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ケニアで自給自足 健康的な食文化を発信する元ランナー

2017年09月27日

夫婦漫才

ケニアで自給自足 健康的な食文化を発信する元ランナー

地方の若者たちの暮らし(25)

ケニアで自給自足 健康的な食文化を発信する元ランナー

ランナーたちが暮らすトレーニングキャンプの宿泊施設

ニャフルルのトレーニングキャンプで生活する村上さんの暮らし

東京から飛行機でおよそ20時間。ケニアの首都ナイロビから、さらに車で約5時間。村上浩基さんは、ニャフルル郊外にある「裸足トレーニングキャンプ」に住んでいます。林と畑に囲まれたのどかなこの場所で、ケニア人ランナーのトレーニングや生活をサポートしています。


ケニアに数あるトレーニングキャンプの中でもここは特徴的で、所属するランナーたちが農業や畜産に取り組み、ガスや電気を自給自足で賄いながら生活している点です。ランナーたちは、トレーニングの合間に家畜や畑の世話をやり、自分たちの手で、食べるものや売るものを生み出しています。元ランナーで調理師でもある村上さんは、身体によくて美味しい「食」を提供しながら、健康な身体のつくりかたを教えています。

林と畑に囲まれたトレーニングキャンプ周辺

高校卒業後にあこがれのケニアへ

サッカーで言うセリエA、野球で言うメジャーリーグ。長距離走で言うとそれはケニア。陸上部に所属していた村上さんが高校卒業後に向かったのはケニアでした。「行けばなんとかなる」と見切り発車した当時のことを、村上さんは苦笑しながら話してくれました。


言葉も通じず、人脈もない。エルドレッドにあるキャンプを見つけて、ランナーとしての生活が始まったのは入国から半年経ってのことでした。

地元の子供たちとサッカーを楽しむ村上さん


忘れもしないケニアでのデビュー戦は、全く予想もしていなかった最下位。裸足の子供も多くいた中での結果に大きなショックを受けました。20歳でナイロビの大学に入学してからは、トレーニングキャンプに参加。その甲斐あって、ケニアの強者が参加するレースでも10位以内、タイムは日本記録に並ぶほどの実力をつけていました。


ケニアでランナーとしての活動を終えたあと、村上さんは料理人になるために日本に戻ります。複数の料理店での勤務を経た後、健康で豊かな食生活をテーマにアスリートをサポートするプロジェクトを知り、参加。そこで、裸足トレーニングキャンプのオーナーである吉野さんと出会いました。吉野さんと話すうち、ケニアでアスリートをサポートする料理店を展開したいという思いが強くなり、2016年にケニアへ再び戻ってきたのでした。

ケニアランナーと暮らす宿泊施設

何人増えても大丈夫! といったテーマ曲が流れてきそうな宿泊施設


足洗い場を備えた玄関、カーテンをくぐると大きな広間が出迎えてくれます。長距離走は、自分自身との戦いを強いられる個人競技。しかし、このキャンプに所属する以上は、ともにトレーニングし、働き、生活する大切な家族です。家族がともに楽しめる環境を、と吉野さんと村上さんで考えて、この広間を作ったそうです。筆者の滞在中も、特に食事中は4つあるソファで選手やゲストが楽しそうに話していました。

村上さんやランナーが家族のように過ごす空間

屋根の一部がガラスでできているので、太陽光が透過する


大広間を挟んだ左右にそれぞれベッドルームがあります。ケニアのキャンプではパイプの2段ベッドが一般的ですが、選手個人のプライベートを確保するために日本のカプセルホテルの様式が採用されていました。

プライベートが確保された寝室


大広間の奥にはキッチン。調理しやすいように広めに作ってあります。キッチンのカウンターからは、大広間を見渡せます。

ランナーの朝食準備を手伝う日本人


洗濯はもちろん手洗い。晴れている日にきれいな雨水で服を手洗いして干します。干しているときに雨が降ってしまうこともあるみたいですが、「雨はすすぎ」と村上さんは笑って話してくれました。

洗濯する村上さん

完全な自給自足を目指すトレーニングキャンプ

生活に必要な電気は、基本的には屋根に設置しているソーラーパネルで供給しています。雨が続いて充電が足りないときは、発電機で。調理用のガスは、牛糞をメタン発酵させてつくるバイオガス。まだ改良中で、これが安定的に生産できるようになれば、バイオガスを電気に変換できるようになるそうです。

屋根に設置されたソーラーパネル

バイオガスタンク。手前の穴に、牛糞を入れてガスを発酵させる


ニャフルルでは水道が頻繁にストップするので、常に雨水を溜めています。筆者が取材したときは、日本人のゲストが10名程いたので、給水車を呼んで水を購入してくれました。畑に使用する水が足りなくなった場合は、バケツを持って湿地帯まで行くそう。


牧場にいる牛・豚・鶏・うさぎは、食用もしくは販売用として育てています。毎朝、食卓に並ぶホットチャイにはとれたてのミルクを、スクラブルエッグやオムレツもとれたての卵を使っていて、これがとてもおいしかったのを覚えています。

ひろびろとした牧場

敷地内の草をひたすら食べ続ける子豚たち


食べ物は全て賄うことが理想ですが、足りないものは街の市場に買い出しに行くことも。ニャフルルの市場では、いろんな食材が手に入ります。

顔見知りのおばさんのお店で果物を見定める村上さん


キャンプ運営に必要な経費は、オーナーの吉野さんが支払っており、村上さんは遊興費の約2,000円のみ自腹で払っているそうです。

(※2017年8月23日現在、1ケニアシリング=1.05円で計算)

食と健康をもっと多くの人に伝えたい

最後に村上さんは自分の思いを、こう話してくれました。

「どんなことにも幸せを感じてしまう性格なので、ここニャフルルのキャンプの生活はいつも幸せです。それでも、当然苦労していることもあります。それは、日本人とケニア人との国民性の大きな違いのせいかもしれません。計画性がなくて、時間にルーズな面があります。同じことを何度も説明しないといけない場面もあります」

街で知人と談笑する村上さん


「ランナーたちの将来を見据えた上で、走ることやトレーニングすること、身体によい食事をすること、自分がこれまで培ってきたことを、伝えることに喜びを感じます。選手が身体の変化を感じてくれたり、何かを学んでくれたりしたときは、とてもうれしい気持ちになります。選手たちがモチベーション高く能力を磨ける場所、そんな環境をつくるために何ができるかを考え、これからも取り組んでいきたいです」


(文と写真 青山航)


最終更新日:2017年09月27日


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