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80年前のベルリンの団地に見る、コンパクトな住まいのインテリ...

2019年07月09日

夫婦漫才

80年前のベルリンの団地に見る、コンパクトな住まいのインテリア

ベルリン発シンプル家事ライフ18

80年前のベルリンの団地に見る、コンパクトな住まいのインテリア

団地ミュージアムのダイニングキッチン

80年前のドイツのモダニズム建築からインテリアを学ぼう 

ベルリン中心部の住まいは、ほとんどが集合住宅です。建設された年代によってさまざまなタイプがありますが、中には日本の団地と同程度の広さの集合住宅もあります。

今回は、ミュージアムとして一般公開されている築80年以上の団地の一室をご紹介しながら、快適なインテリアについて考えてみたいと思います。

ベルリンの集合住宅のタイプ 

ベルリンの集合住宅にはいくつかのタイプがあります。よく見かけるのは「アルトバウ」と呼ばれるもので、ベルリンではその多くが1800年代後半から1900年代初頭に建てられています。天井高が3メートルを超え、広々と感じられます。


ベルリンのアルトバウの一例


1920年代以降になると、モダニズム建築と呼ばれる住宅が建てられるようになります。都市化によって急速に人口が増え、住宅不足に陥っていた当時のベルリンでは、労働者向けにモダニズム建築の大規模な団地が各地で生まれました。 


アルトバウに比べて天井は低く、コンパクトですが、労働者にも払える低家賃でキッチンやトイレが付いています(当時のアルトバウには室内にトイレがない場合が普通でした)。アルトバウに比べて日当たり・風通しがよく、機能的に設計されていることが特徴です。

45平方メートルに4人住むことを想定していた1930年代の団地 

今回ご紹介する「ハーゼルホーストのミュージアムアパート」(Museumswohnung in Haselhorst)は、ベルリン北西部のハーゼルホーストという地域にある、モダニズム建築の団地の一室にあります。


ベルリンのハーゼルホースト団地の一部


ハーゼルホースト団地は1930から35年に建てられた、全3448戸、約1万2000人を擁した(1935年当時)大規模団地で、現在は歴史的建造物としてデンクマールシュッツ(デンクマールシュッツに関してはこの連載、前回の記事「築140年以上の歴史的建造物のお宅拝見 室内はモダンにリフォーム」をご覧ください)に指定されています。 


ハーゼルホースト団地の一部。緑色のバルコニーは1990年代にできたそうです


「ハーゼルホーストのミュージアムアパート」は、この団地が2003年から2013年に改修された際に建設当時の様子を残すためにできた、月に1回限定で公開される施設です。


先日、私はその公開日にミュージアムを訪れました。内装とインテリアは1930年代当時の様子を再現したもので、係員の方が詳しく説明してくださいました。


公開日には、通りにミュージアムの看板が出ています


室内はリビング、寝室、ダイニングキッチン、バスルームという構成で、合計45平方メートル(団地間で約31.14畳)。当時のベルリンの公共住宅基準では、45平方メートルで4人(両親と子ども2人)を想定していたそうです。日本の団地とそれほど変わらない面積です。係員の方によれば、なんとこの広さに8人家族が住んでいたこともあったそうです。

絵を飾って空間を引き締める 

まずはリビングを見てみましょう。この部屋は14.95平方メートル(団地間で約10.34畳)で、もっとも広い部屋です。ミュージアムではリビングとして再現されていますが、子どもがいた家庭では、この部屋は両親の寝室として使われていたそうです。


1930年代当時を再現したインテリア


ソファにコーヒーテーブルと、現代とあまり変わらないインテリアです。ソファの背後の壁には絵が飾ってあるのも、現代と同じ。ソファの背後はぽっかりと空間が空きがちなので、絵を飾ると引き締まります。 


ソファの前にある戸棚には、日曜日にコーヒータイムを過ごすための特別な食器が入っています。今でも、リビングルームの一角にティーセットやバーコーナーを設えているお宅をよく見ます。しかし来客が少なければ、普通の収納家具を置くほうが合理的ですね。


窓の近くにアイロン台があるのは、そこでアイロンがけを行っていたからだそうです。

統一感のあるカラーコーディネートですっきりと見せる 

次はダイニングキッチン。ダイニングの隣に、キッチンが続いています。

 

左端に見えるのは食器棚。食卓には引き出しが付いていて、中にはカトラリーが入っています(食卓上の青いポットやコーヒーカップは、係員の方たちのものです)


ダイニングとキッチンの間に扉はありません


ダイニングキッチンは、当時も今も住まいの主役となる場所です。もちろんリビングもありますが、多くのドイツ人が「食卓で家族団らんの時間を過ごしますね」と話します。


下半分がベビーピンクの明るい壁は、ダイニングという場所にぴったり。じつはこのベビーピンク部分は、赤茶色に塗られた床(当時主流の床色でした)と上半分の白い壁と調和させる役割を果たしているのです。しかも暖色は食欲を増進させるので、ダイニング向きと言えます。


この空間に使われている色は、白とピンク系がほとんど。コンパクトな場所をすっきりきれいに見せるには、このように色数を絞るのがポイントです。

パターンローラーでリーズナブルに壁紙風に 

最後は寝室です。寝室は心身を休める場所なので、気持ちを落ち着かせる寒色が壁の色に使われています。


寝室の広さは11.15平方メートル(団地間で約7.71畳)


壁に近づいてみました


この壁、一見すると壁紙のようですが、じつはよく見るとペイントされたものなのです。パターンローラー(模様が彫られたローラー)にペンキをつけて壁に塗る方法でペイントされています。

1930年当時は貧しくて物資も限られていたので、壁紙はほとんど手に入らなかったのだとか。そこで、当時発明されたパターンローラーが使われたのでした。パターンローラーは今でもインテリアショップで売られています。


「ハーゼルホーストのミュージアムアパート」を見学して、コンパクトな住まいで快適に暮らすポイントが見えてきました。今から約80年前でも、インテリアの基本は変わらないのだと実感しました。


文と写真/久保田由希
東京都出身。日本女子大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライターとなる。ただ単に住んでみたいという思いから、2002年にベルリンに渡り、そのまま在住。著書、雑誌、インターネットを通してベルリンやドイツのライフスタイルについて伝えている。主な著書に『ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方』(産業編集センター)『歩いてまわる小さなベルリン』『心がラクになる ドイツのシンプル家事』(大和書房)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか多数。


参考サイト

最終更新日:2019年07月09日

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