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バリアフリーなエコ住宅に住む 仲間で建てるドイツのアパート

2019年03月12日

夫婦漫才

バリアフリーなエコ住宅に住む 仲間で建てるドイツのアパート

ベルリン発シンプル家事ライフ14

バリアフリーなエコ住宅に住む 仲間で建てるドイツのアパート

協同組合によるアパートに住むご家族

“組合”を作って好きなアパートを建てて運営するという考え方

ドイツにはヴォーヌングスバウゲノッセンシャフト(Wohnungsbaugenossenschaft)という住宅協同組合があります。ヴォーヌングスゲノッセンシャフト、バウゲノッセンシャフトとも呼ばれています。


これは有志者が自分たちのアパートを建てるために、みんなで協同組合を立ち上げ、組合がアパートの建築・管理を行う形態です。協同組合は資金を集めて土地を購入し、建築家と相談しながらアパートを建て、組合員たちがそこに住むのです。


今回はベルリンにある、ヴォーヌングスバウゲノッセンシャフトによるアパートに住むご一家を訪問しました。このアパートの組合員は加入時に出資金を払うほか、各自の住まいの広さに応じて毎月の使用料を支払います。アパート全体は組合員の所有ですから、もし組合を脱退して退去する際はそれまでの住まいを売ることはできませんが、出資金は返金されます。毎月の使用料は、アパートのローンが完済される約25年後には下がる予定。次世代も安定した料金で住めるヴォーヌングスバウゲノッセンシャフトは、家賃や持ち家の価格が急騰しているベルリンでは有意義だと思います。

協同組合員による自分たちの住まい 

さっそくご一家のお部屋を拝見してみましょう。


コンスタンティンさんとヘンリケさんご夫妻は、2人の娘さんと4人で暮らしています。現在住んでいるヴォーヌングスバウゲノッセンシャフトのアパートには、2015年に入居しました。協同組合によってこのアパートができたのは2012年のこと。その当時、ご夫妻はすぐ近くにある築100年程度の一般的なアパート(ドイツでは築100年の建築は普通です)に住んでいましたが、友人を通じてここの存在を知り、組合員になって入居したのです。


アパート内の各住まいの間取りや広さはバリエーションがあり、ご家族の住まいは115平方メートル。リビング&ダイニングと子ども部屋、寝室、ゲストルーム、バスルーム、ゲストトイレがそれぞれ一つずつあり、さらに物置部屋も付いています。


広いダイニングキッチンの床でお絵かきをする娘さん。キッチンはblock modul kücheというメーカーの製品


玄関の扉から室内に足を踏み入れると、すぐに広々としたリビング&ダイニングが目に入るのでとても開放的。コンスタンティンさんは「このオープンな空間が気に入っています」と言います。


キッチンは以前の住人が置いていったものに、部分的に足して使用しています。壁一面にペイントした赤に白い什器がとてもよく映えています。


リビングの一角には子ども用の机と椅子があり、子どもたちがお絵かきや工作などを楽しめます。家族が一緒に時間を過ごせる工夫です。


玄関右手手前にダイニングキッチン、その奥にリビングがあります

  

リビングの一角が姉妹のクリエイティブスペース


以前の住まいでも使っていたというミッドセンチュリーの北欧家具は、ベルリンのユーズドショップで購入したもの。「1点もので、シンプルできれいなデザインが好きなんです」と、ヘンリケさん。流行に左右されないデザインだからこそ、モダンな家具とミックスしても違和感なくなじみます。  


美しく、ほかの家具とも調和しやすい、ミッドセンチュリーの北欧家具

ドイツの省エネ住宅 

このアパートは省エネ住宅・バリアフリー住宅でもあります。

たとえば、南側と西側に向いた大きな2つの窓は、3層ガラス構造。断熱性・気密性・防音性に優れています。冬は控えめな暖房で済み、ご家族のすぐ上のフロアに住んでいる人は暖房を一切使っていないのだとか。窓を閉めれば、外の騒音はまったく気になりません。


リビングにある3層ガラス構造の大きな窓。床暖房もあり、冬も快適な室温を保ちます


そのほか、最新型のガスコジェネによる低温水セントラルヒーティングとガス給湯による給湯があり、発電も行っています。屋上緑化もされており、環境に優しいだけでなく、人々にとっての憩いの場にもなっています。 


廊下やエレベーターの出入口などの通行部分は、車椅子も通れる広さ。バリアフリーな設計は、誰にとっても快適な住まいといえます。


緑化された屋上は子どもの遊び場や、休日のブランチの場所として人気


アパートが省エネ住宅であるのは、このヴォーヌングスバウゲノッセンシャフトがドイツ復興金融公庫(KfW)から資金を借りていることと関係しています。一定の省エネ住宅基準を満たした建造物を建てる場合には、ドイツ復興金融公庫で低金利長期ローンを組め、助成金も出ます。ドイツには省エネルギー法が存在し、省エネ住宅の新築や古い建造物を省エネ化するための改修を、国を挙げて助成しているからです。

豊富な共有スペースと、ご近所づきあい 

このアパートの組合員は年代も幅広く、シングルから2人暮らし、子どものいる家庭まで家族構成もさまざま。家族構成の変化によって、組合員同士が互いの住まいを交換したケースもあるそうです。


住人のための共有スペースもそろっています。たとえば共有ルーム。ここで組合員ミーティングが開かれるほか、ヨガ教室やクリスマスパーティーなどが行われています。使用希望者は、専用のメールアドレスに申し込むシステムです。


キッチン付きの共有ルーム。ソファコーナーもあります


アパートの敷地内にあるガーデンなので、子どもたちが安心して遊べます


共有ガーデンでみんなで飼育しているウサギ


そのほか共有ガーデン、共有のゲスト用アパート、洗濯機と乾燥機完備の共有洗濯スペース、共有作業スペース、そして共同で飼育しているウサギが庭にいます。こうした共有スペースの一部は、当番制で管理をしています。ですから組合員になるには、単にこの住まいに入居したいだけではなく、ほかの組合員たちと一緒に住まいに関して取り組む姿勢が大切です。現在このアパートは満室でウェイティングリストがあるそうですが、組合員になるにはほかのメンバーたちの承認が必要です。


そうした経緯を経るからこそ、住人同士のコミュニケーションも盛んです。アパート内の子どもたちが一緒に遊んだり、お隣さん同士で道具の貸し借りを行うことも日常とか。ヘンリケさんは「『ちょっと卵を貸して』なんてこともあるんですよ」と笑って話してくれました。日本の大都会では失われつつあるという「ご近所付き合い」が、ここでは今も残っています。


文と写真/久保田由希

東京都出身。日本女子大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライターとなる。ただ単に住んでみたいという思いから、2002年にベルリンに渡り、そのまま在住。著書、雑誌、インターネットを通してベルリンやドイツのライフスタイルについて伝えている。主な著書に『ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方』(産業編集センター)『歩いてまわる小さなベルリン』『心がラクになる ドイツのシンプル家事』(大和書房)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか多数。

最終更新日:2019年03月13日

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