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築140年以上の歴史的建造物のお宅拝見 室内はモダンにリフォ...

2019年06月13日

夫婦漫才

築140年以上の歴史的建造物のお宅拝見 室内はモダンにリフォーム

ベルリン発シンプル家事ライフ17

築140年以上の歴史的建造物のお宅拝見 室内はモダンにリフォーム

今回お邪魔した、法律で指定された歴史的建造物。新旧を合理的に組み合わせる考え方とは?

「デンクマールシュッツ」とは? 

──歴史的建築は単に古いからだけではなく、手入れをされ続けているからこそ価値が上がる──今回は、歴史的価値のある住まいで暮らす魅力をお伝えします。

ドイツの町を歩くと、築100年を超える建造物は当たり前で、中世からの建築が残っていることも珍しくありません。そうした歴史的な建造物を守る法律が存在しているのです。

法律によって守られている建造物や庭園をドイツ語で「Denkmalschutz(デンクマールシュッツ)」と呼びます。「デンクマール」は記念碑や文化財という意味。「シュッツ」は保護です。そのまま直訳すれば「デンクマールシュッツ」は文化財保護になるのですが、日本の文化財とドイツの文化財は内容が多少違います。日本の文化財は建造物のほかに美術工芸品や無形文化財も含まれますが、ドイツでは建造物や庭園などで、無形文化財は含まれません。

そこで、この記事ではそのまま「デンクマールシュッツ」という言葉を使いたいと思います。


「デンクマールシュッツ」表示プレート。デザインはドイツ各州によって異なります。

急激な開発から「デンクマールシュッツ」が活発に 

ドイツにおける、歴史的な建造物や庭園を守ろうという「デンクマールシュッツ」の考えは、建築家カール・フリードリヒ・シンケル(1781~1841)が提唱したもので、当初は中世の時代に建てられた教会や宮殿を対象に考えられていました。

それから時は過ぎ、第二次世界大戦後に西ドイツの経済は急成長を遂げました。歴史のある建物は壊され、その代わりにコンクリートなどによるモダンな建築が次々と建てられるようになりました。

1970年代に入ると、急激な開発を危惧する意識が高まり、歴史的建造物を守ろうという動きが活発になります。1975年のヨーロッパ建築遺産年は、「デンクマールシュッツ」は教会や宮殿だけではなく、一般住宅にも当てはめるものであると考えるきっかけとなりました。

そうした流れを受けて、70年代から徐々に西ドイツ各州と東ドイツで「デンクマールシュッツ」に関する法律が公布され、改正されながら現在に続いています。この法律は現在も各州によって異なり、ドイツ全体のものではありません。「デンクマールシュッツ」に関することも、各州の管轄になります。

噴水のある、公園のような広い敷地 

今回お邪魔したお宅は、ベルリンの「デンクマールシュッツ」に登録されている元病院の建物です。敷地内に何棟も並んでおり、最も古い建物は1871年から73年にかけて建てられたとのことなので、築140年以上ということになります。敷地内にある建物の建設は1911年まで続きました。


メインの建物の前には噴水があります。


敷地内には噴水があり、庭も「デンクマールシュッツ」に指定されています。

門をくぐると、いくつもの建物が並び、その間に芝生の庭や、子どもの遊び場があります。お目当ての建物にたどり着くまでに、門から歩くこと数分。まるで公園に来たようです。


こうした建物が敷地内に何棟も並んでいます。


子どもは敷地内で遊べるので安心。

歴史的建造物の室内は?

いよいよ目的の建物に到着。

扉を開けて建物のなかに一歩入った途端に、あっと驚きました。外観からは想像もつかないような真っ白くきれいに塗られた壁と、廊下のモダンなデザインのライト。ホテルのような内装です。

家の中にお邪魔すると、やはり廊下と同じようにモダンでクリーン。じつはこの建物は、約20年前に大規模な改装が行われたそうなのです。


外観とは対象的に、室内はとってもモダン。


「デンクマールシュッツ」指定の建物には、改装や改築には多くの制限がかけられています。しかし、まったく改装ができないわけではありません。

どの建物も歴史がありますから、建設当時のオリジナルをそのまま残すことは現実的ではありません。当時はバスやトイレが室内にないことが多く、セントラルヒーティングもありませんでした。また、ここは病院でしたから、一般の住居とは造りが違います。さらに、2度の世界大戦によって打撃を受けています。

ですから、現代の状況に合わせて、歴史的な要素を失わないように配慮をしながら改装をしているのです。何をどのように改装するかは、物件によってケース・バイ・ケースであることが実情のようです。

この建物では、室内は一般の住居のように、壁にカラーペイントすることも問題なくできるそうです。

前の住人から一部の家具を引き継ぐ

ここに住むファミリーは、入居してからまだ約2ヵ月。新居を探していたところ、知人からここを紹介されたそうです。ここは賃貸住宅ですが、同じ敷地内のほかの住居は持ち家のケースも多いとのこと。

住まいは2フロアから成るメゾネットタイプで、玄関から室内に入ると広々としたリビングダイニングキッチンが。そこから階段を下りると仕事部屋と寝室、バスルームがあります。


リビングの端に、下へ降りる階段があります。


以前の住人から買い取ったシステムキッチン。


この住まいでは、ベルリンの一般的な賃貸住宅と同様に、本来ならばキッチン設備(吊戸棚などの収納)は付いていませんでした。しかし、それまで住んでいた住人からこのキッチンを買い取って使用しています。そのほか、バルコニーの家具やバスルームの棚なども一緒に買い取ったそうです。こうしたことは、ベルリンの賃貸住宅ではよく行われています。


「デンクマールシュッツ」指定の庭園に面したバルコニー。

歴史的価値を保ちながら、合理的に改装する

窓ガラスは現代の規格による製品が使われています。昔のままのガラスでは気密性が低いので部屋が寒いですし、その分暖房を使うことにもつながって環境にも負荷がかかります。現代のガラスならそうしたデメリットはありません。

「窓を閉めれば、通りの騒音はほとんど聞こえなくて静かです」と、ここにお住まいのファミリーは言います。


バルコニーに面した窓ガラス。


先に書いたように、「デンクマールシュッツ」指定となっても、現代の生活に合わせて改装していることがわかります。合理的な考え方だと思います。古民家だからといって、住人が不便を我慢して住んでいるわけではありません。ただし、改装の内容はケース・バイ・ケースです。

住人による任意の活動も活発

敷地内には、住人共同の子どもクラブもあるそうです。

また、有志の住人たちが一緒に庭に植樹することもあるそうで、ここに住む上での共同体的な意識が多少なりともあるのかもしれません。もちろん庭園の管理は、管理会社が行っています。


植物が植えられた敷地内の庭園。


バルコニーも植物できれいに飾っているお宅が多く、歴史的価値のある家に住むことで、外観を美しく保つという意識も芽生えるのかもしれないと思いました。


文と写真/久保田由希

東京都出身。日本女子大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライターとなる。ただ単に住んでみたいという思いから、2002年にベルリンに渡り、そのまま在住。著書、雑誌、インターネットを通してベルリンやドイツのライフスタイルについて伝えている。主な著書に『ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方』(産業編集センター)『歩いてまわる小さなベルリン』『心がラクになる ドイツのシンプル家事』(大和書房)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか多数。

最終更新日:2019年06月14日

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