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全長1.2キロメートルの「白髭東アパート」を見に行く・鑑賞編

2018年05月16日

夫婦漫才

全長1.2キロメートルの「白髭東アパート」を見に行く・鑑賞編

西村まさゆきのちょっと気になる

全長1.2キロメートルの「白髭東アパート」を見に行く・鑑賞編

写真:団地鑑賞の専門家・大山顕さん提供

赤線地帯を越えて白髭東アパートへ 

全長1.2キロメートル以上もある「白髭(しらひげ)東アパート」は、実は巨大な防火壁であった。


前回の「予習編」では、白髭東アパートと、土木構造物と災害について予習したが、今回は、実際に白髭東アパートがどんなものか、団地鑑賞の専門家・大山顕さん、都市防災の専門家・村尾修教授とともに、歩いて見に行こう。


ツアーは曳舟駅からスタートする。鳩の街通り商店街と小さな街路が入り組む住宅街を抜けて、白髭東アパートを目指す。


曳舟駅前の住宅街を抜ける

鳩の街通り商店街入口

落ち着いた雰囲気の商店街


鳩の街は、かつて赤線と呼ばれた地帯である。いわゆる娼家であったと思われる、タイル張りのしゃれた作りの建物が、路地裏にはいくつか点在している。


小さな路地が入り組む町並みは、レトロな雰囲気もあり、実に味わい深い景観ではあるけれど、もし災害時に大きな火災が発生すれば、その被害は大変なものになってしまうかもしれない。


そんな町並みをぬけると、道の向こうに白髭東アパートが見えてきた。


白髭東アパートが見えてきた

ドーン! でかい!


大きな団地。というのは、色んなところにあるけれど、これが南北に1キロ以上も連なっているのだ。

いざ、「防災拠点」兼住居であることを思い出させてくれる頼もしい建物の中へ

頼もしさを感じる文言


門の車止めに「当団地は防災拠点」とはっきり宣言してある。この言葉に力強さと頼もしさを感じる。


ベランダ側


白髭東アパートは、向島の街、つまり、災害時に火災がやってくると想定される方向に向けてベランダが作られており、火災時には、ベランダに鉄製のシャッターが降りるようになっている。

緑色と、赤色の設備がそれで、赤色の階は、横の棟とつながっていることを示している。そして、避難してきた人が、一気に逃げても大丈夫なように、かなりひろい、ゆるやかな階段が作られている。


大きな階段

寺島門


棟と棟の間には、ゲートが設けられ、建物の西側に広がる防災公園へと抜けられるようになっている。


連結部分の隙間がクッションになっている


この白髭東アパートは、南北に1.2キロメートルあるわけだが、すべての建物がガッチリとつながっているわけではなく、連結部には隙間が空いており、もし、地震が起こった場合、揺れで連結部分が壊れないようクッションの役割を果たしている。


連結部分を中から

建物西側に広がる防災公園


ゲートに名付けられた名前は、地域の名前をそれぞれとっている。最初に見た「寺島門」は、明治時代、向島周辺は寺島村という村であったことが由来だろう。


水神門


水神門のある辺りは、水神を祀る隅田川神社が、防災公園の先にある。


隅田川神社


この神社は、幕末ごろの古地図にはすでに載っており、そのころからこの場所にあるようだ。この敷地が工場として利用された明治時代にも移転することなく、その後、団地が建設されて、防災公園となってもそのままここにあり続けているという。

したがって、神社の参道が防災公園を抜けて団地を突き抜け、団地の外側に鳥居がもうけられている。


団地の裏側から鳥居が見える


まちづくりのため、建物を取り壊したり、移転したりすることはよくあるけれど、さすがに神社をそうするわけにはいかなかった。そのため、鳥居と参道の間に団地を挟むというふしぎな景観ができあがった。

さらに、本来、川を背に建っていた隅田川神社だが、川との間に高速道路ができてしまい、いまでは高速道路を拝んでいるような形になっているところもおもしろい。

このような、ちょっとした違和感のある景観に、町の「ままならなさ」が見えかくれするところが、都市の面白さのひとつだと大山さんは解説してくれた。

ついに団地の中へ――そこから見えるふしぎな景色とは?

特別に許可をもらい、団地の中に入らせてもらった。


景色がよい

廊下部分は普通だ


建物の廊下など、細かな部分を見ていくと、普通の団地と変わりないように見えるが、よくみるとなんだかふしぎなものが目につく。


黄色い物体は、巨大な水タンクだ


真っ黄色で巨大な水タンクが屋上に鎮座している。

これは、実際に火災が起きたときに、周辺の温度を下げるために散水するための水を貯水するタンクだという。


放水銃


屋上のタンクの水は、建物の各所に設置されたこのような放水銃から周りに散水されるという。

食料を貯蔵する団地

村尾教授のうしろに見えるのが食料などを保管している備蓄倉庫


途中、なにやら普通の団地とはちょっと違う雰囲気の建物が、道路を挟んで二棟建っている。これはいったいなんなのか?


村尾教授の解説によると、これは、東京都が貯蔵している災害用の食料などを保管している備蓄倉庫だという。数万人の1週間分の非常用食料が、倉庫の中に備蓄されている。

食料を保管するための巨大な施設があるということだけでも、その白鬚東アパートの特殊性がよくわかる。

それは、祈りの建物であった

北の方にある鐘ヶ淵門までやってきた。


荘厳さが極まっている


柱や、壁に装飾性があり、ちょっと凝って造られているところもおもしろい。


中庭のかっこよさ

巨大な鉄門がすごい

火災のないことを祈る運動


写真では少し伝わりにくいかもしれないが、これらの門や鉄扉は本当に巨大で、さながら、東大寺の南大門や、ローマの古代遺跡を思わせる荘厳さがただよう。

この荘厳さに、人々の祈りのようなものを感じた。


いつかくる大災厄から、我々人間を守ってくれることを祈念して建てられた団地は、昔の人が、古墳や神殿を祈りながら作ったことと、根っこの部分では同じではないだろうか?


白髭東アパートが、本来の使われ方をしないのを願いたいところである。


(取材・文:西村まさゆき)


【取材協力】

最終更新日:2018年05月16日

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