね」

草野「もちろん、これも私の勝手な想像ですが……もし、牧悟郎教授が他国からの密命を帯びてゴジラを生物兵器として覚醒させ、日本を襲わせた……という話だと、保険的には“戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱、その他これらに類似の事変または暴動”で保険金がおりない……という可能性がありますね」

西村「うーん、これは困った事になりましたね」

ゴジラがただの生物ならOKだけど……


草野「ゴジラがある程度の知能を持った生物兵器だったという考え方も、無くはないと思うんですよ、ゴジラは2回上陸しますが、2回とも都心をめざしてます」

西村「たしかに都心をめざす理由はよくわかりませんね……昔のゴジラは原子力発電所襲ったりしてましたが……」

草野「映画の中では、自衛隊が防衛出動するのか、災害派遣するのか議論するシーンがありましたよね、もしゴジラが他国の生物兵器ということになれば、自衛隊の出動は防衛出動になる、そうなると、保険の支払いも微妙になってくる……難しいところです」

西村「ゴジラが生物兵器なんて設定はもちろんないんですが……あらゆる可能性は考慮しないとだめですね」

草野「保険会社としてはそのへん、保険料の支払いの有無に関わってくるので敏感にならざるをえないと思います」

自衛隊の誤射は……補償される?

西村「自衛隊が2回目に上陸したゴジラを二子玉川あたりでくい止めようとします。映画の中の自衛隊は優秀で、攻撃は全弾命中しますけど、もし仮に弾がはずれて家にあたって壊れた場合……これはどうなりますか?」

間違えて家にあたった!


草野「自衛隊が“害獣駆除”ということで出動して、その過失で誤射してしまった場合ですね。こういう場合は保険会社がまず代わりに保険を支払うんです、代位求償っていうんですけども、その後、この場合は防衛省でしょうか? そこに保険会社がお金を請求する、そういう形になると思います」

河内(編集)「これ、仮に牧悟郎博士が作り出した、例えばロボット……メカゴジラみたいなもので、ロボットの自動運転でたまたま町を破壊しちゃった場合は……」

草野「微妙なところ突いてきますね」

西村「要するに自動車の自動運転と同じようなものだったらどうなるのか……」

草野「難しい問題ですね……自動運転の保険に関してはPL法(製造物責任法)的な方向に行くかもしれませんが……まだ法律が追いついてない状態ですね」

西村「ともかく、ゴジラに関しては、牧悟郎博士の意志がどうだったのかによっては保険がおりるかおりないか微妙になってきそうですね」

草野「ただの動物であれば、保険の適用は大丈夫なんですが、そこにいろんな要素が入ると……たとえば、裁判になって、集団訴訟ということになるかもしれないです」

西村「ゴジラを生物と認めよという訴えですね」

草野「そういう話になると、かならず新しい保険ができるんですよ、火災保険に“巨大不明生物特約”とか“怪獣特約”みたいな商品が発売されると思います」

巨大不明生物に対応した保険の特約が開発される可能性がありますね


西村「特約かー」

草野「火災保険には特約(オプション)があるんですよ、例えば、家が燃えちゃって住めないときの宿泊費や家賃の補償や、建物の大半が壊れたときの取り壊し費用の補償、盗難にあったときのドアロックの交換費用……いろいろあるんですけど」

西村「ここに、巨大不明生物に建物や家財が壊された場合の補償みたいなのが追加されるんですね」

草野「もし、そういった特約が発売されたら、保険会社は蒲田あたりにDMまいたりしそうですね」

西村「なるほど、蒲田の住民はゴジラの怖さを知ってるから……」

ゴジラの足踏みの揺れは地震保険にならない?

西村「ところで、ゴジラの足踏みで揺れて壊れたものは地震保険の対象にならないんですか?」

草野「それはならないでしょうね、地震じゃないですから……そもそも、地震保険というのは国がやっているものですからね、地震、噴火、津波以外では保険はおりないでしょうね」

西村「え、地震保険って国がやってるんですか?」

草野「そうです、国と保険会社が共同で運営してるんです」

西村「恥ずかしながら知りませんでした」

草野「ちょっと込み入った話になりますが、地震や津波は普通の火災などとは違って、保険金の支払額が膨大になることが多いので、『地震保険に関する法律』というのがあって、いろいろと決まってます。民間の保険会社が負う地震保険責任を、政府が再保険してるんです。つまり、保険の保険ですね」

西村「大災害に関しては特別に法律を作って民間保険会社の保険のしくみを国が支えてるわけですね」

草野「再保険による政府の支払限度額は現在約10兆円以上あるといわれています。阪神淡路大震災や東日本大震災での支払額もそれを越えたことはなくて、保険金はちゃんと支払われてます」

西村「地震はそういう法律がすでにあるからいいんですが、ゴジラの場合だとその辺の決まりがないんですね……東京都心が丸焼けになってるから、被害額がかなりのものになりそうですけれど……」

草野「地震だと、財務省のウェブサイトに、再保険の支払限度額を超える災害が起きた場合は『保険制度の枠内にとらわれず幅広い観点から、財源の確保も含め、適時適切に政策判断が行われるものと考えております』と書いてあります。ゴジラもこれだけの被害ですから、もしかしたら地震被害に準ずるという形で『巨大不明生物襲来に伴う被害の復興支援特別措置法』※みたいな形で法律が整備されて、その中で補償される可能性はあるかもしれません」

西村「それは『ゴジラ特措法』みたいな別名つきそうですね。ただ、今のところ、映画での描写にあまり妄想を入れずに観れば、ゴジラは兵器である可能性は低いので、ひとまず保険はおりそうじゃないですか?」

草野「いや、まだ安心できないですよ」

西村「まだあるんですか」

核がからむと話がややこしくなる

まだ安心できないですよ!


