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もしも自分が住んでいるマンションで殺人事件が起きたら……

2018年04月04日

コージー 林田

もしも自分が住んでいるマンションで殺人事件が起きたら……

警察から事情聴取されたりするの?

もしも自分が住んでいるマンションで殺人事件が起きたら……

写真はイメージ。(写真/アフロ)

殺人があった部屋は「心理的瑕疵」があると認められる

賃貸物件では、なにかしらの理由で居住者が死亡した部屋を「事故物件」と呼ぶ。明確な定義はないが、前居住者が殺人や傷害致死、自死、事故などで死に至った場合、心理的瑕疵(かし。キズや欠陥)があると認められ、宅建業法が定めた「重要事項の告知義務」が発生する。最近は、事故物件を表示するサイト「大島てる」が有名になったので、自分が住んでいる賃貸物件を調べたことがある人も多いかもしれない。


巷では、「事故物件に住んでみました」といった内容のブログもあるが、筆者の場合は、少し異なる。以前、住んでいるマンションで殺人事件が発生したのだ。ある意味、事故物件が誕生した瞬間である。「大島てる」でそのマンションを検索すると、事故があったことを示す炎のマークがついているが、当時のことを思い出すとあまり気分がいいものではない。


では、自分が住んでいるマンションで殺人事件が発生したら、いったい、どのようなことが起こるのだろうか。

会社から帰ると、マンションの入り口に規制テープが……

私が事件を知ったのは、会社から帰った夜。マンションの入り口に立ち入り禁止の規制テープが貼られて、制服の警察官が立っていた。「なにかあったのですか?」と尋ねると「殺人事件があった。もしかすると後で話を聞くかも」とのこと。部屋番号や事件に関する詳しい説明はなかったし、こちらからも詳しくは聞かなかった。


その夜、事件は全国版のニュースでも取り上げられ、翌朝のニュースでは、マンションの空撮映像も流されていた。どうやら、他殺死体が発見され、犯人の目星はついていないらしい。


出勤しようとマンションを出たら、複数のテレビカメラとマスコミ関係者が待ち構えていた。レポーターらしき人間から「不審な物音はしなかったか?」などと聞かれたが、時間もなかったので「急いでいるので」とスルー。マスコミは、エントランスを出入りする人間をカメラで撮影していた。当時住んでいたマンションはオートロックだったので、もしかしたらマンション内に犯人がいることも想定していたのかもしれない。

 

写真はイメージ。(ペイレスイメージズ/アフロ)


ちなみに、私のマンションを知っていた同僚や友人は、ほぼ全員が「自首しろよw」と言っていた。私も逆の立場なら、つい言ってしまいそうな軽口だ。しかし、多少なりとも関係する立場になってみると、かなり気分が悪い。もし周りで同じような状況があったとしても、こんなジョークは自重するように。


犯人はすぐに捕まらず、報道も過熱していった。事件に関しては管理会社や警察から説明らしき説明はなく、ニュースで捜査状況を知る程度だった。自分の生活にも大きな変化はなかった。強いていえば、夜、部屋を真っ暗にしてベッドに入っていると「このマンションで人が死んだのか」と、嫌な気分になるといった程度。とはいえ、この嫌な気分を払拭したく、引っ越しを考えて動き始めた。

事件に関して警察から話を聞かれることに!

そんななかでも、非日常な経験もあった。警察から事情聴取を受けたことだ。当時、筆者の仕事は雑誌の編集者で、働き方改革といった概念などない時代。夜は終電を逃してタクシーは当たり前。朝も撮影で早朝から出勤していた。土日もないような忙しい状況である。警察はマンションの住人全員に話を聞いていたようだが、こういった状況だったので、訪ねても在宅しておらず、なかなか筆者から話を聞けなかったようだ。電話がかかってきて、日程を調整して部屋に来てもらうことになった。


訪ねてきたのは、二人の刑事。一人は若く、寡黙でむすっとした感じ。一人は年輩で人当たりが柔らかい。「刑事ドラマのまんまだな」と思ったのを覚えている。意外だったのは、警察手帳の提示とともに、しっかりと名刺を渡してきたこと。普通の名刺というより、この事件の捜査本部が記されていた気もするが、個人名と連絡先が記載してあった。


最初は、被害者の写真などを見せられて「この人を見かけたことはありますか?」とか「普段から大きな物音を聞いたりしたことは?」という質問。被害者を見かけた事もなかったし不審な音も聞いたことがなかったので素直に答えていると、「ちなみに、○月○日の××時頃は、どこにいましたか? いや、形式的なものなんで」とさらっと聞いてくる。「これ、古畑任三郎で見たぞ」と思いながら、「自宅で寝ていたと思います」と返事をすると、「証明できる人はいますかね」と続く。独身で彼女もいない悲しさ、「いえ、一人で寝ていました」と答えた。


