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コルビュジエが設計したベルリンの集合住宅 その室内と住人の暮...

2019年11月19日

夫婦漫才

コルビュジエが設計したベルリンの集合住宅 その室内と住人の暮らしぶりは?

ベルリン発シンプル家事ライフ22

コルビュジエが設計したベルリンの集合住宅 その室内と住人の暮らしぶりは?

ル・コルビュジエ設計によるベルリンの「ユニテ・ダビタシオン」。

モダニズム建築を代表する建築家の一人、ル・コルビュジエ 

建築やインテリアが好きな人なら、ル・コルビュジエ(以下、コルビュジエ)の名前を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか? コルビュジエは、1887年にスイスに生まれ、フランスを拠点にさまざまな建造物や家具を設計した建築家。モダニズム建築(近代建築)を代表する建築家の一人で、代表的な作品としてパリ郊外のサヴォア邸や、ロンシャンの礼拝堂などが挙げられます。東京の国立西洋美術館本館もコルビュジエによる設計。LCシリーズと呼ばれる家具シリーズも有名です。


そのコルビュジエが設計した集合住宅が「ユニテ・ダビタシオン」です。コルビュジエが以前から構想を練っていた近代的な都市計画をこの集合住宅に取り入れるべく設計しており、建物のなかに個人の住まいと店舗などの公共スペースをともに入れたのは、具現化されたアイディアの一つでした。


部屋の大きさや天井の高さなどの寸法は、コルビュジエが人体のサイズと黄金比を元に生み出したモデュロールという寸法体系によって設計されています。


「ユニテ・ダビタシオン」の外壁にモデュロールが示されています


「ユニテ・ダビタシオン」はフランスに4ヵ所とドイツ・ベルリンに1ヵ所あります。今回はベルリンの「ユニテ・ダビタシオン」の住まいを見学してきました。

収納スペースと大きな窓が生む広い室内 

ベルリンの「ユニテ・ダビタシオン」は、1957年に開催された「インターバウ」という国際建築展のために設計され、1956年から58年に西ベルリン郊外に建造されました。17階建てで、530戸を擁した集合住宅です。住まいの間取りは1DKや2DKなど、いくつものタイプがあります。


「ユニテ・ダビタシオン」内のAさんの住まい。入り口から室内を見たところ


リビング・ダイニング奥に寝室へ行く階段があります


ここで一人暮らしをしているAさんの住まいは、リビング・ダイニングと寝室兼書斎の2部屋のほかに、キッチンとバスルームという間取り。2フロアからなるメゾネットタイプで、下のフロアにキッチンとリビング・ダイニング、室内の階段を上ると寝室兼書斎とバスルームがあり、合計の広さは約66㎡。私はもっとコンパクトな部屋を想像していましたが、室内はとても広々としています。 

  

上のフロアにある寝室兼書斎


室内を広く感じるのは、恐らく2点ポイントがあると思います。

1つは家具が少なく、すっきりとしていること。リビング・ダイニングにはテーブルや椅子が整然と置かれているだけ。じつは、階段の下がすべて収納スペースになっているのです。


収納スペースが充分に確保できているため、部屋には大きな収納家具を置く必要がありません。この「ベルリン発シンプル家事ライフ」の10回目で「インテリアが生きる収納方法 見せる場所と収納スペースのメリハリがポイント」という内容を書きましたが、この部屋はまさにその見本といえます。収納スペースは、階段を上った踊り場にもあります。


2つ目のポイントは、部屋の正面に大きな窓があり、開放感があることだと思います。窓は東向きで、午前中は室内に日が差して明るいのだとか。窓の外には建物の周囲に植えられた木々が見えて、眺めも上々です。もちろん、そうした生活シーンを考えて設計されています。

オリジナルのまま内装 

Aさんのお宅は、建設当初のオリジナルの状態のまま。ほかのお宅は内装が変わっていることもあるそうで、ここは貴重な存在です。もちろん築約60年の建築なので、壁の塗り直しなどの手入れは行われています。しかし色やデザインは変わっていません。


ペパーミント・グリーンのリビング・ダイニングの壁


リビング・ダイニングの壁が淡いペパーミント・グリーンにペイントされているのも設計通りのまま。コルビュジエは色に強いこだわりを持っていました。部屋にいると、窓外の木々の緑が室内にもあるように感じられます。


オリジナルの状態を保ったキッチン。写真右の上の戸棚は冷蔵庫、下はAさんが新たに入れたドラム式洗濯機


二槽シンクのあるキッチンもオリジナル。ただし、設計当初はキッチンに洗濯機を入れるスペースが考慮されておらず(ドイツの住まいでは、洗濯機は水回りのあるキッチンかバスルームに置くことが普通です)、Aさんが後から入れたものです。

幸いここには洗濯機につなげられる水道栓がキッチンにありましたが、1Kタイプの住まいではそれがなく、1階(ドイツの地上階)にある住民共同の洗濯ルームで洗濯をするそうです。西ドイツで洗濯機が普及し始めたのは1960年代の終わりからだそうで、この住宅が設計された当初は考慮する必要がなかったのでしょう。


エレベーターホールには合計3基のエレベーターがあります。各フロアはそれぞれ「1番通り」「2番通り」という名前がつけられています

 

各フロアの廊下を一つの通り(ストリート)と見立てていました。玄関扉の色は、フロアごとに異なります


Aさんはユニテ・ダビタシオンに暮らし始めて約7ヵ月。実際に住んでみて、建物内に3基しかないエレベーターが混み合うときや、先に書いた洗濯機置き場のような不便さを感じることもあるそうです。

住人の強いコミュニティー意識 

この記事の冒頭で「コルビュジエが以前から構想を練っていた近代的な都市計画を、この集合住宅に取り入れるべく設計した」と書きました。その例として、建物内にスーパーマーケットが入店していたこともあったそうです。しかし、現在は1階ホールに小さなキヨスクが入っているだけ。Aさんは、日常の買い物は市内中心地でしています。


1階ロビーには、コルビュジエとユニテ・ダビタシオンに関する展示があります


時代の変化などでコルビュジエの構想通りにはならなかった点もありますが、ユニテ・ダビタシオンの住民同士が頻繁にコミュニケーションを図っていることは、ある意味計画通りだったとも言えそうです。例えば、廊下には住民が自分の住まいで行うヨガ教室や写真展の告知ビラが貼られており、誰でも参加できるとのこと。コルビュジエの考えた都市は、こうした形で生きているのかもしれません。


文と写真/久保田由希

東京都出身。日本女子大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライターとなる。ただ単に住んでみたいという思いから、2002年にベルリンに渡り、そのまま在住。著書、雑誌、インターネットを通してベルリンやドイツのライフスタイルについて伝えている。主な著書に『歩いてまわる小さなベルリン』『心がラクになる ドイツのシンプル家事』(大和書房)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)ほか多数。


参考文献

ジャン・ジャンジェ著・藤森照信監修『ル・コルビュジエ』(創元社)

最終更新日:2019年11月19日

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