草野「2回目に上陸して、口から炎を出してたじゃないですか」

西村「出してました」

草野「もしあれが核によるエネルギーだとしたら、保険がビタ一文でない可能性があります。火災保険は、核燃料物質による被害は免責されるんです」

西村「核は免責されるんですね……」

草野「放射能まではもう責任負えないですから、特に核は被害が甚大になるので……これは損害保険も生命保険も同じです」

西村「津波や地震は、町を復興することができますけれども、核の場合はそこに住めなくなる可能性がありますからね……でも、ゴジラのまきちらした放射能は半減期が20日ほどで、2、3年でほとんど影響がなくなるという設定ですが……やはりそれでもダメですか?」

草野「残念ながら、話し合いの余地なしでダメでしょうね……」

西村「原則は覆せないんですね、最後に登場人物の尾頭ヒロミが『よかった』って微笑むシーンだけがこの映画の救いですけども、保険的には厳しいのか……そうなると『ゴジラ特措法』に期待するしかないですね」

草野「ただ、東日本大震災の時に生命保険各社が削減なしで保険料を支払っている例もありますので、被害の度合いによっては特別な措置が講じられることもあるかもしれないです」

壊されたオフィスビルは国家賠償かも?

西村「ところで、映画の中では一般の住宅だけではなく、オフィスビルも派手に破壊されてました。特に最後は東京駅周辺の高層ビルを、自衛隊や米軍が意図的に破壊してました。こういった場合は保険はおりるのでしょうか?」

草野「まず、前提としてですが、私どもが販売している火災保険は住居用の建物に対する保険なので、巨大なオフィスビルや商業施設はまた別の保険になるんです」

西村「別なんですね。ビルや商業施設は保険の額も大きそうですね」

草野「もちろん、額も大きいんですが、通常ああいったビルには、建て替えできるほどの保険はかけないんですよ。なぜなら、火災にあったとしても、すべて燃え落ちるなんてことはそうそうないですよね、9.11のテロみたいなことがない限り。ですので、例えば10億円とか、上限を決めて、その額だけかけてるんです」

西村「なるほど」

草野「で、丸の内の壊されたビルはどうかという話ですけども……おそらく、保険はおりないんじゃないでしょうか? 軍隊が意図的に壊したということであると、もう“物体の飛来”とか言ってる場合じゃないですよね。ヤシオリ作戦(=劇中の作戦名称)は、おそらく国家賠償するつもりでやってるんじゃないんですか?」

西村「あのシーン、三菱地所とかJRは大変だろうなーと思って観てたんですが、たしかに、あのレベルだともう保険どうこうという話ではない気もしますね」

草野「東北の震災でも、瓦礫の撤去などは、本来自分のものは自分で片付けないとダメなんですけど、大災害として認定されると国が費用を負担して撤去してくれる、今回のゴジラの場合も被害が甚大ですから、片付け費用も国がお金をだしてくれると思いますね」

西村「まとめると、ゴジラに潰された家に保険がおりるかどうかは、まず、ゴジラがなにかというところがポイントになる。生物であれば、保険がおりる可能性は高いが、放射能がからむと保険がおりるかどうかは微妙、ただ、これだけ甚大な被害になると、国が特別に法律を作って救済する可能性はある……こんなところでしょうか?」

草野「そうですね……いろいろ言いましたが、あくまで、私個人の感想ですので……」

西村「もちろん、他の人が観れば他の見方もできますよ、というところですね。『シン・ゴジラ』はこういう百人百様の見方ができるところも面白いですよね……ありがとうございました」

シミュレーションすることの楽しさ

以上、あくまで、損保を取り扱っている人がゴジラを観た場合、どんな見方ができるのかを伺った。

映画とはもちろん絵空事で、ただの空想の産物でしかない。

しかし、絵空事にリアルな設定を当てはめて、こういう場合は一体どうなるのか? ということを脳内でシミュレーションするのは実に楽しい。

一方、損害保険は、さまざまな事態をシミュレーションし、それに合った保険が考え出され、販売されている。
そういった意味では、保険と映画というのは似ているのかもしれない。
草野さんは、「損害保険は事故が発生してからがやっと商品の納品になるんです」とおっしゃっていたが、損害保険はできれば納品されないのがいちばんいい。

映画も保険も、シミュレーションだけにしておきたい。

(取材・文:西村まさゆき、イラスト:ウエノレイコ)

参考サイト
地震保険制度の概要(財務省)

最終更新日:2018年08月30日

キーワードを入力してください

キーワードから探す


本文はここまでです このページの先頭へ

Yahoo!不動産 おうちマガジンとは?

不動産にまつわるマジメな記事からおもしろ記事まで、家さがしが楽しくなる情報をお届け!新しい暮らしのヒントが満載のマガジンです。