ページトップへ

Yahoo!不動産おうちマガジン は家探しのヒントが満載の情報サイトです!

>
>
>
ベルリンで暮らすライターの住まい 築100年の物件とは?

2017年06月09日

夫婦漫才

ベルリンで暮らすライターの住まい 築100年の物件とは?

地方の若者たちの暮らし(24)

ベルリンで暮らすライターの住まい 築100年の物件とは?

自宅のリビングで仕事をする久保田さん

住み心地の良さに移住を決意、それから15年

久保田由希さんは、1年ほど日本を離れて生活してみたい、と2002年に単身で渡独してから、その住み心地のよさに心を動かされ、ベルリンに移住することを決めたそうです。ライフスタイル分野を中心に執筆するライターで、ベルリンの住まいや暮らし方を紹介する著書を多く出版しています。

人と暮らしを紹介する「ベルリン、わたしの部屋づくり」

ベルリンの暮らしと住まいを紹介する著書


ベルリン在住の人の住まいと暮らしを紹介する本書。経営者、ショップオーナー、フォトグラファー、ジャーナリスト、学者、学生などさまざまな人が登場します。住まいの内装デザインは基本的にシンプルで洗練されていますが、そのひとつひとつには、住人の個性、考え方、働き方、生き方が表れていました。


恋人や家族、生活と仕事。ドイツ、ベルリン、という視点に限らず、よりよい暮らしのために、とても参考になる著書でした。


ベルリンに住む人の暮らしが、優しく描かれていました

レンガ一面の壁に一目惚れして決めた住まい

これまで数多くの人や住まいを紹介してきた、久保田さん。住まいのあるベルリンのプレンツラウアー・ベルクは、東京で例えると「吉祥寺」のようなイメージで、オシャレなカフェやレストランやブティックが並ぶ人気のエリアです。


1800年台後半、ドイツ帝国の首都ベルリンでは、国の発展に伴って住宅不足の問題が発生しました。そのため、1890~1900年頃にアパートなどの住宅施設が多く建設されました。この頃に建設された建物はアルトバウと呼ばれています。明確な定義があるわけではありませんが、第二次世界大戦後に建設された比較的新しい建物をノイバウと呼び、アルトバウと比較されることが多いです。アルトは「old」、ノイは「new」の意味を持っています。久保田さんの住まいはアルトバウでした。築年数は浅ければ浅いほどよいと考えられる日本とは真逆で、ドイツでは古い家ほど人気があります。


築100年を超えるとはいえ、定期的に整備・メンテナンスが施されているため、住むには困りません。例えば、建設当時は共用部分にあったトイレを家の中に作ったり、大型の暖房機器を導入したり、アルトバウの住まいは、リノベーションによって、時代に合わせて進化しています。


久保田さんが一目惚れしたレンガの壁


久保田さんの部屋は、5階建てアパートの5階にありました。木製の重い扉を開けてリビングに進むと、大きな明るい窓と、剥き出しになったレンガの壁が出迎えてくれました。久保田さんはこの景観に惚れて、入居を決めたそうです。先代の住人たちが磨いてきた床には、光沢感があります。壁を剥がしたり、塗り直したり、これまでのリノベーションの足跡が部屋の雰囲気をより特別なものにしています。


家の間取り。中庭を眺めながらの朝食には、生活のゆとりが感じられます


新しいものと古いものを組み合わせるのが好きなんです、と久保田さん。緑と紫の椅子は、蚤の市で安く買ったそうです。蚤の市にあるものは、ほとんどが1点もの。だからこそ、家具との出会いもより運命めいたものを感じます。素朴で可愛くて、この部屋の優しい雰囲気にぴったりでした。日本に帰るときがきたら家具ごと持って帰ります。と話すほど、部屋の家具には愛着を持っていました。


窓の下には、ハイツングとよばれる温水ヒーターがあります。熱が逃げやすい窓側に設置することで、効果的に部屋を暖かくすることができるそうです。新品の電化製品よりも、やはり部屋に馴染む感じがします。


お気に入りの小物が並ぶ窓辺

柔らかい日差し、中庭を眺めながら朝食を

窓からの光が柔らかくて明るいキッチン


窓からの日差しが白い壁に反射して、柔らかい光に包まれたキッチン。久保田さんは、この窓辺の椅子に座って、中庭を眺めながら朝食を楽しむそうです。カウンターや収納、テーブルは、すべて木材で作られています。そのためでしょうか、気持ちが自然と落ち着きます。

ベルリンでの1ヶ月の生活費は15万円ほど

久保田さんに、彼女がベルリンに住むために必要な生活費を教えてもらいました。家賃相場は、1平方メートルあたり約11ユーロ(1,309円※)。久保田さんの約55平方メートルでは約600ユーロ(71,995円)/月で、東京と比較してもかなり割安です。ただし、需要に対して供給が追いつかず、家賃は年々上昇しています。食材も日本と比べてかなり安く、毎日自炊した場合は150ユーロ(17,850円)/月くらい、光熱費は家の広さや暖房方式によって変わりますが、久保田さんの部屋で約80ユーロ(9,520円)/月だそうです。これらの費用に加えて、交通費、健康保険料、雑費などが必要で、1カ月の生活費は15万円程です。交通費や健康保険は、人によって大きく変動するので、あくまで目安として。(※2017年3月31日現在、1ユーロ119円で計算)


家賃600ユーロ
食費(毎日自炊)150ユーロ
光熱費80ユーロ
通信費50ユーロ
健康保険料50ユーロ
交通費80ユーロ
雑費200ユーロ
合計1,210ユーロ

100年以上の歴史をもつアルトバウで、歴史に触れる

プレンツラウアー・ベルクの街並みと高架を走るUバーン(鉄道)


人の手によって、ときに壊され、ときに修復され、100年以上を生きてきた建物。彼らは、長い歴史の中で多くのことを見てきたことでしょう。そして、その建物に住んできた歴代の住人たちも、同じ空間で1日1日を生き、歴史を残してきました。


部屋にある古い傷や修理のあとに目を向けると、「現在は、過去の延長線上にある」ことを、より強く意識できます。そんなことを考えながら、今を生き、またその足跡を残す。そして受け継がれていくという環境のステキさを感じられます。


ベルリンでアウトバルが人気なのは、部屋が広い、天井が高い、といった構造上の利点からだけではなく、人と建物が長い時間を掛けて作り上げた場所に、きっと多くの人が特別な価値を感じているからでしょう。


ドイツと日本で住まいの環境は異なりますが、歴史の長い建物や家具ほど価値がある、という視点を加えてみると、新しい暮らしのカタチが見えてくるかもしれませんね。よりよい暮らしを考える人に、本記事が何かの参考になればうれしいです。


(写真と文:青山航)


取材協力

最終更新日:2017年06月12日


キーワードを入力してください

キーワードから探す

本文はここまでです このページの先頭へ

Yahoo!不動産 おうちマガジンとは?

不動産にまつわるマジメな記事からおもしろ記事まで、家さがしが楽しくなる情報をお届け!新しい暮らしのヒントが満載のマガジンです。