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団信の仕組みは普通の生命保険とは異なる。住宅ローンを借り入れた人が被保険者となり、金融機関が生命保険会社と契約する。(写真:アフロ)
ほとんどの住宅ローンは契約時に団信への加入が求められる
「団信」と聞いて、まったく聞き慣れないという反応を示したなら、これまで賃貸物件にしか住んだことがない人かもしれない。一方、住宅を購入したことがある人なら、誰もが知っている言葉だろう。
団信とは「団体信用生命保険」の通称。ほとんどの金融機関では、住宅ローンを借りる際、団信の加入が条件になっている。
団信の保険金は、住宅ローンの契約者が死亡したり高度障害を負ったりしたときに支払われる。その保険金で住宅ローンを返済する仕組みで、住宅ローンを貸した側は貸し倒れを防げて、借りた側は支払い不能で家に住めなくなるリスクを解消できるのだ。
住宅ローンの低金利で団信の保障範囲が拡充
この団信、2000年頃から徐々に進化をしている。特に最近では、住宅ローンの低金利化によって差別化が難しくなった金融機関が、死亡や高度障害から保障範囲を広げることでアピールし、契約につなげようとしているのだ。また、団信の支払いは住宅ローン金利に組み込まれるケースも多いが、保障範囲を拡充した団信の場合、貸し手側は、通常の住宅ローンよりも金利を高く設定できるといったメリットもある。
では、いったどのように団信の保障は拡充しているのだろうか。日本で初めて保障を拡充した団信である「ガン保障特約付団体信用生命保険」を開発したのは、ガーディフ保険だ。以降、各社とも三大疾病に対応した団信を拡大させていった。
三大疾病とは、「がん(悪性新生物)」「急性心筋梗塞」「脳卒中」のことで、日本人の死因ワースト3。これらの病気は、治療が長引く傾向があり、働けない期間も長期化しがちだ。そんなとき、三大疾病に対応した団信に入っておけば、不安をやわらげることができるだろう。
三大疾病は日本人の死亡原因の約半数を占めている。(写真:アフロ)
三大疾病の次に拡充したのは、八大疾病だ。これは、三大疾病に「高血圧症」「糖尿病」「慢性腎不全」「肝硬変」「慢性膵炎」の5つを加えたものである。
最近ではさらに保障が拡充。日常の病気やケガまでカバーする団信も出てきた。例えば、住信SBIネット銀行には、精神障害を除くどんな病気やケガでも保障する「全疾病保障」の団信が存在する。他の会社にも全疾病保障は存在するが、住信SBIは金利に上乗せをしないのが特長だ。
フラット35の団信が大幅にリニューアル
フラット35の団信にも10月1日から新しい保障が加わった。これまでは、高度障害と死亡を対象にした団信と三大疾病を対象にした団信があったのだが、この適用範囲が変更される。
高度障害と死亡を対象にした団信では、高度障害が身体障害保障に変更。国内では初めての内容で、身体障害者福祉法に定める 1級または2級の障害に該当した場合は、債務が弁済される。これにより、ペースメーカーの植え込みや人工透析も保障対象になるケースがあるという。
三大疾病を対象にした団信では、前述と同じく高度障害が身体障害保障に変更。そして、介護保障が追加された。これは、傷害または疾病を原因として公的介護保険制度による要介護2~5に該当する場合、債務が弁済されるというものだ。
写真はフラット35が発行するチラシより抜粋。
ちなみに、フラット35の団信は住宅ローンに組み込まれるタイプではなく、団信特約料を年1回支払う必要があったが、10月1日以降は金利に上乗せされるため、特約料の別払いは不要になった。
この金利は試算のために作成した仮の数値。新しい団信は団信加入に必要な費用が金利に含まれるため、旧に0.28%を加算して計算している。
自分たちのライフスタイルや加入している保険を加味して団信を選ぶ
団信の保障範囲が拡充することで、安心感につながることは間違いない。ただし、その分、住宅ローンの金利が上がってしまうケースもある。
一言に団信といっても、利用する住宅ローンによって費用負担や保障範囲、適用条件などは様々だ。まずは、しっかりと比較検討し、自分達にあったものを探すことが大事になる。就業不能保険に加入している場合などは、団信と保険の保障内容が被らないか確認することを忘れずに。
保険はとどのつまり、確率論になる。多少、支払う金額が高くなっても安心の為に加入するのか、それとも、最低限の保障にして、浮いたお金を万が一の貯蓄に回すのか。どちらが正解とういうわけではないので、支出のバランスを考えつつ、本当に疾病保障が手厚いほうがいいのかを熟考するようにしたい。
参考サイト
最終更新日:2017年10月06日
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