「なるほど~」とちょっと溜めて返事をする年輩の刑事とじーっとこちらを見据える若い刑事。えーと、もしかして疑われている……?万が一の万が一、何かの間違いで疑われでもしたらどうしよう。ちょっと焦りながら、「寝る前には△△の番組をやっていたので、××時くらいまでは起きていたと思います。別に変な音もしませんでしたよ」などと聞かれてもないことをペラペラ。無性に喉が渇いて、自分でも少し緊張しているのが分かった。100%やましいことはないのに……。

 

写真はイメージ。(ペイレスイメージズ/アフロ)

なぜか刑事に昼食に誘われることになる

その後、「表に停めてあるバイクはあなたのですね」とか「お父上の職業は○○ですね」とか「お仕事は○○ですね」など、「調べはついている」と言わんばかりに、こちらの個人情報をまくし立てる。まあ、管理会社に聞けば分かることばかりなのだが……。最後に、通勤ルートや1日のスケジュールなども聞かれて、事情聴取は終了。


意を決して、「全員にこんなに詳しく聞いているんですか?」と尋ねると、「犯人が捕まってないんで、マンションの皆さんが事件に関係していないってことを確認するために、できるだけ詳しく聞いています」とのこと。モノは言いようだな、オイ。


話していた時間は、20~30分だったと思うが、やたらと長く感じた。やっと終わったと思いきや「この後、時間ありますか」と声をかけられる。「署の方でゆっくりと話を聞かせてください」なんて言われたらどうしよう。「任意ですか」と言えばいいのか? いや、それって犯人が発する台詞じゃないか。高速で脳内会議をしていると「昼時ですし、ご飯どうですか。協力していただいたお礼に、ごちそうしますよ」と予想外の一言。なんじゃそりゃ、と気が抜けてしまった。


マンションを出ようとしたら、「少し時間をおいて出てきて下さい。駅の近くにいるファミレスに向かっているので、追いかけてもらえますか」とのこと。理由を聞くと「外にはまだマスコミがいます。一緒に出ると、任意同行されていると勘違いされるかもしれませんからね」と説明してくれた。余談だが、後日、警察関係者にこの話をすると、「それだけの気遣いができる人は、かなりベテランで仕事ができるな」と言われた。


しかし、なぜ昼食に誘ってくれたのか。どうやら、筆者の態度が非常に協力的で、また、印象も良かったかららしい。警察から事情を聞かれるのは、気分のいいものではない。もしかすると、筆者の緊張が伝わり、申し訳なくなって、その罪滅ぼし的な意味合いもあったのかもしれない。食事の席では若い刑事も饒舌で、筆者が担当していた雑誌がクルマ関係だったこともあり、カー談義で盛りあがった。


その取り調べから数日後、犯人は特定され、捜査は終了した。管理会社や警察から、改めてなにかしらの説明は来なかった。

 

写真はイメージ。(ペイレスイメージズ/アフロ)

事件がおきて間を置かずに、新しい入居希望者が現れる

事件が起きたのは、丁度マンションの更新月だった。しかし、殺人事件が起きたマンションにあと2年も住み続けるのはキツい。すぐに契約を更新しない旨を申し出た。契約更新をしない場合、1カ月以上前に連絡する必要がある。契約書には、連絡がない場合は、更新料が発生すると明記してあった。事件が起こる前は更新するつもりだったので、すでに更新日まで1カ月を切っている。しかし、管理会社からは「今回は事情が事情だけに、請求はしません」と連絡がきた。


スピーディーに物件を探し、片付けを済ませて、いざ、退去の日。筆者がマンションを後にするその時、若々しい男の子と母親が、不動産屋と一緒にマンションに入っていった。内見か、それとも引っ越してくるのか。「重要事項告知義務はマンション全体に適用されるんだっけ?」などと考えながら、告げ口してまで知らせてあげる義理もないので、そのままマンションを後にした。


ちなみに、心理的瑕疵の告知については、厳密なガイドラインはない。あるケースでは、隣接する住戸については自殺があったことを告知する義務はないという判例があるので、もしかすると、マンションの一室で殺人事件があったことは、告知されなかったのかもしれない。

 

写真は大島てるのサイトよりキャプチャー。住みたい街上位の吉祥寺でも、多くの事故物件が存在することがわかる。


この原稿を執筆するにあたり、「大島てる」で、当時住んでいたマンションを調べてみた。すると、炎のマークがひとつ増えていた。霊の存在や怨念などを信じるわけではないが、少々、気味が悪かった。


自分が住んでいるマンションで殺人事件が起きても、必ず事情聴取をされるわけではないだろう。これは、あくまで筆者の体験談で、すべてのケースで同じではないことはご了承いただきたい。


参考サイト

最終更新日:2018年08月30日

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